淮南子 / 原道訓
夫執道理以耦變,先亦制後,後亦制先。是何則?不失其所以制人,人不能制也。時之反側,間不容息,先之則太過,後之則不逮。夫日回而月周,時不與人游,故聖人不貴尺之璧,而重寸之陰,時難得而易失也。禹之趨時也,履遺而弗取,冠掛而弗顧,非爭其先也,而爭其得時也。是故聖人守清道而抱雌節,因循應變,常後而不先。柔弱以靜,舒安以定,攻大䃺堅,莫能與之爭。
新字:夫執道理以耦変,先亦制後,後亦制先。是何則?不失其所以制人,人不能制也。時之反側,間不容息,先之則太過,後之則不逮。夫日回而月周,時不与人游,故聖人不貴尺之璧,而重寸之陰,時難得而易失也。禹之趨時也,履遺而弗取,冠掛而弗顧,非争其先也,而争其得時也。是故聖人守清道而抱雌節,因循応変,常後而不先。柔弱以静,舒安以定,攻大䃺堅,莫能与之争。
書き下し
夫れ道理を執りて以て變に耦えば、先も亦た後を制し、後も亦た先を制す。是れ何ぞや。其の人を制する所以を失わざれば、人制する能わざるなり。時の反側は、間に息を容れず。之に先んずれば則ち太だ過ぎ、之に後るれば則ち逮ばず。夫れ日は回り月は周り、時は人と游ばず。故に聖人は尺の璧を貴ばずして、寸の陰を重んず。時は得難くして失い易ければなり。禹の時に趨るや、履遺れて取らず、冠掛かりて顧みざるは、其の先を爭うに非ずして、其の時を得るを爭えばなり。是の故に聖人は清道を守りて雌節を抱き、因循應變して、常に後れて先んぜず。柔弱にして以て靜かに、舒安にして以て定まり、大を攻め堅を䃺くこと、能く之と爭う莫し。
現代語訳
そもそも道理を握って変化に向き合えば、先んじても後を制し、後れても先を制する。これはなぜか。人を制するよりどころを失わなければ、人はこちらを制せないからである。時の移り変わりは、息を入れる隙もない。先んじれば行き過ぎ、後れれば届かない。日は回り月は巡り、時は人と一緒に遊んではくれない。だから聖人は一尺の璧を貴ばず、一寸の光陰を重んじる。時は得がたく失いやすいからである。禹が時に走ったとき、履が脱げても取らず、冠が引っかかっても振り返らなかったのは、先を争ったのではなく、時を得ることを争ったのである。だから聖人は清らかな道を守って雌の節を抱き、流れに従い変化に応じて、いつも後れて先んじない。柔らかく弱くて静かに、ゆったりと安らかで定まり、大きなものを攻め堅いものを砕くのに、これと争える者はない。
解説
この章句が説くこと
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呂氏春秋・愼人②舜の耕漁せしときも、其の賢不肖は天子為ると同じ。其の未だ時に遇わざるや、其の徒屬を以て、地財を掘り、水利を取り、蒲葦を編み、罘網を結び、手足胼胝するも居まず。然る後に凍餒の患いを免れたり。其の時に遇うや、登りて天子と為り、賢士之に歸し、萬民之を譽め、丈夫女子、振振殷殷として、戴き説ばざるは無し。舜自ら詩を為りて曰く、「普天の下、王土に非ざるは莫し。率土の濱、王臣に非ざるは莫し。」盡く之を有するを見わす所以なり。盡く之を有するも、賢なること加わるに非ざるなり。盡く之れ無きも、賢なること損するに非ざるなり。時然らしむるなり。
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