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淮南子 / 脩務訓

若夫堯眉八彩,九竅通洞,而公正無私,一言而萬民齊;舜二瞳子,是謂重明,作事成法,出言成章;禹耳參漏,是謂大通,興利除害,疏河決江;文王四乳,是謂大仁,天下所歸,百姓所親;皋陶馬喙,是謂至信,決獄明白,察於人情;禹生於石;契生於卵;史皇產而能書;羿左臂修而善射。若此九賢者,千歲而一出,猶繼踵而生。今無五聖之天奉,四俊之才難,欲棄學而循性,是謂猶釋船欲蹍水也。

新字:若夫堯眉八彩,九竅通洞,而公正無私,一言而万民斉;舜二瞳子,是謂重明,作事成法,出言成章;禹耳参漏,是謂大通,興利除害,疏河決江;文王四乳,是謂大仁,天下所帰,百姓所親;皋陶馬喙,是謂至信,決獄明白,察於人情;禹生於石;契生於卵;史皇産而能書;羿左臂修而善射。若此九賢者,千歳而一出,猶継踵而生。今無五聖之天奉,四俊之才難,欲棄学而循性,是謂猶釈船欲蹍水也。

書き下し

夫の堯の眉 八彩、九竅 通洞にして、公正無私、一言して萬民 齊しく、舜の二瞳子、是を重明と謂い、事を作せば法と成り、言を出だせば章と成り、禹の耳 參漏、是を大通と謂い、利を興し害を除き、河を疏し江を決し、文王の四乳、是を大仁と謂い、天下の歸する所、百姓の親しむ所、皋陶の馬喙、是を至信と謂い、獄を決すること明白にして、人情に察かなるが若き、禹は石より生じ、契は卵より生じ、史皇 產まれて能く書し、羿は左臂 修くして善く射る。此くの若き九賢なる者は、千歲にして一たび出づるも、猶お踵を繼ぎて生ずるがごとし。今 五聖の天奉無く、四俊の才難きに、學を棄てて性に循わんと欲するは、是れ猶お船を釋てて水を蹍まんと欲すと謂うなり。

現代語訳

堯は眉に八色の彩りがあり、九つの穴が通っていて、公正無私、ひと言で万民が揃った。舜は瞳が二つずつあり、これを重明といい、することはそのまま法となり、言えばそのまま文となった。禹は耳の孔が三つあり、これを大通といい、利を興し害を除き、黄河を疏通し長江を切り開いた。文王は乳が四つあり、これを大仁といい、天下が帰し、民が親しんだ。皋陶は馬のような口をしていて、これを至信といい、裁きは明白で、人情に通じていた。禹は石から生まれ、契は卵から生まれ、史皇は生まれながらに文字を書き、羿は左腕が長くて弓が上手かった。こうした九人の賢者は、千年に一度出るかどうかなのに、まるで続けざまに生まれたかのように語られる。いま五人の聖人のような天の恵みもなく、四人の俊才のような才も持ちがたいのに、学を捨てて生まれつきに従おうとするのは、船を捨てて水の上を歩こうとするようなものだ。

解説

生まれつきで足りた人たちの、その生まれつきを並べていきます。八色の眉、二重の瞳、三つの耳孔。並べれば並べるほど、自分とは関係のない話になっていく。それがこの段の狙いです。「千歲にして一たび出づる」者を基準にして、学ばずに生まれつきでいこうというのは、「船を釋てて水を蹍まんと欲す」——泳げないのに舟を捨てるのと同じだ、と。

この章句が説くこと

堯の眉八彩九竅通洞にして公正無私一言して万民斉し舜の二瞳子是を重明と謂い事を作せば法と成り言を出だせば章と成る禹の耳参漏是を大通と謂い利を興し害を除き河を疏し江を決す此くの若き九賢なる者は千歳にして一たび出づ学を棄てて性に循わんと欲するは是れ猶お船を釈てて水を蹍まんと欲すと謂うなり天分

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