淮南子 / 說林訓
畫者謹毛而失貌,射者儀小而遺大。治鼠穴而壞里閭,潰小皰而發痤疽,若珠之有纇,玉之有瑕,置之而全,去之而虧。榛巢者處林茂,安也;窟穴者託埵防,便也。王子慶忌足躡麋鹿,手搏兕虎,置之冥室之中,不能搏龜鱉,勢不便也。湯放其主而有榮名,崔杼弒其君而被大謗,所為之則同,其所以為之則異。
新字:画者謹毛而失貌,射者儀小而遺大。治鼠穴而壊里閭,潰小皰而発痤疽,若珠之有纇,玉之有瑕,置之而全,去之而虧。榛巣者処林茂,安也;窟穴者託埵防,便也。王子慶忌足躡麋鹿,手搏兕虎,置之冥室之中,不能搏亀鱉,勢不便也。湯放其主而有栄名,崔杼弒其君而被大謗,所為之則同,其所以為之則異。
書き下し
畫く者は毛を謹みて貌を失い、射る者は小を儀りて大を遺る。鼠穴を治めて里閭を壞し、小皰を潰して痤疽を發す。珠に纇有り、玉に瑕有るが若きは、之を置きて全く、之を去りて虧く。榛に巢くう者は林の茂きに處る、安ければなり。窟穴する者は埵防に託す、便なればなり。王子慶忌は足に麋鹿を躡み、手に兕虎を搏つ。之を冥室の中に置けば、龜鱉を搏つ能わず。勢の便ならざればなり。湯は其の主を放ちて榮名有り、崔杼は其の君を弒して大謗を被る。爲す所は則ち同じくして、之を爲す所以は則ち異なればなり。
現代語訳
絵を描く者は毛の一本一本に気を配って全体の顔つきを失い、射る者は小さな的を狙って大きなものを取り逃がす。鼠の穴を塞ごうとして村の門を壊し、小さな腫れ物を潰して大きな腫れ物を起こす。真珠に筋があり玉に傷があるようなもので、そのままにしておけば全きを保ち、取り除こうとすれば欠けてしまう。木に巣をかける鳥が茂った林を選ぶのは、安全だからである。穴を掘る獣が土手に寄るのは、都合がよいからである。王子慶忌は足で大鹿を踏み、手で兕や虎を打った。だが真っ暗な部屋に置けば、亀やすっぽんさえ捕らえられない。勢いが利かないからである。湯王は主君を追放して栄誉ある名を得、崔杼は君主を弑して大きな謗りを受けた。したことは同じでも、した理由が違うからである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
司馬法・嚴位凡そ人は、愛に死し、怒りに死し、威に死し、義に死し、利に死す。
-
『墨子』非命下是の故に子墨子曰く、今、天下の君子の文章を為り言談を出だすは、将に其の頰舌を勤勞し、其の唇呡を利せんとするに非ざるなり。中に實に将に其の國家邑里萬民の刑政を為さんと欲する者なり。今や王公大人の早く朝し晏く退き、獄を聴き政を治め、終朝、均しく分かちて敢えて怠倦せざる所以の者は、何ぞや。曰く、彼れ以為えらく强ければ必ず治まり、强からざれば必ず亂れ、强ければ必ず寕く、强からざれば必ず危うしと。故に敢えて怠倦せず。
-
『武士道』原序・愛妻の問いが動機となる予が此一小冊子を述作するに至りたる直接の動機は、愛妻のしばしば予に問ふに、日本に行はるる彼此の思想習慣の理由根拠を以てするに在りき。ド・ラヴレー氏及び愛妻に対し、満足なる解答を与へんとするに当りて、予は知りぬ、先づ封建主義と武士道の何物たるかを了知するに非ずんば、即ち現時日本の道徳思想は、一の秘本にして繙き窺ふべからざるものなることを。予の病、久しく癒えず、為に疎懶、日を銷するの止むを得ざるを機とし、かつて多次、家庭の談話に於て与へたる答解を記述したるもの、即ち此書の骨子を成し、其拠る所は主として、封建思想のなお旺盛なりし時、予が少年の日に当りて示教を受けたるものに係る。彼れには小泉八雲氏及びフレエザー夫人あり、此れには又たサー・アーネスト・サトウ及びチャンバレン教授あるの中間に立ち、英語を以て日本に関する述作を成さんは、けだし躊躇失望すべきものあり。
-
『墨子』兼愛下且つ惟だ泰誓のみ然りと為すにあらず、禹誓と雖も即ち亦た猶お是のごときなり。禹曰く、「濟濟たる有衆、咸な朕が言を聴け。惟だ小子のみ敢えて亂を稱するを行うに非ず。蠢たる茲の有苗、天の罰を用う。若し予れ既に爾の羣を率い、羣諸に對して以て有苗を征せん」と。禹の有苗を征するや、富貴を重ね、福禄を干め、耳目を樂しましむるを求むるに非ざるなり。以て天下の利を興し、天下の害を除かんことを求むるなり。即ち此れ禹の兼なり。子墨子の謂う所の兼なる者と雖も、禹に於て求めたり。
-
言志四録・言志耋録 第七十九条 嫌を避けて為さざる勿れ事固より自ら為にするの謀にして、迹の人の為にするに似たる者之れ有り。戒めて之を為すこと勿れ。固より人の為に謀りて、或は自ら為にするかと疑はるる者之れ有り。嫌を避けて為さざること勿れ。
-
『墨子』耕柱巫馬子、子墨子に謂いて曰く、「子は天下を兼愛するも、未だ利ありと云わず。我れは天下を愛せざるも、未だ賊すと云わず。功、皆な未だ至らざるに、子、何ぞ獨り自ら是として我を非とするや」と。子墨子曰く、「今、此に燎ゆる者有り。一人は水を奉じて将に之に灌がんとし、一人は火を摻りて将に之を益さんとす。功、皆な未だ至らざるも、子、何れをか二人に貴ばん」と。巫馬子曰く、「我れは彼の水を奉ずる者の意を是とし、夫の火を摻る者の意を非とす」と。子曰く、「吾れも亦た吾が意を是とし、子の意を非とするなり」と。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る