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淮南子 / 說林訓

謂許由無德,烏獲無力,莫不醜於色,人莫不奮于其所不足。以兔之走,使犬如馬,則逮日歸風;及其為馬,則又不能走矣。冬有雷電,夏有霜雪,然而寒暑之勢不易,小變不足以妨大節。黃帝生陰陽,上駢生耳目,桑林生臂手,此女媧所以七十化也。終日之言必有聖之事,百發之中必有羿、逢蒙之巧,然而世不與也,其守節非也。牛蹄彘顱亦骨也,而世弗灼,必問吉凶於龜者,以其歷歲久矣。近敖倉者不為之多飯,臨江、河者不為之多飲,期滿腹而已。

新字:謂許由無徳,烏獲無力,莫不醜於色,人莫不奮于其所不足。以兔之走,使犬如馬,則逮日帰風;及其為馬,則又不能走矣。冬有雷電,夏有霜雪,然而寒暑之勢不易,小変不足以妨大節。黄帝生陰陽,上駢生耳目,桑林生臂手,此女媧所以七十化也。終日之言必有聖之事,百発之中必有羿、逢蒙之巧,然而世不与也,其守節非也。牛蹄彘顱亦骨也,而世弗灼,必問吉凶於亀者,以其歴歳久矣。近敖倉者不為之多飯,臨江、河者不為之多飲,期満腹而已。

書き下し

許由に德無く、烏獲に力無しと謂わば、色に醜じざるは莫し。人は其の足らざる所に奮わざるは莫し。兔の走るを以て、犬をして馬の如くならしめば、則ち日に逮び風に歸らん。其の馬と爲るに及びては、則ち又た走る能わず。冬に雷電有り、夏に霜雪有り。然れども寒暑の勢は易わらず。小變は以て大節を妨ぐるに足らず。黃帝は陰陽を生じ、上駢は耳目を生じ、桑林は臂手を生ず。此れ女媧の七十化する所以なり。終日の言には必ず聖なるの事有り、百發の中には必ず羿・逢蒙の巧有り。然れども世 與せざるは、其の節を守ること非なればなり。牛の蹄 彘の顱も亦た骨なり。而れども世 灼かず。必ず吉凶を龜に問うは、其の歷歲の久しきを以てなり。敖倉に近き者も之が爲に多く飯せず、江・河に臨む者も之が爲に多く飲まず。腹を滿たすを期するのみ。

現代語訳

許由に徳がない、烏獲に力がないと言えば、顔色を変えない者はいない。人は自分の足りないところを言われて、いきり立たない者はいない。兎の速さのままで、犬を馬ほどの大きさにできれば、日に追いつき風に帰るだろう。だが本当に馬になってしまえば、もう兎のようには走れない。冬に雷が鳴り、夏に霜や雪が降ることはある。それでも寒暑の大勢は変わらない。小さな変化は大きな筋目を妨げるに足りない。黄帝が陰陽を生み、上駢が耳目を生み、桑林が腕と手を生んだ。これが女媧が七十度も化したという所以である。一日じゅう喋れば必ず聖人めいた言葉が混じり、百度射れば必ず羿や逢蒙のような妙技が出る。それでも世が認めないのは、守っている筋がそうでないからである。牛の蹄も豚の頭蓋も骨である。だが世は焼いて占わない。必ず吉凶を亀に問うのは、亀が長い歳月を経ているからである。敖の大穀倉のそばに住む者も、そのために多く飯を食うわけではない。長江や黄河のほとりにいる者も、そのために多く飲むわけではない。腹を満たすだけである。

解説

「人は其の足らざる所に奮わざるは莫し」。痛いところを突かれると人は色を変える。裏返せば、相手が過剰に反発したところが、その人の弱みだということでもあります。「終日の言には必ず聖なるの事有り」も鋭い。喋り続ければまぐれで名言も出るが、世は認めない。認められるのは一発の当たりではなく、守っている筋のほうだ、と。

この章句が説くこと

許由に徳無く烏獲に力無しと謂わば色に醜じざるは莫し人は其の足らざる所に奮わざるは莫し小変は以て大節を妨ぐるに足らず終日の言には必ず聖なるの事有り然れども世与せざるは其の節を守ること非なればなり必ず吉凶を亀に問うは其の歴歳の久しきを以てなり弱み

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