淮南子 / 說林訓
蘭芝以芳,未嘗見霜;鼓造辟兵,壽盡五月之望。舌之與齒,孰先礱也?錞之與刃,孰先獘也?繩之與矢,孰先直也?今媆之與蛇,蠶之與蠋,狀相類而愛憎異。晉以垂棘之璧得虞、虢,驪戎以美女亡晉國。聾者不歌,無以自樂;盲者不觀,無以接物。觀射者遺其𠙜,觀書者忘其愛,意有所在,則忘其所守。古之所為不可更,則推車至今無蟬匷。使但吹竽,使氐厭竅,雖中節而不可聽,無其君形者也。
新字:蘭芝以芳,未嘗見霜;鼓造辟兵,寿尽五月之望。舌之与齒,孰先礱也?錞之与刃,孰先獘也?縄之与矢,孰先直也?今媆之与蛇,蠶之与蠋,状相類而愛憎異。晉以垂棘之璧得虞、虢,驪戎以美女亡晉国。聾者不歌,無以自楽;盲者不観,無以接物。観射者遺其𠙜,観書者忘其愛,意有所在,則忘其所守。古之所為不可更,則推車至今無蟬匷。使但吹竽,使氐厭竅,雖中節而不可聴,無其君形者也。
書き下し
蘭芝は芳しきを以て、未だ嘗て霜を見ず。鼓造は兵を辟くるも、壽は五月の望に盡く。舌と齒と、孰れか先に礱らるる。錞と刃と、孰れか先に獘るる。繩と矢と、孰れか先に直きぞ。今 媆と蛇と、蠶と蠋と、狀 相い類して愛憎 異なる。晉は垂棘の璧を以て虞・虢を得、驪戎は美女を以て晉國を亡ぼす。聾者は歌わず、以て自ら樂しむこと無ければなり。盲者は觀ず、以て物に接すること無ければなり。射を觀る者は其の𠙜を遺れ、書を觀る者は其の愛を忘る。意 在る所有れば、則ち其の守る所を忘る。古の爲す所 更む可からずんば、則ち車を推すこと今に至るまで蟬匷無からん。但をして竽を吹かしめ、氐をして竅を厭さしめば、節に中ると雖も聽く可からず。其の形を君たる者無ければなり。
現代語訳
蘭や芝は香るがゆえに、霜に当たるまで生きられない。鼓造は武具を避ける霊験があるとされるが、その命は五月の望日に尽きる。舌と歯と、どちらが先にすり減るか。石突きと刃と、どちらが先に傷むか。墨縄と矢と、どちらが真っ直ぐか。いま蚯蚓と蛇、蚕と芋虫は、姿は似ているのに好き嫌いは正反対である。晋は垂棘の璧で虞と虢を手に入れ、驪戎は美女で晋の国を滅ぼした。耳の聞こえない者が歌わないのは、それで自ら楽しむすべがないからである。目の見えない者が見ないのは、それで物に接するすべがないからである。射を見物する者は自分の的を忘れ、書物に見入る者は大事なものを忘れる。心が向いた先があれば、守るべきものを忘れる。昔のやり方が変えられないものなら、車を押すのに今なお車輪の受けもないままだろう。但に竽を吹かせ、氐に指穴を押さえさせれば、拍子は合っていても聴けたものではない。その形を主宰するものがないからである。
解説
この章句が説くこと
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