淮南子 / 氾論訓
宋人有嫁子者,告其子曰:「嫁未必成也。有如出,不可不私藏。私藏而富,其於以復嫁易。」其子聽父之計,竊而藏之。若公知其盜也,逐而去之。其父不自非也,而反得其計。知為出藏財,而不知藏財所以出也,為論如此,豈不勃哉!今夫僦載者,救一車之任,極一牛之力,為軸之折也,有如轅軸其上以為造,不知軸轅之趣軸折也。楚王之佩玦而逐菟,為走而破其玦也,因珮兩玦以為之豫,兩玦相觸,破乃逾疾。亂國之治,有似於此。夫鴟目大而視不若鼠,蚈足眾而走不若蛇,物固有大不若小,眾不若少者。
新字:宋人有嫁子者,告其子曰:「嫁未必成也。有如出,不可不私蔵。私蔵而富,其於以復嫁易。」其子聴父之計,竊而蔵之。若公知其盗也,逐而去之。其父不自非也,而反得其計。知為出蔵財,而不知蔵財所以出也,為論如此,豈不勃哉!今夫僦載者,救一車之任,極一牛之力,為軸之折也,有如轅軸其上以為造,不知軸轅之趣軸折也。楚王之佩玦而逐菟,為走而破其玦也,因珮両玦以為之予,両玦相触,破乃逾疾。乱国之治,有似於此。夫鴟目大而視不若鼠,蚈足眾而走不若蛇,物固有大不若小,眾不若少者。
書き下し
宋人に子を嫁がしむる者有り。其の子に告げて曰く、「嫁は未だ必ずしも成らざるなり。如し出さるること有らば、私かに藏せざる可からず。私かに藏して富まば、其れ以て復た嫁ぐに易からん」と。其の子 父の計を聽き、竊みて之を藏す。公 其の盜むを知るが若く、逐いて之を去らしむ。其の父 自ら非とせずして、反って其の計を得たりとす。出でて財を藏する所以を知りて、財を藏するが出さるる所以なるを知らず。論を爲すこと此くの如きは、豈に勃ならずや。今夫れ僦載する者は、一車の任を救い、一牛の力を極む。軸の折るるが爲に、如し轅軸を其の上にして以て造と爲すこと有れば、軸轅の趣に軸を折らしむるを知らず。楚王の玦を佩びて菟を逐うに、走りて其の玦を破るが爲に、因りて兩玦を珮びて以て之が豫と爲す。兩玦 相い觸れて、破るること乃ち逾々疾し。亂國の治、此に似たる有り。夫れ鴟の目は大なるも視ること鼠に若かず。蚈の足は眾きも走ること蛇に若かず。物 固より大なるも小に若かず、眾きも少なきに若かざる者有り。
現代語訳
宋の人に娘を嫁がせる者がいた。娘に言った、「嫁入りは必ずしもうまくいくとは限らない。もし追い出されるようなことがあれば、こっそり蓄えておかなければならない。こっそり蓄えて豊かになれば、また嫁ぐのもたやすい」。娘は父の言うとおり、盗んで蓄えた。舅がその盗みを知って、追い出した。その父は自分を非とせず、かえって自分の考えが当たったとした。追い出されたときに財を蓄えている理由は知って、財を蓄えたことが追い出された理由だとは知らない。こういう論じ方は、道理に外れていないか。荷を請け負って運ぶ者は、一台の車の積載を救おうとし、一頭の牛の力を限界まで使う。車軸が折れるからといって、もし轅と軸をその上に重ねて補強したなら、その轅と軸の重さこそが軸を折れさせるとは知らない。楚王が玦を帯びて兎を追い、走って玦を割ったので、二つの玦を帯びて備えとした。二つの玦が触れ合って、割れるのがかえって早くなった。乱れた国の治め方も、これに似ている。ふくろうの目は大きいが、見ることは鼠に及ばない。むかでの足は多いが、走ることは蛇に及ばない。物にはもともと、大きくても小さいものに及ばず、多くても少ないものに及ばないものがある。
解説
この章句が説くこと
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