淮南子 / 齊俗訓
是故入其國者從其俗,入其家者避其諱,不犯禁而入,不忤逆而進,雖之夷狄徒裸之國,結軌乎遠方之外,而無所困矣。禮者,實之文也;仁者,恩之效也。故禮因人情而為之節文,而仁發恲以見容。禮不過實,仁不溢恩也,治世之道也。夫三年之喪,是強人所不及也,而以偽輔情也。
新字:是故入其国者従其俗,入其家者避其諱,不犯禁而入,不忤逆而進,雖之夷狄徒裸之国,結軌乎遠方之外,而無所困矣。礼者,実之文也;仁者,恩之効也。故礼因人情而為之節文,而仁発恲以見容。礼不過実,仁不溢恩也,治世之道也。夫三年之喪,是強人所不及也,而以偽輔情也。
書き下し
是の故に其の國に入る者は其の俗に從い、其の家に入る者は其の諱を避く。禁を犯さずして入り、逆に忤らわずして進めば、夷狄徒裸の國に之き、軌を遠方の外に結ぶと雖も、困しむ所無し。禮なる者は、實の文なり。仁なる者は、恩の效なり。故に禮は人情に因りて之が節文を為し、而して仁は恲を發して以て容を見す。禮 實に過ぎず、仁 恩に溢れざるは、治世の道なり。夫れ三年の喪は、是れ人の及ばざる所を強うるにして、偽を以て情を輔くるなり。
現代語訳
だからその国に入る者はその習わしに従い、その家に入る者はその家の忌みを避ける。禁を犯さずに入り、道理に逆らわずに進めば、異民族や裸の国へ行き、遠方の外まで車を進めても、困ることはない。礼とは実の飾りであり、仁とは恩の効きめである。だから礼は人の情に沿ってその節度と飾りを作り、仁は湧き出るものを発して姿に現す。礼が実を越えず、仁が恩を上回らないのが、治まった世の道である。そもそも三年の喪は、人が及びもつかないことを強いており、偽りによって情を補っている。
解説
「禮なる者は、實の文なり。仁なる者は、恩の效なり」。礼は中身にかぶせる飾りで、仁は恩がもたらす効きめ。どちらも独立して立つものではないという定義です。だから基準もはっきりします。「禮 實に過ぎず、仁 恩に溢れざる」。飾りが中身を上回らず、示す仁が実際の恩を超えない。三年の喪への批判も、この物差しから出ています。届かないところを形で埋めれば、偽りで情を補うことになる、と。
この章句が説くこと
其の国に入る者は其の俗に従い其の家に入る者は其の諱を避く礼なる者は実の文なり仁なる者は恩の効なり礼は人情に因りて之が節文を為す礼実に過ぎず仁恩に溢れざるは治世の道なり三年の喪は人の及ばざる所を強うるにして偽を以て情を輔くるなり礼
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