淮南子 / 詮言訓
舜彈五弦之琴,而歌《南風》之詩,以治天下。周公殽臑不收於前,鐘鼓不解於縣,以輔成王而海內平。匹夫百畮一守,不遑啟處,無所移之也。以一人兼聽天下,日有餘而治不足,使人為之也。處尊位者如屍,守官者如祝宰。屍雖能剝狗燒彘,弗為也,弗能無虧;俎豆之列次,黍稷之先後,雖知弗教也,弗能害也。不能祝者,不可以為祝,無害於為屍;不能禦者,不可以為仆,無害於為佐。故位愈尊而身愈佚;身愈大而事愈少。譬如張琴,小弦雖急,大弦必緩。
新字:舜弾五弦之琴,而歌《南風》之詩,以治天下。周公殽臑不収於前,鐘鼓不解於県,以輔成王而海内平。匹夫百畮一守,不遑啟処,無所移之也。以一人兼聴天下,日有余而治不足,使人為之也。処尊位者如屍,守官者如祝宰。屍雖能剝狗焼彘,弗為也,弗能無虧;俎豆之列次,黍稷之先後,雖知弗教也,弗能害也。不能祝者,不可以為祝,無害於為屍;不能禦者,不可以為仆,無害於為佐。故位愈尊而身愈佚;身愈大而事愈少。譬如張琴,小弦雖急,大弦必緩。
書き下し
舜 五弦の琴を彈じて、『南風』の詩を歌いて、以て天下を治む。周公 殽臑 前に收められず、鐘鼓 縣に解かれずして、以て成王を輔けて海內 平らかなり。匹夫 百畮を一に守り、啟處するに遑あらざるは、之を移す所無ければなり。一人を以て天下を兼ね聽きて、日 餘り有りて治 足らざるは、人をして之を爲さしむればなり。尊位に處る者は屍の如く、官を守る者は祝宰の如し。屍は狗を剝ぎ彘を燒くを能くすと雖も、爲さざるなり。虧くる無き能わず。俎豆の列次、黍稷の先後、知ると雖も教えざるなり。害する能わざるなり。祝する能わざる者は、以て祝と爲す可からざるも、屍と爲るに害無し。禦する能わざる者は、以て仆と爲す可からざるも、佐と爲るに害無し。故に位 愈々尊くして身 愈々佚し、身 愈々大にして事 愈々少なし。譬えば琴を張るが如し。小弦 急なりと雖も、大弦 必ず緩し。
現代語訳
舜は五弦の琴を弾き、『南風』の詩を歌って、天下を治めた。周公は膳の肉が下げられず、鐘や太鼓が架けたままのうちに、成王を助けて国じゅうが平らかになった。庶民が百畝の田を一人で守り、腰を落ち着ける暇もないのは、それを人に移せないからである。一人で天下のことを聴きながら、日に余りがあって治めに手が回るのは、人にそれをさせるからである。尊い位にある者は祭りの屍のようであり、官を守る者は祝や宰のようである。屍役は犬を捌き豚を焼くことができても、しない。欠けるところがあっても構わない。器の並べ方、供物の順序を知っていても、教えない。害にならないからである。祝詞ができない者は祝役にはなれないが、屍役になるのに差し支えない。馬を御せない者は御者にはなれないが、補佐になるのに差し支えない。だから位が尊くなるほど身は楽になり、身が大きくなるほど事は少なくなる。たとえば琴を張るようなものだ。細い弦が張っていれば、太い弦は必ず緩んでいる。
解説
この章句が説くこと
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『淮南子』詮言訓易に非ざれば以て大を治む可からず。簡に非ざれば以て眾を合す可からず。大樂は必ず易く、大禮は必ず簡なり。易し、故に能く天なり。簡なり、故に能く地なり。大樂に怨み無く、大禮に責め無し。四海の內、系統せざる莫し。故に能く帝たるなり。心に憂え有る者は、筐床衽席も、安んずる能わざるなり。菰飯犓牛も、甘しとする能わざるなり。琴瑟鳴竽も、樂しむ能わざるなり。患い解け憂え除かれて、然る後に食 甘く寢 甯く、居 安く遊 樂しむ。是に由りて之を觀れば、生に以て樂しむ有り、死に以て哀しむ有るなり。今 性の樂しむ能わざる所を益すを務めて、以て性の樂しむ所以を害す。故に富 天下を有ち、貴 天子と爲ると雖も、哀の人と爲るを免れず。凡そ人の性、恬を樂しみて憫を憎み、佚を樂しみて勞を憎む。心 常に欲無き、恬と謂う可し。形 常に事無き、佚と謂う可し。心を恬に游ばせ、形を佚に舍き、以て天命を俟つ。內に自ら樂しみ、外に急なる無し。天下の大なりと雖も、以て其の一概を易うるに足らず。日月 廋して志に溉ぐ無し。故に賤しと雖も貴きが如く、貧しと雖も富めるが如し。
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『淮南子』主術訓堯の天下を有つや、萬民の富を貪りて人主の位に安んずるに非ず。百姓 力もて征し、強 弱を淩ぎ、眾 寡を暴すを以て、是に於いて堯 乃ち身ら節儉の行を服し、而して相愛の仁を明らかにして、以て之を和輯す。是の故に茅茨 翦らず、采椽 斷らず、大路 畫かず、越席 緣どらず、大羹 和えず、粢食 毇かず。巡狩して教を行い、天下に勤勞し、五嶽を周流す。豈に其の奉養 樂しむに足らざらんや。天下を舉げて以て社稷と為し、利有るに非ざるなり。年 衰え志 憫れみ、天下を舉げて之を舜に傳うること、猶お卻行して屣を脫するがごとし。衰世は則ち然らず。一日にして天下の富有り、人主の勢に處れば、則ち百姓の力を竭くして、以て耳目の欲に奉じ、志 專ら宮室台榭、陂池苑囿、猛獸熊羆、玩好珍怪に在り。是の故に貧民は糟糠も口に接せずして、虎狼熊羆は芻豢に厭き、百姓は短褐も完からずして、宮室は錦繡を衣る。人主 茲の無用の功を急にして、百姓黎民、天下に憔悴す。是の故に天下をして其の性に安んぜざらしむ。