韓非子 / 內儲說上七術第三十
婦人は蠶を拾い、漁者は鱧を握る。利の在る所は、則ち其の悪む所を忘れて、皆な孟賁と為る。
書き下し
婦人は蠶を拾い、漁者は鱧を握る。利の在る所は、則ち其の悪む所を忘れて、皆な孟賁と為る。
現代語訳
(芋虫に似て気味の悪い)カイコ(蠶)を婦人が拾い、(蛇に似て危険な)ウナギ(鱧)を漁師が握る。利益(利)のある所では、人は(本来)嫌なこと(悪む所)を忘れ、皆(勇者の)孟賁のようになる。
解説
人を動かすのは「感情(好き嫌い)」ではなく、「利益(利)」である 。社員が(本来やりたくない)困難な仕事(蠶・鱧)に(勇者のように)取り組むのは、その先に明確な「利益(利)=報酬・評価」があると信じられるからである。インセンティブ設計の根本的な重要性を示している。
この章句が説くこと
インセンティブ信賞動機付け行動経済学利益
関連する章句
-
『韓非子』備內第十七醫善く人の瘍を吮い、人の血を含むは、骨肉の親に非ざるなり。利の加わる所なり。
-
『韓非子』說林下二十三漁者は鱧を持ち、婦人は蠶を拾う。利の在る所、皆な孟賁・諸と為る。
-
『韓非子』內儲說上七術第三十魯人積澤を焼く。天北風し、火南に倚り、國を焼かんことを恐る。...仲尼曰く、「夫れ獣を逐う者は楽しみて罰無く、火を救う者は苦みて賞無し。此れ火の救わるる無き所以なり。」...乃ち令を下して曰く、「火を救わざる者は、降北の罪に比し、獣を逐う者は、禁に入るの罪に比せん。」...令下りて未だ遍からざるに、火は巳に救わる。
-
『韓非子』內儲說上七術第三十韓の昭侯人をして弊袴を蔵せしむ。...昭侯曰く、「...吾必ず功有る者を待たん。故に之を藏し未だ予うる有らざるなり。」
-
『韓非子』內儲說上七術第三十吳起...乃ち一車の轅を北門の外に倚せて、之に令して曰く、「能く此れを南門の外に徙す者あらば、之に上田上宅を賜わん。」...之を徙す者有るに及んで、遂に之に賜うこと令の如し。
-
『韓非子』外儲說左上第三十二夫れ庸を賣いて播耕する者は、主人家を費やして食を美にし...庸客力を致して疾く耘耕し...皆な自ら為にするの心を挟めばなり。