韓非子 / 內儲說上七術第三十
韓昭侯使人藏弊袴,侍者曰:「君亦不仁矣,弊袴不以賜左右而藏之。」昭侯曰:「非子之所知也。吾聞明主之愛一嚬一笑,嚬有爲嚬,而笑有爲笑。今夫袴,豈特嚬笑哉!袴之與嚬笑相去遠矣。吾必待有功者,故收藏之,未有予也。
新字:韓昭侯使人蔵弊袴,侍者曰:「君亦不仁矣,弊袴不以賜左右而蔵之。」昭侯曰:「非子之所知也。吾聞明主之愛一嚬一笑,嚬有為嚬,而笑有為笑。今夫袴,豈特嚬笑哉!袴之与嚬笑相去遠矣。吾必待有功者,故収蔵之,未有予也。
書き下し
韓の昭侯人をして弊袴を蔵せしむ。...昭侯曰く、「...吾必ず功有る者を待たん。故に之を藏し未だ予うる有らざるなり。」
現代語訳
韓の昭侯が、古い袴(弊袴)を(捨てずに)しまわせた。(側近が「ケチだ」と言うと)昭侯は言った。「私は(この袴を)必ず功績のあった者に与えようと待っているのだ。だから(功績ある者がまだいない今は)しまってあり、まだ誰にも与えていないのだ。」
解説
韓の昭侯が、着古した袴を捨てずに大切にしまわせたところ、側近が「王ともあろうお方が、着古した袴一枚も気前よく人にあげずしまい込むとは、ずいぶんけちくさいことです」とあきれました。すると昭侯は、「お前には分かるまい。私はこれを、必ず功のあった者に与えようと決めていて、その時をじっと待っているのだ。だから今はまだ誰にも渡していない」と答えました。たとえ古着一枚のような小さな品であっても、はっきりした働きもない人に気まぐれで与えてしまえば、褒美のありがたみは薄れてしまいます。家庭で「頑張ったらご褒美をあげる」と約束したなら、頑張りが見えるまではきちんと待ち、実際に頑張った時にこそ渡す。そうして初めて、次も頑張ろうという気持ちが本物になります。約束と実際の働きをきちんと結びつけることが、信頼の土台になるのです。
この章句が説くこと
信賞インセンティブ公平性報酬功績
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