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淮南子 / 詮言訓

釋道而任智者必危,棄數而用才者必困。有以欲多而亡者,未有以無欲而危者也;有以欲治而亂者,未有以守常而失者也。故智不足免患,愚不足以至於失寧。守其分,循其理,失之不憂,得之不喜,故成者非所為也,得者非所求也。入者有受而無取,出者有授而無予,因春而生,因秋而殺,所生者弗德,所殺者非怨,則幾於道也。

新字:釈道而任智者必危,棄数而用才者必困。有以欲多而亡者,未有以無欲而危者也;有以欲治而乱者,未有以守常而失者也。故智不足免患,愚不足以至於失寧。守其分,循其理,失之不憂,得之不喜,故成者非所為也,得者非所求也。入者有受而無取,出者有授而無予,因春而生,因秋而殺,所生者弗徳,所殺者非怨,則幾於道也。

書き下し

道を釋てて智に任ずる者は必ず危うし。數を棄てて才を用うる者は必ず困しむ。欲 多きを以て亡ぶ者有るも、未だ無欲を以て危うき者有らざるなり。治めんと欲するを以て亂るる者有るも、未だ常を守るを以て失う者有らざるなり。故に智も患を免るるに足らず、愚も以て寧きを失うに至るに足らず。其の分を守り、其の理に循い、之を失いて憂えず、之を得て喜ばず。故に成る者は爲す所に非ざるなり。得る者は求むる所に非ざるなり。入る者は受くる有りて取る無く、出づる者は授くる有りて予うる無し。春に因りて生じ、秋に因りて殺す。生ずる所の者を德とせず、殺す所の者を怨みとせざれば、則ち道に幾し。

現代語訳

道を捨てて知恵に任せる者は必ず危うい。定まった数を棄てて才に頼る者は必ず苦しむ。欲が多くて滅んだ者はいるが、無欲で危うくなった者はいない。治めようとして乱れた者はいるが、常のやり方を守って失った者はいない。だから知恵も患いを免れるには足りず、愚かさも安らかさを失わせるほどではない。自分の分を守り、その理に従い、失っても憂えず、得ても喜ばない。だから成し遂げられたものは、自分がしたことではない。得られたものは、自分が求めたものではない。入ってくるものは受け取るだけで取りに行かず、出ていくものは授けるだけで押しつけない。春には春に応じて生じさせ、秋には秋に応じて殺す。生じさせたものを恩に着せず、殺したものを怨みとしなければ、道に近い。

解説

「欲 多きを以て亡ぶ者有るも、未だ無欲を以て危うき者有らざるなり」。片側にしか事故が起きない、という数え方が明快です。治めようとして乱れた例はあるが、常のやり方を守って失った例はない、と続く。受け取り方も静かで、「入る者は受くる有りて取る無く、出づる者は授くる有りて予うる無し」。取りに行かず、押しつけない。

この章句が説くこと

道を釈てて智に任ずる者は必ず危うし数を棄てて才を用うる者は必ず困しむ欲多きを以て亡ぶ者有るも未だ無欲を以て危うき者有らざるなり治めんと欲するを以て乱るる者有るも未だ常を守るを以て失う者有らず成る者は為す所に非ざるなり得る者は求むる所に非ざるなり入る者は受くる有りて取る無く出づる者は授くる有りて予うる無し無欲

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