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淮南子 / 齊俗訓

夫雕琢刻鏤,傷農事者也;錦繡纂組,害女工者也。農事廢,女工傷,則飢之本而寒之原也。夫飢寒並至,能不犯法干誅者,古今之未聞也。故仕鄙在時不在行,利害在命不在智。夫敗軍之卒,勇武遁逃,將不能止也;勝軍之陳,怯者死行,懼不能走也。故江河決,沉一鄉,父子兄弟相遺而走,爭升陵阪,上高丘,輕足先升,不能相顧也;世樂志平,見鄰國之人溺,尚猶哀之,又況親戚乎!故身安則恩及鄰國,志為之滅;身危則忘其親戚,而人不能解也。

新字:夫雕琢刻鏤,傷農事者也;錦繡纂組,害女工者也。農事廃,女工傷,則飢之本而寒之原也。夫飢寒並至,能不犯法干誅者,古今之未聞也。故仕鄙在時不在行,利害在命不在智。夫敗軍之卒,勇武遁逃,将不能止也;勝軍之陳,怯者死行,懼不能走也。故江河決,沈一鄉,父子兄弟相遺而走,争升陵阪,上高丘,軽足先升,不能相顧也;世楽志平,見鄰国之人溺,尚猶哀之,又況親戚乎!故身安則恩及鄰国,志為之滅;身危則忘其親戚,而人不能解也。

書き下し

夫れ雕琢刻鏤は、農事を傷なう者なり。錦繡纂組は、女工を害する者なり。農事 廢れ、女工 傷つけば、則ち飢の本にして寒の原なり。夫れ飢寒 並び至りて、能く法を犯し誅を干さざる者は、古今の未だ聞かざるなり。故に仕鄙は時に在りて行に在らず、利害は命に在りて智に在らず。夫れ敗軍の卒は、勇武も遁逃す。將も止むる能わざるなり。勝軍の陳は、怯者も行に死す。懼れて走る能わざればなり。故に江河 決して、一鄉を沉むれば、父子兄弟 相い遺れて走り、爭いて陵阪に升り、高丘に上る。輕足なる者 先んじて升り、相い顧みる能わざるなり。世 樂しく志 平らかなれば、鄰國の人の溺るるを見ても、尚お猶お之を哀しむ。又た況んや親戚をや。故に身 安ければ則ち恩 鄰國に及び、志 之が為に滅す。身 危うければ則ち其の親戚を忘れて、人 解く能わざるなり。

現代語訳

彫りや刻みは農事を損なうものであり、刺繍や組み紐は女の仕事を損なうものである。農事が廃れ、織りが損なわれれば、それが飢えのもとであり寒さの源である。飢えと寒さがともに至って、法を犯さず罰を求めずにいられた者は、古今に聞いたことがない。だから仕えるか賤しくいるかは時によるのであって行いによるのではなく、利害は命によるのであって知恵によるのではない。敗れた軍の兵は、勇者でも逃げる。将軍にも止められない。勝っている軍の陣では、臆病者でも隊列の中で死ぬ。恐ろしくて逃げられないからである。だから大河が決壊して一つの村を沈めれば、父子兄弟も互いを忘れて走り、争って坂を登り、高い丘に上る。足の軽い者が先に登り、互いを顧みる余裕がない。世が楽しく心が平らかであれば、隣の国の人が溺れるのを見てさえ哀れむ。まして肉親ならなおさらである。だから身が安らかであれば恩は隣国にまで及び、志はそのために尽くされる。身が危うければ肉親のことも忘れる。人にはそれを解けない。

解説

「敗軍の卒は、勇武も遁逃す……勝軍の陳は、怯者も行に死す」。勇気も臆病も、その場の流れが決めてしまう。だから「仕鄙は時に在りて行に在らず」。人の値打ちを行いだけで説明しない見方です。決壊した村から逃げるとき、父子兄弟が互いを忘れる。余裕があるときは隣国の人の遭難まで哀れむのに、と。人の情の厚薄が、状況の関数として描かれています。

この章句が説くこと

雕琢刻鏤は農事を傷なう者なり錦繡纂組は女工を害する者なり飢寒並び至りて能く法を犯し誅を干さざる者は古今の未だ聞かざるなり仕鄙は時に在りて行に在らず利害は命に在りて智に在らず敗軍の卒は勇武も遁逃す勝軍の陳は怯者も行に死す身安ければ則ち恩鄰国に及び身危うければ則ち其の親戚を忘る状況

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