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淮南子 / 覽冥訓

昔者,師曠奏白雪之音,而神物為之下降,風雨暴至。平公癃病,晉國赤地。庶女叫天,雷電下擊,景公台隕,支體傷折,海水大出。夫瞽師、庶女,位賤尚葈,權輕飛羽,然而專精厲意,委務積神,上通九天,激厲至精。由此觀之,上天之誅也,雖在壙虛幽間,遼遠隱匿,重襲石室,界障險阻,其無所逃之亦明矣。

新字:昔者,師曠奏白雪之音,而神物為之下降,風雨暴至。平公癃病,晉国赤地。庶女叫天,雷電下擊,景公台隕,支体傷折,海水大出。夫瞽師、庶女,位賤尚葈,権軽飛羽,然而専精厲意,委務積神,上通九天,激厲至精。由此観之,上天之誅也,雖在壙虚幽間,遼遠隠匿,重襲石室,界障険阻,其無所逃之亦明矣。

書き下し

昔者、師曠 白雪の音を奏して、神物之が為に下降し、風雨暴かに至る。平公は癃病し、晉國は赤地たり。庶女 天に叫びて、雷電下り擊ち、景公の台隕ち、支體傷折し、海水大いに出づ。夫れ瞽師・庶女は、位賤しくして尚お葈、權の輕きこと飛羽のごとし。然れども精を專らにし意を厲まし、務を委ねて神を積み、上は九天に通じ、至精を激厲す。此に由りて之を觀れば、上天の誅や、壙虛幽間、遼遠隱匿、石室を重襲し、界障險阻なるに在りと雖も、其の逃るる所無きも亦た明らかなり。

現代語訳

昔、楽人の師曠が白雪の曲を奏でると、神なるものがそのために降り、風雨が突然に至った。晋の平公は病んで動けなくなり、晋の国は草木の枯れた赤い土地となった。身分の低い一人の女が天に向かって叫ぶと、雷と電が下って撃ち、斉の景公の台は崩れ落ち、その手足は折れ傷つき、海水が大きくあふれ出た。そもそも盲目の楽師も身分の低い女も、地位は賤しく取るに足らず、持つ力の軽いことは飛ぶ羽のようである。それでも精神を一つに集め、思いを研ぎ澄まし、余念を預けて気を積み重ね、上は九天まで通じ、極みの精を激しく振るわせた。これによって見れば、天の下す罰というものは、たとえ荒れ野の奥深く、遠く離れた隠れ場所、石室を幾重にも重ね、境の砦を険しく構えた所にいたとしても、逃れる場所がないことは明らかである。

解説

覽冥訓の書き出しです。動かしたのが誰であったかに念が入っています。宮廷の楽師とはいえ目の見えない者、そして名もない一人の女。「位賤しくして尚お葈、權の輕きこと飛羽のごとし」と、わざわざ軽さを言い立てたうえで、その二人が天を動かしたと書く。効いたのは地位ではなく「精を專らにし意を厲まし」でした。だから天の罰からは、石室を重ねても逃げ場がない、と続きます。

この章句が説くこと

師曠白雪の音を奏して神物之が為に下降す庶女天に叫びて雷電下り擊つ位賤しくして尚お葈権の軽きこと飛羽のごとし精を専らにし意を厲まし務を委ねて神を積み上は九天に通ず上天の誅や其の逃るる所無し感応

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