師導古典を学びたいすべての人に

塩鉄論 / 本議篇

大夫曰:「管子云:『國有沃野之饒而民不足於食者、器械不備也。有山海之貨而民不足於財者、商工不備也。』隴、蜀之丹漆旄羽、荊、揚之皮革骨象、江南之楠梓竹箭、燕、齊之魚鹽旃裘、兗、豫之漆絲絺纻、養生送終之具也、待商而通、待工而成。故聖人作為舟楫之用、以通川谷、服牛駕馬、以達陵陸、致遠窮深、所以交庶物而便百姓。是以先帝建鐵官以贍農用、開均輸以足民財、鹽、鐵、均輸、萬民所戴仰而取給者、罷之、不便也。」

新字:大夫曰:「管子云:『国有沃野之饒而民不足於食者、器械不備也。有山海之貨而民不足於財者、商工不備也。』隴、蜀之丹漆旄羽、荊、揚之皮革骨象、江南之楠梓竹箭、燕、斉之魚塩旃裘、兗、予之漆糸絺纻、養生送終之具也、待商而通、待工而成。故聖人作為舟楫之用、以通川谷、服牛駕馬、以達陵陸、致遠窮深、所以交庶物而便百姓。是以先帝建鉄官以贍農用、開均輸以足民財、塩、鉄、均輸、万民所戴仰而取給者、罷之、不便也。」

書き下し

大夫曰く、管子云う、國に沃野の饒有るも民の食に足らざる者は、器械備わらざればなり。山海の貨有るも民の財に足らざる者は、商工備わらざればなり、と。隴・蜀の丹漆旄羽、荊・揚の皮革骨象、江南の楠梓竹箭、燕・齊の魚鹽旃裘、兗・豫の漆絲絺纻は、養生送終の具なり。商を待ちて通じ、工を待ちて成る。故に聖人は舟楫の用を作爲して、以て川谷を通じ、牛を服し馬を駕して、以て陵陸に達す。遠きを致し深きを窮むるは、庶物を交えて百姓を便ずる所以なり。是を以て先帝は鐵官を建てて以て農用に贍らせ、均輸を開きて以て民財を足らしむ。鹽・鐵・均輸は、萬民の戴仰して取給する所の者なり。之を罷むるは、便ならざるなり、と。

現代語訳

大夫は言った。「管子は言う、国に肥沃な野の豊かさがあっても民が食べるに足りないのは、器具が備わっていないからだ。山海の産物があっても民が財に足りないのは、商工が備わっていないからだ、と。隴と蜀の丹砂・漆・旄・羽、荊と揚の皮革・骨・象牙、江南の楠・梓・竹・矢柄、燕と斉の魚・塩・毛織り・皮衣、兗と豫の漆・絹・細布と麻布は、生を養い死を送るための道具である。商によってはじめて流通し、工によってはじめて形になる。だから聖人は舟と櫂を作って川と谷を通じさせ、牛を使い馬を車につないで丘と陸に達した。遠くまで届き深いところまで極めるのは、あらゆる物を交わらせて民を便利にするためである。だから先帝は鉄官を建てて農具をまかなわせ、均輸を開いて民の財を足らせた。塩・鉄・均輸は、万民が仰いで供給を受けているものである。廃止するのは、便ではない」

解説

各地の産物を延々と列挙するところが、この段の力です。隴蜀の丹砂、江南の楠、燕斉の魚塩。抽象的な原則ではなく、実際に流通している物の名前で語る。相手が理念で語るとき、具体で返す。しかも「養生送終の具」——生きるためと死者を送るための道具、と用途で括った。生活必需品だと言っているわけです。議論で具体名を並べることの威力が、二千年後に読んでも伝わります。理念に対しては、反対理念ではなく品目リストで答えるほうが強い。

この章句が説くこと

商を待ちて通じ工を待ちて成る養生送終の具庶物を交えて百姓を便ず流通実務具体

関連する章句

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

師導で古典を学ぶ
いま登録すると、7日間すべての機能を無料でお試しいただけます。 無料ではじめる