淮南子 / 泰族訓
誠決其善志,防其邪心,啟其善道,塞其奸路,與同出一道,則民性可善,而風俗可美也。所以貴扁鵲者,非貴其隨病而調藥,貴其息脈血,知病之所從生也。所以貴聖人者,非貴隨罪而鑒刑也,貴其知亂之所由起也。若不修其風俗,而縱之淫辟,乃隨之以刑,繩之以法,雖殘賊天下,弗能禁也。
新字:誠決其善志,防其邪心,啟其善道,塞其奸路,与同出一道,則民性可善,而風俗可美也。所以貴扁鵲者,非貴其随病而調薬,貴其息脈血,知病之所従生也。所以貴聖人者,非貴随罪而鑒刑也,貴其知乱之所由起也。若不修其風俗,而縦之淫辟,乃随之以刑,縄之以法,雖残賊天下,弗能禁也。
書き下し
誠に其の善志を決し、其の邪心を防ぎ、其の善道を啟き、其の奸路を塞ぎ、與に同じく一道に出づれば、則ち民性 善くす可くして、風俗 美とす可きなり。扁鵲を貴ぶ所以の者は、其の病に隨いて藥を調うるを貴ぶに非ず。其の脈血を息め、病の從りて生ずる所を知るを貴べばなり。聖人を貴ぶ所以の者は、罪に隨いて刑を鑒るを貴ぶに非ざるなり。其の亂の由りて起こる所を知るを貴べばなり。若し其の風俗を修めずして、之を淫辟に縱にし、乃ち之に隨うに刑を以てし、之を繩するに法を以てせば、天下を殘賊すと雖も、禁ずる能わざるなり。
現代語訳
まことに善い志の水路を切り開き、邪な心を堤で防ぎ、善い道を開き、悪の通り道を塞いで、みなが同じ一つの道へ出るようにすれば、民の性は善くでき、風俗は美しくできる。扁鵲が貴ばれるのは、病に応じて薬を調合するからではない。脈と血を整え、病がどこから生じたかを知るからである。聖人が貴ばれるのは、罪に応じて刑を当てはめるからではない。乱がどこから起こるかを知るからである。もし風俗を整えないまま、勝手気ままにさせておいて、その後から刑罰で追いかけ、法で縛ろうとするなら、天下を痛めつけても、止めることはできない。
解説
「其の病に隨いて藥を調うるを貴ぶに非ず」。名医の値打ちは処方の腕ではなく、どこから病が来たかを見抜くところにある。統治も同じで、罪に刑を当てるのは後追いです。「風俗を修めずして……乃ち之に隨うに刑を以てす」。生じてから追いかける限り、どれだけ厳しくしても止まらない、という泰族訓の締めです。
この章句が説くこと
誠に其の善志を決し其の邪心を防ぎ其の善道を啟き其の奸路を塞ぐ扁鵲を貴ぶ所以の者は其の病に随いて薬を調うるを貴ぶに非ず其の脈血を息め病の従りて生ずる所を知るを貴べばなり聖人を貴ぶ所以の者は其の乱の由りて起こる所を知るを貴べばなり風俗を修めずして之に随うに刑を以てせば天下を残賊すと雖も禁ずる能わざるなり原因
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