淮南子 / 說林訓
聽有音之音者聾,聽無音之音者聰;不聾不聰,與神明通。卜者操龜,筮者端策,以問於數,安所問之哉!舞者舉節,坐者不期而𢬵皆如一,所極同也。日出暘谷,入于虞淵,莫知其動,須臾之間,俛人之頸。人莫欲學御龍,而皆欲學御馬,莫欲學治鬼,而皆欲學治人,急所用也。解門以為薪,塞井以為臼,人之從事,或時相似。水火相憎,鏏在其間,五味以和。骨肉相愛,讒賊間之,而父子相危。夫所以養而害所養,譬猶削足而適履,殺頭而便冠。昌羊去蚤虱而來蚙窮,除小害而致大賊,欲小快而害大利。牆之壞也,不若無也,然逾屋之覆。璧瑗成器,礛諸之功;鏌邪斷割,砥礪之力。
新字:聴有音之音者聾,聴無音之音者聰;不聾不聰,与神明通。卜者操亀,筮者端策,以問於数,安所問之哉!舞者舉節,坐者不期而𢬵皆如一,所極同也。日出暘谷,入于虞淵,莫知其動,須臾之間,俛人之頸。人莫欲学御竜,而皆欲学御馬,莫欲学治鬼,而皆欲学治人,急所用也。解門以為薪,塞井以為臼,人之従事,或時相似。水火相憎,鏏在其間,五味以和。骨肉相愛,讒賊間之,而父子相危。夫所以養而害所養,譬猶削足而適履,殺頭而便冠。昌羊去蚤虱而来蚙窮,除小害而致大賊,欲小快而害大利。牆之壊也,不若無也,然逾屋之覆。璧瑗成器,礛諸之功;鏌邪断割,砥礪之力。
書き下し
音有るの音を聽く者は聾し、音無きの音を聽く者は聰し。聾ならず聰ならざれば、神明と通ず。卜者は龜を操り、筮者は策を端し、以て數に問う。安くにか之を問わんや。舞う者 節を舉ぐれば、坐する者 期せずして𢬵ち皆な一の如し。極まる所 同じければなり。日は暘谷を出で、虞淵に入る。其の動くを知ること莫きも、須臾の間、人の頸を俛せしむ。人 龍を御するを學ばんと欲すること莫くして、皆な馬を御するを學ばんと欲す。鬼を治むるを學ばんと欲すること莫くして、皆な人を治むるを學ばんと欲す。用うる所に急なればなり。門を解きて以て薪と爲し、井を塞ぎて以て臼と爲す。人の事に從うは、或いは時に相い似たり。水火は相い憎めども、鏏 其の間に在れば、五味 以て和す。骨肉は相い愛すれども、讒賊 之を間てば、父子 相い危うくす。夫れ養う所以にして養う所を害するは、譬えば猶お足を削りて履に適し、頭を殺ぎて冠に便するがごとし。昌羊は蚤虱を去るも蚙窮を來す。小害を除きて大賊を致し、小快を欲して大利を害す。牆の壞るるや、無きに若かず。然れども屋の覆るに逾る。璧瑗の器を成すは、礛諸の功なり。鏌邪の斷割するは、砥礪の力なり。
現代語訳
音のある音を聴く者は耳が鈍く、音のない音を聴く者は耳が利く。鈍くもなく利くのでもないところで、神明と通じる。占い師は亀甲を操り、筮竹を揃えて、数に問う。いったいどこに問うているのか。舞い手が拍子を上げれば、座っている者たちは示し合わせずにみな一つに揃う。行き着くところが同じだからである。日は暘谷を出て、虞淵に入る。その動きは誰も分からないが、わずかの間に人の首を垂れさせる。誰も龍の御し方を学ぼうとせず、みな馬の御し方を学ぼうとする。鬼を治める術を学ぼうとせず、みな人を治める術を学ぼうとする。使い道が差し迫っているからである。門を外して薪にし、井戸を塞いで臼にする。人のすることは、ときに似通っている。水と火は憎み合うが、間に鍋があれば、五味が調う。肉親は愛し合うが、讒言する者が間に入れば、父子が互いに危うくなる。養うためのものが養う相手を害するのは、たとえば足を削って履に合わせ、頭を削って冠に合わせるようなものだ。昌羊は蚤や虱を追うが別の虫を呼ぶ。小さな害を除いて大きな賊を招き、小さな快を求めて大きな利を損なう。塀が壊れるのは、はじめから無いほうがましだが、それでも家が倒れるよりはましである。璧や瑗が器になるのは砥ぐ石の功であり、鏌邪が断ち切るのは砥石の力である。
解説
この章句が説くこと
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