淮南子 / 道應訓
秦皇帝得天下,恐不能守,發邊戍,築長城,修關梁,設障塞,具傳車,置邊吏。然劉氏奪之,若轉閉錘。昔者武王伐紂,破之牧野,乃封比干之墓,表商容之閭,柴箕子之門,朝成湯之廟,發钜橋之粟,散鹿臺之錢,破鼓折枹,馳弓絶絃,去舍露宿以示平易,解劍帶笏以示無仇。於此天下歌謠而樂之,諸侯執幣相朝,三十四世不奪。故老子曰:「善閉者,無關鍵而不可開也;善結者,無繩約而不可解也。」
新字:秦皇帝得天下,恐不能守,発辺戍,築長城,修関梁,設障塞,具伝車,置辺吏。然劉氏奪之,若転閉錘。昔者武王伐紂,破之牧野,乃封比干之墓,表商容之閭,柴箕子之門,朝成湯之廟,発钜橋之粟,散鹿台之銭,破鼓折枹,馳弓絶絃,去舎露宿以示平易,解剣帯笏以示無仇。於此天下歌謡而楽之,諸侯執幣相朝,三十四世不奪。故老子曰:「善閉者,無関鍵而不可開也;善結者,無縄約而不可解也。」
書き下し
秦の皇帝 天下を得て、守る能わざるを恐れ、邊戍を發し、長城を築き、關梁を修め、障塞を設け、傳車を具え、邊吏を置く。然れども劉氏 之を奪うこと、閉錘を轉ずるが若し。昔者 武王 紂を伐ち、之を牧野に破る。乃ち比干の墓を封じ、商容の閭を表し、箕子の門に柴し、成湯の廟に朝し、钜橋の粟を發き、鹿臺の錢を散じ、鼓を破り枹を折り、弓を馳べ絃を絶ち、舍を去りて露宿し、以て平易を示し、劍を解き笏を帶びて、以て仇無きを示す。此に於いて天下 歌謠して之を樂しみ、諸侯 幣を執りて相い朝し、三十四世 奪われず。故に老子曰く、「善く閉ざす者は、關鍵無くして開く可からず。善く結ぶ者は、繩約無くして解く可からず」と。
現代語訳
秦の始皇帝は天下を得て、守れないことを恐れ、辺境の守備兵を出し、長城を築き、関所と橋を整え、砦を設け、早馬の制を備え、辺境の役人を置いた。それでも劉氏がそれを奪うことは、錘を転がすように容易だった。昔、武王は紂を討ち、牧野で破った。そして比干の墓を封じ、商容の里を表彰し、箕子の門で柴を焚いて祀り、成湯の廟に朝し、鉅橋の粟を開き、鹿台の銭を散じ、太鼓を破り撥を折り、弓を緩め弦を切り、宿舎を離れて野宿し、それで平らかであることを示し、剣を解いて笏を帯び、それで仇のないことを示した。そこで天下は歌ってこれを楽しみ、諸侯は礼物を持って朝し、三十四代にわたって奪われなかった。だから老子は言った、「よく閉ざす者は、閂がなくても開けられない。よく結ぶ者は、縄がなくても解けない」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『晏子春秋』外篇上・景公坐路寢曰誰將有此晏子諫景公路寝に坐して、曰く、「美なるかな室、其れ誰か将に此を有たんとするか」と。晏子対えて曰く、「其れ田氏か。田無宇は垾を為せり」と。公曰く、「然らば則ち奈何」と。晏子対えて曰く、「善を為す者は、君上の勧むる所なり。豈に禁ず可けんや。夫れ田氏は、国門に柝を撃つの家にして、父は以て其の子に托し、兄は以て其の弟に托し、今に於て三世なり。山の木は市の如くにして、山に加えず。魚塩蚌蜃は、海に加えず。民財之が為に帰す。今歳凶饑にして、蒿種芼斂は半ばならず、道路に死人有り。斉の旧四量は、四升を豆と為し、豆四にして区、区四にして釜、釜十にして鐘なり。田氏の四量は、各々一を加う。家の量を以て貸し、公の量を以て収む。則ち糴する所以、百姓の死命を澤うこと多し。今公家は驕汰にして、田氏は慈恵なり。国の澤は是に焉くにか帰せん。田氏は徳無しと雖も、民に施す有り。公厚く斂め、田氏は厚く施す。詩に曰く、『汝に与うる徳無しと雖も、式て歌い且つ舞う』と。田氏の施しは、民之を歌舞するなり。国の帰するも、亦た宜ならずや」と。
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史記 高祖本紀且つ吾の軍を霸上に還す所以は、諸侯の至るを待ちて約束を定めんのみ。」と。乃ち人をして秦の吏と県郷邑を行かしめ、之に告諭す。秦人大いに喜び、争ひて牛羊酒食を持ちて軍士に献饗す。沛公又譲りて受けず、曰く、「倉粟多し、乏しきに非ず、人に費さしむるを欲せず。」と。人又益々喜び、唯だ沛公の秦王と為らざらんことを恐る。
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『弁道』第二十四則「之を継ぐ者は善」とは、天を継ぐの継の如し。善とは善人を謂ふなり。流行と訓ずる者は継の字の義を失へり。「之を成す者は性」とは、人各〻性の近き所に随ひて務めを成すを謂ふなり。凡そ徳と言ふ者、怨に対して言ふ者有り、財に対して言ふ者有り。其の単に言ふ者は、皆性の徳なり。爾らずんば、「徳に拠る」、何ぞ其れ荒唐なるや。人心とは民心なり。朽索の馭の如し。故に危ふしと曰ふ。道心とは民心を導くなり。其の機甚だ微なり。故に微なりと曰ふ。
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『呻吟語』内篇・應務・一の拙法有り世人の相與するは、面上に非ざれば則ち口中なり。人の心は固より面と口とに掩ふ能はず。而して測る可からざる者は則ち面と口とに盡きざるなり。故に惟だ人心のみ最も畏る可く、人心最も知る可からず。此れ天下の陷阱にして、古今生死の衢なり。余に一の拙法有り。之を推すに至誠を以てし、之を施すに至厚を以てし、之を持するに至慎を以てし、是非を遠ざけ、利名を讓り、後下に處せば、則ち夷狄鳥獸も骨肉腹心とす可し。將に深き者をして且つ心を傾けしめ、險なる者をして且つ德に化せしめんとす。而して何ぞ陷阱の予に及ばんや。
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言志四録・言志録 第百八十一条 勢に因りて利導す人情の気機は、一定を以て求むべからず。之を誘へば勧み、之を禁ずれば遏む、順なり。之を導けば反つて阻み、之を抑ふれば益揚る、逆なり。是の故に駕馭の道は、当に其の向背を察し、其の軽重を審らかにし、勢に因りて之を利導し、機に応じて之を激励し、其をして自ら其の然る所以を覚えざらしむべし。此れを之れ得たりと為す。
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『新書』連語紂は、天子の後なり、天下を有して宜しく然るべし。苟くも道に背き義を棄て、敬慎を釈てて驕肆を行えば、則ち天下の人、其の之に離るること崩るるが若く、其の之に背くや約せずして期するが若し。夫れ人主たる者、誠に奈何ぞ慎まざらんや。紂将に武王と戦わんとし、紂其の卒を陳ね、左臆右臆、之を鼓するも進まず、皆其の刃を還して、顧みて以て紂に鄉う。紂走りて寝廟の上に還り、身ら闘いて死す、左右肯て助けず。紂の官衛紂の躯を輿して、之を玉門の外に棄つ。民の観る者皆進みて之を蹴り、其の腹を蹈み、其の腎を蹶し、其の肺を践み、其の肝を履む。周の武王乃ち人をして帷して之を守らしむ、民の観る者帷を搴げて入り、石を提げて之にする者猶お未だ止むを肯んぜず。悲しむ可きなり。夫れ埶は民の主たるに、直ちに民と仇を為し、殃忿此くの若し。夫れ民尚お其の躯を践盤す、而るを況んや其の民を有ち政教するをや。羞ずること甚だし。臣竊かに之を聞くに曰く、「善は小にして益無しと謂う可からず、不善は小にして傷無しと謂う可からず」と。夫れ牛の胎と為るや、細きこと鼷鼠の若し、紂の天下を損ずるは、象箸自り始まる。故に小悪も大悪も一類なり、過敗小なりと雖も、皆紂の罪なり。周諺に曰く、「前車覆れば後車戒む」と。

人生を、一行の式にしてみた。
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