長短経 / 還師
孫子曰、“興師百萬、日費千金。”王子曰、“四人用虚、國家無儲。”故曰、“運粮百里、無一年之食、二百里、無二年之食、三百里、無三年之食。是謂虚國。國虚則人貧、人貧則上下不相親。上無以樹其恩、下無以活其身、則離叛之心生。此為戰勝而自敗。”故雖破敵于外、立功于内、然而戰勝者、以喪禮處之。
新字:孫子曰、“興師百万、日費千金。”王子曰、“四人用虚、国家無儲。”故曰、“運粮百里、無一年之食、二百里、無二年之食、三百里、無三年之食。是謂虚国。国虚則人貧、人貧則上下不相親。上無以樹其恩、下無以活其身、則離叛之心生。此為戦勝而自敗。”故雖破敵于外、立功于内、然而戦勝者、以喪礼処之。
書き下し
孫子曰く「師を興すこと百万なれば、日に千金を費やす」と。王子曰く「四人虚を用うれば、国家儲え無し」と。故に曰く「糧を運ぶこと百里なれば、一年の食無く、二百里なれば、二年の食無く、三百里なれば、三年の食無し。是を虚国と謂う。国虚しければ則ち人貧しく、人貧しければ則ち上下相親しまず。上は以て其の恩を樹つる無く、下は以て其の身を活かす無ければ、則ち離叛の心生ず。此れ戦い勝ちて自ら敗ると為す」と。故に敵を外に破り、功を内に立つと雖も、然れども戦い勝つ者は、喪礼を以て之に処る。
現代語訳
孫子は「百万の軍を起こせば、一日に千金を費やす」と言う。王子は「士農工商の民が空しく費やされれば、国家に蓄えはなくなる」と言う。だから「兵糧を百里運べば一年分の食糧がなくなり、二百里なら二年分、三百里なら三年分がなくなる。これを国を空にするという。国が空になれば民は貧しくなり、民が貧しくなれば上下が親しまなくなる。上は恩を施すすべがなく、下は身を生かすすべがなければ、離反の心が生まれる。これを、戦いに勝って自ら敗れるという」と言う。だから外で敵を破り、内で功を立てても、戦いに勝った者は喪の礼をもって身を処するのである。
解説
長短経の最後の篇、還師は、戦いに勝った後の話です。大軍は一日に千金を費やし、遠征の補給は国の蓄えを何年分も食いつぶす。国が空になれば民は貧しくなり、上下の心が離れる。勝っても国が疲弊すれば、自ら敗れたのと同じだ。だから勝った者は、祝いではなく喪の礼で身を処する。勝利の陰で失われた命と財を悼むこと。成果を上げた後にこそ、その代償の大きさを直視する姿勢が求められるのです。
この章句が説くこと
還師孫子戦争の代償疲弊勝利の後喪礼
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