淮南子 / 齊俗訓
故有大路龍旂,羽蓋垂緌,結駟連騎,則必有穿窬拊楗、抽箕踰備之姦;有詭文繁繡,弱緆羅紈,必有菅屩跐踦,短褐不完者。故高下之相傾也,短脩之相形也,亦明矣。夫蝦蟆為鶉,水蠆為𧐟莣,皆生非其類,唯聖人知其化。夫胡人見黂,不知其可以為布也;越人見毳,不知其可以為旃也。故不通於物者,難與言化。
新字:故有大路竜旂,羽蓋垂緌,結駟連騎,則必有穿窬拊楗、抽箕踰備之姦;有詭文繁繡,弱緆羅紈,必有菅屩跐踦,短褐不完者。故高下之相傾也,短脩之相形也,亦明矣。夫蝦蟆為鶉,水蠆為𧐟莣,皆生非其類,唯聖人知其化。夫胡人見黂,不知其可以為布也;越人見毳,不知其可以為旃也。故不通於物者,難与言化。
書き下し
故に大路龍旂、羽蓋垂緌、結駟連騎 有れば、則ち必ず穿窬拊楗、抽箕踰備の姦 有り。詭文繁繡、弱緆羅紈 有れば、必ず菅屩跐踦、短褐 完からざる者 有り。故に高下の相い傾くや、短脩の相い形るや、亦た明らかなり。夫れ蝦蟆は鶉と為り、水蠆は𧐟莣と為る。皆な其の類に非ざるものを生ず。唯だ聖人のみ其の化を知る。夫れ胡人は黂を見て、其の以て布と為す可きを知らず。越人は毳を見て、其の以て旃と為す可きを知らず。故に物に通ぜざる者は、與に化を言い難し。
現代語訳
だから立派な車と龍の旗、羽の覆いと垂れ飾り、四頭立てを連ねた騎馬があれば、必ず壁を穿ち閂を打ち、箱を抜き備えを越える盗みがある。凝った模様と重ねた刺繍、薄い上布や絹紗があれば、必ず草鞋を引きずり、短い衣も満足でない者がいる。だから高いものと低いものが互いに傾き合い、短いものと長いものが互いにかたちを見せ合うことは、明らかである。蝦蟇は鶉になり、水中のやごはとんぼになる。どれも自分と同じ類でないものを生む。ただ聖人だけが、その変化を知る。胡の人は麻の実を見ても、それが布になるとは知らない。越の人は毛を見ても、それが毛氈になるとは知らない。だから物に通じていない者とは、移り変わりを語り合えない。
解説
豪華なものと貧しいものは、別々に存在しているのではなく、対で現れる。「大路龍旂……有れば、則ち必ず穿窬拊楗……の姦 有り」。立派な車列があるところには必ず盗みがあり、凝った刺繍があるところには必ず着るものに事欠く者がいる。片方だけを取り出して論じられない、という見方です。後半は変化の話で、麻の実が布になり、毛が毛氈になることを知らない者とは、移り変わりを語れない、と。
この章句が説くこと
大路竜旂結駟連騎有れば則ち必ず穿窬拊楗の姦有り詭文繁繡有れば必ず短褐完からざる者有り高下の相い傾くや短脩の相い形るや亦た明らかなり蝦蟆は鶉と為り水蠆は𧐟莣と為る物に通ぜざる者は与に化を言い難し対比
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