淮南子 / 泰族訓
然得其人則舉,失其人則廢。堯治天下,政教平,德潤洽,在位七十載,乃求所屬天下之統,令四嶽揚側陋。四嶽舉舜而薦之堯。堯乃妻以二女,以觀其內;任以百官,以觀其外。既入大麓,烈風雷雨而不迷,乃屬以九子,贈以昭華之玉,而傳天下焉。以為雖有法度,而朱弗能統也。
新字:然得其人則舉,失其人則廃。堯治天下,政教平,徳潤洽,在位七十載,乃求所属天下之統,令四嶽揚側陋。四嶽舉舜而薦之堯。堯乃妻以二女,以観其内;任以百官,以観其外。既入大麓,烈風雷雨而不迷,乃属以九子,贈以昭華之玉,而伝天下焉。以為雖有法度,而朱弗能統也。
書き下し
然れども其の人を得れば則ち舉がり、其の人を失えば則ち廢る。堯 天下を治め、政教 平らかに、德潤 洽し。位に在ること七十載、乃ち天下の統を屬する所を求む。四嶽をして側陋を揚げしむ。四嶽 舜を舉げて之を堯に薦む。堯 乃ち妻わすに二女を以てし、以て其の內を觀、任ずるに百官を以てし、以て其の外を觀る。既に大麓に入り、烈風雷雨するも迷わず。乃ち屬するに九子を以てし、贈るに昭華の玉を以てして、天下を傳う。以爲えらく、法度有りと雖も、朱は統ぶる能わざるなり、と。
現代語訳
それでも、人を得れば立ち上がり、人を失えば廃れる。堯が天下を治め、政と教えは平らかで、徳の潤いは行き渡った。位にあること七十年、そこで天下を託す相手を求めた。四嶽に、身分の低い者からでも挙げるよう命じた。四嶽は舜を挙げて堯に薦めた。堯は二人の娘を嫁がせて家の内を見、百官の職を任せて外を見た。舜が大きな山林に入り、烈風と雷雨に遭っても迷わなかった。そこで九人の子をつけ、昭華の玉を贈って、天下を伝えた。法度があっても、我が子の丹朱には統べられないと考えたのである。
解説
後継ぎを決めるのに、堯が使ったのは二つの見方でした。娘二人を嫁がせて家庭での姿を見、百官を任せて仕事ぶりを見る。内と外の両方を、それぞれ時間をかけて見ています。そのうえで山林の試練まで課した。「法度有りと雖も、朱は統ぶる能わざるなり」——制度が整っていても、託す人を誤れば持たない、という判断です。
この章句が説くこと
其の人を得れば則ち舉がり其の人を失えば則ち廃る堯位に在ること七十載乃ち天下の統を属する所を求む四嶽をして側陋を揚げしむ四嶽舜を舉げて之を堯に薦む妻わすに二女を以てし以て其の内を観任ずるに百官を以てし以て其の外を観る法度有りと雖も朱は統ぶる能わざるなり人選
関連する章句
-
尚書・冏命慎みて乃の僚を簡べ、巧言令色、便辟側媚を以てすること無かれ、其れ惟れ吉士なるべし。
-
説苑・奉使蔡師強・王堅をして楚に使いせしむ。楚王之を聞きて曰く、「人の名章章たる者多し、獨り師強王堅と爲すか。」趣かに之に見えんとし、次を以てせず、其の人の狀を視るに、其の名を疑いて其の聲を醜しとし、又た其の形を惡む。楚王大いに怒りて曰く、「今蔡人無きか。國伐つべきなり。人有りて遣わさざるか。國伐つべきなり。端に此を以て寡人を誡むるか。國伐つべきなり。」故に二使を發するに、三たび伐たんと謀る者を見る、蔡なり。
-
尚書・立政今自り立政するに、其れ憸人を以てすること勿かれ、其れ惟れ吉士のみ。
-
牧民忠告・拜命今官を選ぶ者は大率(おおむ)ね内を重んじて外を軽んず、殊に知らず漢の宣帝の民を富ます所以、唐の太宗の家給し人足るる所以は、皆民を牧するの長を重んずるに由るが故なるを。嗚呼、民を牧するの長、其の重きこと此くの若し、乃ち泛焉(はんえん)として選び、懵焉(ぼうえん)として授く、奚(なん)為れぞ是れを慮らざるや。
-
尚書・咸有一德官に任ずるには惟れ賢材、左右には惟れ其の人。
-
『韓非子』説疑第四十四其の臣の意行を知らずして、之に任ずるに國を以てす。故に之を小にして名卑しく地削られ、之を大にして國亡び身死す。臣を用うるに明らかならざればなり。