淮南子 / 詮言訓
天下不可以智為也,不可以慧識也,不可以事治也,不可以仁附也,不可以強勝也。五者皆人才也,德不盛,不能成一焉。德立則五無殆,五見則德無位矣。故得道則愚者有餘,失道則智者不足。渡水而無遊數,雖強必沉;有遊數,雖羸必遂。又況托於舟航之上乎!
新字:天下不可以智為也,不可以慧識也,不可以事治也,不可以仁附也,不可以強勝也。五者皆人才也,徳不盛,不能成一焉。徳立則五無殆,五見則徳無位矣。故得道則愚者有余,失道則智者不足。渡水而無遊数,雖強必沈;有遊数,雖羸必遂。又況托於舟航之上乎!
書き下し
天下は智を以て爲す可からざるなり。慧を以て識る可からざるなり。事を以て治む可からざるなり。仁を以て附く可からざるなり。強を以て勝つ可からざるなり。五つの者は皆な人才なり。德 盛んならざれば、一をも成す能わず。德 立てば則ち五つながら殆うきこと無し。五つ見わるれば則ち德 位無し。故に道を得れば則ち愚者も餘り有り、道を失えば則ち智者も足らず。水を渡るに遊數無くんば、強しと雖も必ず沉む。遊數有らば、羸しと雖も必ず遂ぐ。又た況んや舟航の上に托するをや。
現代語訳
天下は知恵で治められない。賢さで見通せない。事務で治められない。仁で懐かせられない。強さで勝てない。この五つはみな人の才である。徳が盛んでなければ、一つも成し遂げられない。徳が立てば五つとも危うくない。五つが表に現れれば、徳の居場所がなくなる。だから道を得れば愚か者にも余りがあり、道を失えば知者でも足りない。水を渡るのに泳ぎの型を知らなければ、力が強くても必ず沈む。泳ぎの型があれば、痩せていても必ず渡り切る。まして舟に乗せてもらえるならなおさらだ。
解説
知恵・賢さ・実務・仁・強さ。五つとも人の才であり、それだけでは天下は治まらない、と並べます。面白いのは「五つ見わるれば則ち德 位無し」。才が表に出るほど、徳の居場所がなくなる。泳ぎの喩えが分かりやすくて、力任せの者は沈み、型を知る者は痩せていても渡る。さらに上があって、舟に乗せてもらえばよい、と。
この章句が説くこと
天下は智を以て為す可からず慧を以て識る可からず五つの者は皆な人才なり徳盛んならざれば一をも成す能わず五つ見わるれば則ち徳位無し道を得れば則ち愚者も余り有り道を失えば則ち智者も足らず水を渡るに遊数無くんば強しと雖も必ず沈む才
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