淮南子 / 墜形訓
昆侖之丘,或上倍之,是謂涼風之山,登之而不死。或上倍之,是謂懸圃,登之乃靈,能使風雨。或上倍之,乃維上天,登之乃神,是謂太帝之居。扶木在陽州,日之所曊。建木在都廣,眾帝所自上下,日中無景,呼而無響,蓋天地之中也。若木在建木西,末有十日,其華照下地。九州之大,純方千里,九州之外,乃有八殥,亦方千里。自東北方曰大澤,曰無通;東方曰大渚,曰少海;東南方曰具區,曰元澤;南方曰大夢,曰浩澤;西南方曰渚資,曰丹澤;西方曰九區,曰泉澤;西北方曰大夏,曰海澤;北方曰大冥,曰寒澤。凡八殥八澤之雲,是雨九州。
新字:昆侖之丘,或上倍之,是謂涼風之山,登之而不死。或上倍之,是謂懸圃,登之乃霊,能使風雨。或上倍之,乃維上天,登之乃神,是謂太帝之居。扶木在陽州,日之所曊。建木在都広,眾帝所自上下,日中無景,呼而無響,蓋天地之中也。若木在建木西,末有十日,其華照下地。九州之大,純方千里,九州之外,乃有八殥,亦方千里。自東北方曰大沢,曰無通;東方曰大渚,曰少海;東南方曰具区,曰元沢;南方曰大夢,曰浩沢;西南方曰渚資,曰丹沢;西方曰九区,曰泉沢;西北方曰大夏,曰海沢;北方曰大冥,曰寒沢。凡八殥八沢之雲,是雨九州。
書き下し
昆侖の丘、或いは上ること之に倍すれば、是を涼風の山と謂う。之に登れば死せず。或いは上ること之に倍すれば、是を懸圃と謂う。之に登れば乃ち靈にして、能く風雨を使う。或いは上ること之に倍すれば、乃ち上天を維ぐ。之に登れば乃ち神なり。是を太帝の居と謂う。扶木は陽州に在り、日の曊す所なり。建木は都廣に在り、眾帝の自ら上下する所なり。日中に景無く、呼びて響き無し。蓋し天地の中なり。若木は建木の西に在り、末に十日有り、其の華は下地を照らす。九州の大なる、純方千里、九州の外、乃ち八殥有り、亦た方千里。東北方より大澤と曰い、無通と曰う。東方は大渚と曰い、少海と曰う。東南方は具區と曰い、元澤と曰う。南方は大夢と曰い、浩澤と曰う。西南方は渚資と曰い、丹澤と曰う。西方は九區と曰い、泉澤と曰う。西北方は大夏と曰い、海澤と曰う。北方は大冥と曰い、寒澤と曰う。凡そ八殥八澤の雲は、是れ九州に雨ふらす。
現代語訳
崑崙の丘を、その倍まで登れば、これを涼風の山という。ここに登れば死なない。さらにその倍まで登れば、これを懸圃という。ここに登れば霊妙となり、風雨を使える。さらにその倍まで登れば、天上に繋がる。ここに登れば神である。これを太帝の住まいという。扶木は陽州にあり、日が照らすところである。建木は都広にあり、多くの帝が上り下りするところである。正午に影がなく、呼んでも響きがない。おそらく天地の中央である。若木は建木の西にあり、その先に十の日があり、その花は下の地を照らす。九州の大きさは、それぞれ四方千里。九州の外に八つの殥があり、これも四方千里。東北を大沢といい無通といい、東を大渚といい少海といい、東南を具区といい元沢といい、南を大夢といい浩沢といい、西南を渚資といい丹沢といい、西を九区といい泉沢といい、西北を大夏といい海沢といい、北を大冥といい寒沢という。八つの殥と八つの沢の雲が、九州に雨を降らせる。
解説
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『淮南子』墜形訓八殥の外に、八紘有り、亦た方千里。東北方より和丘と曰い、荒土と曰う。東方は棘林と曰い、桑野と曰う。東南方は大窮と曰い、眾女と曰う。南方は都廣と曰い、反戶と曰う。西南方は焦僥と曰い、炎土と曰う。西方は金丘と曰い、沃野と曰う。西北方は一目と曰い、沙所と曰う。北方は積冰と曰い、委羽と曰う。凡そ八紘の氣は、是れ寒暑を出だし、以て八正に合し、必ず風雨を以てす。八紘の外に、乃ち八極有り。東北方より方土の山と曰い、蒼門と曰う。東方は東極の山と曰い、開明の門と曰う。東南方は波母の山と曰い、陽門と曰う。南方は南極の山と曰い、暑門と曰う。西南方は編駒の山と曰い、白門と曰う。西方は西極の山と曰い、閶闔の門と曰う。西北方は不周の山と曰い、幽都の門と曰う。北方は北極の山と曰い、寒門と曰う。凡そ八極の雲は、是れ天下に雨ふらす。八門の風は、是れ寒暑を節す。八紘・八殥・八澤の雲は、以て九州に雨ふらして中土を和す。
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『淮南子』墜形訓墬形の載する所、六合の間、四極の内、之を照らすに日月を以てし、之を經するに星辰を以てし、之を紀するに四時を以てし、之を要するに太歲を以てす。天地の間、九州八極、土に九山有り、山に九塞有り、澤に九藪有り、風に八等有り、水に六品有り。何をか九州と謂う。東南の神州を農土と曰い、正南の次州を沃土と曰い、西南の戎州を滔土と曰い、正西の弇州を並土と曰い、正中の冀州を中土と曰い、西北の台州を肥土と曰い、正北の泲州を成土と曰い、東北の薄州を隱土と曰い、正東の陽州を申土と曰う。
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『淮南子』墜形訓何をか六水と謂う。曰く、河水・赤水・遼水・黑水・江水・淮水なり。四海の内を闔むるに、東西二萬八千里、南北二萬六千里、水道八千里、通穀其の名川六百、陸徑三千里。禹乃ち太章をして東極より步かしめ、西極に至ること二億三萬三千五百里七十五步。豎亥をして北極より步かしめ、南極に至ること二億三萬三千五百七十五里。凡そ鴻水淵藪、三百仞より以上、二億三萬三千五百五十里、九淵有り。禹乃ち息土を以て洪水を填めて以て名山と為し、昆侖の虛を掘りて以て地を下す。中に增城九重有り、其の高さ萬一千里百一十四步二尺六寸。上に木禾有り、其の修さ五尋。珠樹・玉樹・琁樹・不死樹は其の西に在り、沙棠・琅玕は其の東に在り、絳樹は其の南に在り、碧樹・瑤樹は其の北に在り。旁らに四百四十門有り、門の間四里、里の間九純、純は丈五尺。旁らに九井玉橫有り、其の西北の隅を維ぐ。北門開きて以て不周の風を内る。傾宮・旋室・縣圃・涼風・樊桐は昆侖閶闔の中に在り、是れ其の疏圃なり。疏圃の池、之を浸すに黃水を以てし、黃水三たび周りて其の原に複る。是を丹水と謂う。之を飲めば死せず。河水は昆侖の東北の陬に出で、渤海を貫き、禹の導く所の積石山に入る。赤水は其の東南の陬に出で、西南のかた南海丹澤の東に注ぐ。赤水の東、弱水は窮石より出でて、合黎に至り、餘波は流沙に入り、流沙を絕ちて南のかた南海に至る。洋水は其の西北の陬に出で、南海羽民の南に入る。凡そ四水なる者は、帝の神泉なり。以て百藥を和し、以て萬物を潤す。
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『淮南子』時則訓中央の極、昆侖より東のかた兩恆山を絕ち、日月の道する所、江・漢の出づる所、眾民の野、五穀の宜しき所、龍門・河・濟相い貫き、息壤を以て洪水を堙ぐの州、東のかた碣石に至る、黃帝・后土の司る所の者、萬二千里。其の令に曰く、平らかにして阿らず、明らかにして苛ならず、包裹覆露して、囊懷せざる無く、溥氾にして私無く、正靜以て和し、稃鬻を行い、老衰を養い、死を弔い疾を問い、以て萬物の歸するを送る、と。
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『淮南子』墜形訓東方の美なる者は、醫毋閭の珣玗琪有り。東南方の美なる者は、會稽の竹箭有り。南方の美なる者は、梁山の犀象有り。西南方の美なる者は、華山の金石有り。西方の美なる者は、霍山の珠玉有り。西北方の美なる者は、昆侖の球琳・琅玕有り。北方の美なる者は、幽都の筋角有り。東北方の美なる者は、斥山の文皮有り。中央の美なる者は、岱嶽有りて以て五穀桑麻を生じ、魚鹽焉に出づ。凡そ地形は、東西を緯と為し、南北を經と為す。山を積德と為し、川を積刑と為す。高き者を生と為し、下き者を死と為す。丘陵を牡と為し、溪穀を牝と為す。水の圓く折るる者は珠有り、方に折るる者は玉有り。清水には黃金有り、龍淵には玉英有り。土地は各ミ其の類を以て生ず。是の故に山氣は男多く、澤氣は女多く、障氣は喑多く、風氣は聾多く、林氣は癃多く、木氣は傴多く、岸下の氣は腫多く、石氣は力多く、險阻の氣は癭多く、暑氣は夭多く、寒氣は壽多く、穀氣は痹多く、丘氣は狂多く、衍氣は仁多く、陵氣は貪多し。輕土は利多く、重土は遲多し。清水は音小さく、濁水は音大なり。湍水は人輕く、遲水は人重し。中土は聖人多し。皆な其の氣に象り、皆な其の類に應ず。故に南方に不死の草有り、北方に不釋の冰有り、東方に君子の國有り、西方に形殘の屍有り。寢居は直夢し、人死して鬼と為り、磁石は上飛し、雲母は水を來し、土龍は雨を致し、燕雁は代わる代わる飛ぶ。蛤蟹珠龜は、月と盛衰す。是の故に堅土の人は剛く、弱土の人は肥え、壚土の人は大に、沙土の人は細く、息土の人は美に、毛土の人は醜し。水を食らう者は善く游ぎ寒に能え、土を食らう者は心無くして慧く、木を食らう者は力多くして𡚤く、草を食らう者は善く走りて愚に、葉を食らう者は絲有りて蛾となり、肉を食らう者は勇敢にして悍く、氣を食らう者は神明にして壽く、穀を食らう者は知慧にして夭す。食らわざる者は死せずして神なり。
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『淮南子』天文訓天は日月星辰を受け、地は水潦塵埃を受く。昔者共工と顓頊と帝爲るを爭い、怒りて不周の山に觸れ、天柱折れ、地維絕ゆ。天西北に傾く、故に日月星辰焉に移る。地東南に滿たず、故に水潦塵埃焉に歸す。天道は圓と曰い、地道は方と曰う。方なる者は幽を主り、圓なる者は明を主る。明なる者は、氣を吐く者なり、是の故に火を外景と曰う。幽なる者は、氣を含む者なり、是の故に水を内景と曰う。氣を吐く者は施し、氣を含む者は化す。是の故に陽は施し陰は化す。天の偏氣、怒る者は風と為る。地の含氣、和する者は雨と為る。