淮南子 / 泰族訓
語曰:不大其棟,不能任重。重莫若國,棟莫若德。國主之有民也,猶城之有基,木之有根。根深則本固,基美則上寧。五帝三王之道,天下之綱紀,治之儀錶也。今商鞅之啟塞,申子之三符,韓非之孤憤,張儀、蘇秦之從衡,皆掇取之權,一切之術也。非治之大本,事之恒常,可博聞而世傳者也。
新字:語曰:不大其棟,不能任重。重莫若国,棟莫若徳。国主之有民也,猶城之有基,木之有根。根深則本固,基美則上寧。五帝三王之道,天下之綱紀,治之儀錶也。今商鞅之啟塞,申子之三符,韓非之孤憤,張儀、蘇秦之従衡,皆掇取之権,一切之術也。非治之大本,事之恒常,可博聞而世伝者也。
書き下し
語に曰く、其の棟を大にせざれば、重きに任ずる能わず、と。重きは國に若くは莫く、棟は德に若くは莫し。國主の民を有つや、猶お城の基有り、木の根有るがごとし。根 深ければ則ち本 固く、基 美なれば則ち上 寧し。五帝三王の道は、天下の綱紀、治の儀錶なり。今 商鞅の啟塞、申子の三符、韓非の孤憤、張儀・蘇秦の從衡は、皆な權を掇取するの、一切の術なり。治の大本、事の恒常にして、博く聞きて世々傳う可き者に非ざるなり。
現代語訳
ことわざに、棟木を太くしなければ重さを支えられない、という。重いものとして国にまさるものはなく、棟木として徳にまさるものはない。国の主が民を持つのは、城に土台があり、木に根があるようなものである。根が深ければ幹は固く、土台がよければ上は安らかである。五帝三王の道は、天下の大綱であり、治の手本である。いま、商鞅の啓塞、申不害の三符、韓非の孤憤、張儀と蘇秦の合従連衡は、いずれも権勢をつかみ取る、その場かぎりの術である。治の大本、変わらぬ常道として、広く聞き伝え、世々に伝えるべきものではない。
解説
「重きは國に若くは莫く、棟は德に若くは莫し」。国という重さを支える棟木は徳だ、という一行です。そのうえで、商鞅・申不害・韓非・張儀蘇秦を「一切の術」——その場かぎりの手口として並べます。効かないとは言っていません。ただ、棟木ではないと位置づけている。
この章句が説くこと
語に曰く其の棟を大にせざれば重きに任ずる能わず重きは国に若くは莫く棟は徳に若くは莫し国主の民を有つや猶お城の基有り木の根有るがごとし根深ければ則ち本固く基美なれば則ち上寧し商鞅の啟塞申子の三符韓非の孤憤張儀・蘇秦の従衡は皆な権を掇取するの一切の術なり徳
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