淮南子 / 要略
夫江河之腐胔,不可勝數,然祭者汲焉,大也。一杯酒白,蠅漬其中,匹夫弗嘗者,小也。誠通乎二十篇之論,睹凡得要,以通九野,徑十門,外天地,捭山川,其於逍遙一世之間,宰匠萬物之形,亦優遊矣。若然者,挾日月而不烑,潤萬物而不秏。曼兮洮兮,足以覽矣,藐兮浩兮,曠曠兮,可以遊矣。
新字:夫江河之腐胔,不可勝数,然祭者汲焉,大也。一杯酒白,蠅漬其中,匹夫弗嘗者,小也。誠通乎二十篇之論,睹凡得要,以通九野,径十門,外天地,捭山川,其於逍遥一世之間,宰匠万物之形,亦優遊矣。若然者,挟日月而不烑,潤万物而不秏。曼兮洮兮,足以覧矣,藐兮浩兮,曠曠兮,可以遊矣。
書き下し
夫れ江河の腐胔は、勝げて數う可からず。然れども祭る者 焉に汲むは、大なればなり。一杯の酒白きに、蠅 其の中に漬れば、匹夫も嘗めざるは、小なればなり。誠に二十篇の論に通じ、凡を睹て要を得、以て九野に通じ、十門を徑き、天地を外にし、山川を捭かば、其の一世の間に逍遙し、萬物の形を宰匠するに於けるや、亦た優遊せん。然るが若き者は、日月を挾みて烑ならず、萬物を潤して秏せず。曼たり洮たり、以て覽るに足る。藐たり浩たり、曠曠たり、以て遊ぶ可し。
現代語訳
長江や黄河に流れる腐った屍は、数えきれない。それでも祭りをする者がそこから水を汲むのは、大きいからである。一杯の澄んだ酒に蠅が一匹落ちれば、庶民でさえ口をつけないのは、小さいからである。まことに二十篇の論に通じ、全体を見渡して要を得て、九つの原野に通じ、十の門を過ぎ、天地を外に置き、山川を押し開けば、一つの世を逍遥し、万物のかたちを取り仕切ることも、ゆったりとできる。そういう者は、日月を抱えても焦げず、万物を潤しても減らない。ゆるやかに、洗い流すように、見渡すに足りる。遥かに、広々と、果てしなく、遊ぶことができる。
解説
大河は腐肉が流れていても祭りの水に汲まれ、一杯の酒は蠅一匹で捨てられる。同じ汚れでも、器の大きさで意味が変わる、という有名な対比です。淮南子二十一巻の締めくくりが、この一句から始まって「曠曠たり、以て遊ぶ可し」で終わる。長い長い書物の最後の言葉は、遊べる、でした。
この章句が説くこと
江河の腐胔は勝げて数う可からず然れども祭る者焉に汲むは大なればなり一杯の酒白きに蠅其の中に漬れば匹夫も嘗めざるは小なればなり誠に二十篇の論に通じ凡を睹て要を得日月を挟みて烑ならず万物を潤して秏せず藐たり浩たり曠曠たり以て遊ぶ可し器量
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