淮南子 / 說山訓
畏馬之辟也不敢騎,懼車之覆也不敢乘,是以虛禍距公利也。不孝弟者或詈父母,生子者所不能任其必孝也,然猶養而長之。范氏之敗,有竊其鐘,負而走者,鎗然有聲,懼人聞之,遽掩其耳。憎人聞之,可也;自掩其耳,悖矣。升之不能大於石也,升在石之中;夜之不能修其歲也,夜在歲之中;仁義之不能大於道德也,仁義在道德之包。先針而後縷,可以成帷;先縷而後針,不可以成衣。針成幕,蔂成城。事之成敗,必由小生,言有漸也。染者先青而後黑則可,先黑而後青則不可。工人下漆而上丹則可,下丹而上漆則不可。萬事由此,所先後上下,不可不審。水濁而魚噞,形勞則神亂。
新字:畏馬之辟也不敢騎,懼車之覆也不敢乗,是以虚禍距公利也。不孝弟者或詈父母,生子者所不能任其必孝也,然猶養而長之。范氏之敗,有竊其鐘,負而走者,鎗然有声,懼人聞之,遽掩其耳。憎人聞之,可也;自掩其耳,悖矣。升之不能大於石也,升在石之中;夜之不能修其歳也,夜在歳之中;仁義之不能大於道徳也,仁義在道徳之包。先針而後縷,可以成帷;先縷而後針,不可以成衣。針成幕,蔂成城。事之成敗,必由小生,言有漸也。染者先青而後黒則可,先黒而後青則不可。工人下漆而上丹則可,下丹而上漆則不可。万事由此,所先後上下,不可不審。水濁而魚噞,形労則神乱。
書き下し
馬の辟を畏れて敢えて騎らず、車の覆るを懼れて敢えて乘らざるは、是れ虛禍を以て公利を距ぐなり。不孝弟なる者は或いは父母を詈る。子を生む者は其の必ず孝ならんことを任ずる能わざる所なり。然れども猶お養いて之を長ず。范氏の敗るるに、其の鐘を竊み、負いて走る者有り。鎗然として聲有り。人の之を聞くを懼れて、遽かに其の耳を掩う。人の之を聞くを憎むは、可なり。自ら其の耳を掩うは、悖れり。升の石より大なる能わざるは、升 石の中に在ればなり。夜の其の歲より修き能わざるは、夜 歲の中に在ればなり。仁義の道德より大なる能わざるは、仁義 道德の包に在ればなり。針を先にして縷を後にすれば、以て帷を成す可し。縷を先にして針を後にすれば、以て衣を成す可からず。針は幕を成し、蔂は城を成す。事の成敗は、必ず小より生ず。言 漸有るなり。染むる者は先に青にして後に黑なれば則ち可なり、先に黑にして後に青なれば則ち不可なり。工人は漆を下にして丹を上にすれば則ち可なり、丹を下にして漆を上にすれば則ち不可なり。萬事 此に由る。先後上下する所、審らかにせざる可からず。水 濁りて魚 噞し、形 勞して神 亂る。
現代語訳
馬が跳ねるのを恐れて乗らず、車が転ぶのを恐れて乗らないのは、ありもしない禍で公の利を妨げることである。親兄弟を大事にしない者は、父母を罵ることもある。子を産む者は、その子が必ず孝行になると請け合えるわけではない。それでも養って育てる。范氏が敗れたとき、その鐘を盗んで背負って走る者がいた。ガランと音がした。人に聞かれるのを恐れて、あわてて自分の耳を塞いだ。人に聞かれるのを嫌がるのはよい。自分の耳を塞ぐのは、道理に反している。升が石より大きくなれないのは、升が石の中にあるからである。夜が一年より長くなれないのは、夜が一年の中にあるからである。仁義が道徳より大きくなれないのは、仁義が道徳に包まれているからである。針を先にし糸を後にすれば、帳を作れる。糸を先にし針を後にすれば、衣は作れない。針が幕を作り、もっこが城を作る。事の成否は、必ず小さなところから生じる。言葉には順序がある。染めるときは先に青、後に黒ならよいが、先に黒、後に青ではいけない。塗り物は漆を下にして朱を上にすればよいが、朱を下にして漆を上にしてはいけない。万事これによる。前後上下の順序は、よく見きわめなければならない。水が濁れば魚は口を出し、体が疲れれば心が乱れる。
解説
この章句が説くこと
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