長短経 / 将体
故將拒諫、則英雄散、䇿不從則謀士叛、善惡同、則功臣倦〔賞罰不明、善惡無異、則有功之臣皆懈倦也。〕將專已則下歸咎〔專己自任、不與下謀、衆皆歸罪于將而責之。、〕將自臧、則下少功〔臧、善也。將自伐勲忘下自用者、故曰少功也。、〕將受讒、則下有離心、將貪財、則奸不禁〔上貪、則下益也。、〕將内顧、則士卒淫〔内顧、思妻妾也。〕將有一、則衆不服、有二、則軍無試〔試、法也。、〕有三、則軍乖背、有四、則禍及國。
新字:故将拒諫、則英雄散、策不従則謀士叛、善悪同、則功臣倦〔賞罰不明、善悪無異、則有功之臣皆懈倦也。〕将専已則下帰咎〔専己自任、不与下謀、衆皆帰罪于将而責之。、〕将自臧、則下少功〔臧、善也。将自伐勲忘下自用者、故曰少功也。、〕将受讒、則下有離心、将貪財、則奸不禁〔上貪、則下益也。、〕将内顧、則士卒淫〔内顧、思妻妾也。〕将有一、則衆不服、有二、則軍無試〔試、法也。、〕有三、則軍乖背、有四、則禍及国。
書き下し
故に将諫を拒めば、則ち英雄散ず。策従われざれば則ち謀士叛く。善悪同じければ、則ち功臣倦む〔賞罰明らかならず、善悪異なる無ければ、則ち功有るの臣皆懈倦するなり〕。将己を専らにすれば則ち下咎を帰す〔己を専らにして自ら任じ、下と謀らざれば、衆皆罪を将に帰して之を責む〕。将自ら臧しとすれば、則ち下功少なし〔臧は、善なり。将自ら勲を伐り、下を忘れて自ら用うる者、故に功少なしと曰うなり〕。将讒を受くれば、則ち下離心有り。将財を貪れば、則ち奸禁ぜず〔上貪れば、則ち下益々なり〕。将内顧すれば、則ち士卒淫す〔内顧は、妻妾を思うなり〕。将一有れば、則ち衆服せず。二有れば、則ち軍に試無し〔試は、法なり〕。三有れば、則ち軍乖背す。四有れば、則ち禍国に及ぶ。
現代語訳
だから将が諫めを拒めば英雄は去り、策が採られなければ謀士は背き、善と悪が同じに扱われれば功臣は疲れて怠ける〔賞罰が明らかでなく、善と悪に違いがなければ、功ある臣は皆怠ける〕。将が独断すれば、部下は失敗の責めを将に押しつける〔独断で自ら任じ、部下と相談しなければ、皆が罪を将に帰して責める〕。将が自分を誇れば、部下の功は少なくなる〔臧とは善いこと。将が自ら手柄を誇り、部下を忘れて自分だけで事を行うから、功が少ないという〕。将が讒言を聞き入れれば、部下は心が離れる。将が財を貪れば、不正を禁じられない〔上が貪れば下はなおさらである〕。将が家のことばかり気にかければ、兵は乱れる〔内顧とは妻や妾を思うこと〕。将にこれらの一つがあれば人々は従わず、二つあれば軍に規律がなくなり〔試とは法のこと〕、三つあれば軍は背き、四つあれば禍が国に及ぶ。
解説

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
関連する章句
-
『明君家訓』第1条(二)又は生質不肖に候間、加樣に申候てもわが身の惡事をつよく被諫候はゞ、不快の顏色見へ申儀も可有之候間、かさねて懲被申樣にいたしなし可申哉、其段は隨分嗜可申候、萬一其氣味見へ候共、一旦の儀にて、始終の心底は弓箭を以て唯今申通に候、惣じて某心底内外の儀に付、をのれが惡事を、人にかくし申儀無之候間、見及聞及被申所、何事によらず、機嫌をはからはず諫言をたのみ申候、たとひ、其事不愜候共、虚實は搆ひなく候、たとへば、遊興をこのみ候が、少にても自由の振舞候か、女色に耽候か、奧方に驕ありてか、おのれが威勢をつのり候か、才智にほこり候か、諫言を不用候か、賞罰不正候か、賢臣を遠け、佞臣を近け候か、文道に疎く候か、武備をわすれ候か、家臣百姓にいたるまで憐愍これなく候か、無用の器物を翫び候て金銀を費し候か、作事をこのみ候て人力をやぶり候か、加樣の儀自分に存寄分に候、此外にもおもひよられ候事有之候はゞ、對顏の節直になりとも、又は書付にて成共可被指越候、秘申度事に候はゞ封候て尤に候、取次の者少も延引候はゞ可爲不屆候、勿論一覽にも不及其儘可達之候、
-
『晏子春秋』問下・景公問國如何則謂安晏子對以內安政外歸義/景公問諸侯孰危晏於對以莒其先亡景公、晏子に問いて曰く、「国如何なれば則ち安しと謂う可きか」と。晏子対えて曰く、「下に諱言無く、官に怨治無く、通人は華ならず、窮民は怨まず、喜楽に羨賞無く、忿怒に羨刑無く、上は士に礼有り、下は民に恩有り。地博くして小を兼ねず、兵強くして弱を劫かさず。百姓、内は其の政を安んじ、外は其の義に帰す。安しと謂う可し」と。景公、晏子に問いて曰く、「当今の時、諸侯孰れか危うき」と。晏子対えて曰く、「莒、其れ先ず亡びんか」と。公曰く、「何の故ぞ」と。対えて曰く、「地は斉に侵され、貨は晋に竭く。是を以て亡ぶなり」と。
-
『翁問答』下卷之本体充問曰、国大名或はその家老たる人の第一にあしき疵は、いづれにておはし候や。師の曰、私の一字なり、私なる人は必ず気随なり、気随なる人は必人の異見をきゝいれず、世のそしりをかへりみず、偏に我心まかせにしてすぎたる事をばあしき事にてもよしととりなし、夜も日もあけざる様にこのみふけり、我すかざる事なれば、よきことおもそしりをとしめて取あげず、合口よきものをば小人侫人をも近けたのしみ功なきに知行を加恩し、罪あるにも刑をほどこさずあいくちあしければ久功忠節のものをもうとみちかづけず、功ありても賞をあたへず、罪なきに刑をくはふる如きの不義不道の作法しをき、みな私の心根よりはびこり出たる枝葉なり、此の如くあれば、国法軍法みなみだれて終にその国ほろぶるものなり、かりそめにも気随の念おこる時は、我身をうしなひ、国を亡ぼし、家を破ぶる魔心なりとおそれつゝしむべし。
-
呂氏春秋・分職⑥衛の靈公、天寒くして池を鑿たんとす。宛春諫めて曰く、「天寒くして役を起こす、民を傷らんことを恐る。」公曰く、「天寒きか。」宛春曰く、「公は狐裘を衣、熊席に坐し、陬隅に竈有り。是を以て寒からず。今民は衣弊れて補わず、履決して組せず。君は則ち寒からず、民は則ち寒し。」公曰く、「善し。」役を罷めしむ。左右以て諫めて曰く、「君池を鑿たんとするに、天の寒きを知らざるなり。而して春や之を知る。春の之を知るを以てして、之を罷めしめば、福は將に春に歸せんとして、怨みは將に君に歸せんとす。」公曰く、「然らず。夫れ春は、魯國の匹夫なり、而して我之を舉ぐ。夫れ民は未だ見ること有らず。今將に民をして此を以て之を見しめんとす。且つ春や善有るは、寡人に於て有るなり。春の善は、寡人の善に非ざるか。」靈公の宛春を論ずる、君道を知ると謂う可し。君たる者は固より任無し。而して職を以て任を受く。工拙は下なり、賞罰は法なり。君奚ぞ事とせんや。是の若くすれば則ち賞を受くる者は德とすること無くして、誅に抵る者は怨むこと無し。人自ら反みるのみ。此れ治の至なり。
-
『晏子春秋』諫上・景公飲酒酲三日而後發晏子諫景公酒を飲み、酲え、三日にして後に発す。晏子見えて曰く、「君酒に病むか」と。公曰く、「然り」と。晏子曰く、「古の酒を飲むや、以て気を通じ好みを合わするに足るのみ。故に男は群れ楽しみて以て事を妨げず、女は群れ楽しみて以て功を妨げず。男女の群れ楽しむは、觴を周らすこと五献、之を過ぐる者は誅す。君身ら之を服す、故に外に怨治無く、内に乱行無し。今一日酒を飲みて、三日之に寝ね、国は外に怨を治め、左右は内に乱る。刑罰を以て自ら防ぐ者は、非を為すに勧み、賞誉を以て自ら勧むる者は、善を為すに惰る。上は徳行を離れ、民は賞罰を軽んじ、国を為む所以を失えり。願わくは君之を節せよ」と。
-
『新書』傅職左右前後、賢人を以て之を輔相せざる莫く、威儀を摠べて以て之に先後し、体貌を摂めて以て之に左右し、義行を制して以て之を宣翼し、恭敬を章らかにして以て之を監行し、勤労以て之を勧め、孝順以て之を内れ、敦篤以て之を固め、忠信以て之を発し、徳言以て之を揚ぐ、此れ所謂順なる者なり。此れ人に傅くの道なり、賢者に非ざれば行う能わず。天子先聖人の徳に諭らず、君国畜民の道を知らず、礼義の正を見ず、事に応ずるの理を察せず、古人の典伝に博からず、威儀の数に僩ならず、詩書礼楽経無し、天子の学業法らざること、凡そ此の属は、太師の任なり。古者斉の太公之を職とす。天子親戚に恩あらず、庶民に恵あらず、大臣に礼無く、刑獄に中らず、百官に経無く、喪に哀しまず、祭に敬せず、戎事に直ならず、諸侯に信ならず、賞罰に誠ならず、徳に厚からず、行に彊からず、賜予は左右近臣に侈り、𠫤授は疏遠卑賤に、忿りを懲らし欲を忘るる能わず、大行・大礼・大義・大道、太師の教に従わざること、凡そ此の属は、太傅の任なり。古者魯の周公之を職とす。