長短経 / 将体
三軍之衆、百萬之師、張設輕重、在于一人、謂之氣機。道狹路險、名山大塞、十人所守、千人不過、是謂地機。善行間諜、分散其衆、使君臣相怨、是謂事機。車堅舟利、士馬閑習、是謂力機。此所謂“四機”者也。夫將可樂而不可憂、謀可深而不可疑。將憂則内疑〔將有憂色、則内外相疑。故曰不相信也。、〕謀疑則敵國奮〔多疑則計亂、亂則令敵國奮威。〕以此征伐、則可致亂。
新字:三軍之衆、百万之師、張設軽重、在于一人、謂之気機。道狭路険、名山大塞、十人所守、千人不過、是謂地機。善行間諜、分散其衆、使君臣相怨、是謂事機。車堅舟利、士馬閑習、是謂力機。此所謂“四機”者也。夫将可楽而不可憂、謀可深而不可疑。将憂則内疑〔将有憂色、則内外相疑。故曰不相信也。、〕謀疑則敵国奮〔多疑則計乱、乱則令敵国奮威。〕以此征伐、則可致乱。
書き下し
三軍の衆、百万の師、軽重を張設すること、一人に在り。之を気機と謂う。道狭く路険しく、名山大塞、十人の守る所、千人も過ぎず。是を地機と謂う。善く間諜を行い、其の衆を分散し、君臣をして相怨ましむ。是を事機と謂う。車堅く舟利く、士馬閑習す。是を力機と謂う。此れ所謂四機なる者なり。夫れ将は楽しむべくして憂うべからず、謀は深かるべくして疑うべからず。将憂うれば則ち内疑う〔将に憂色有らば、則ち内外相疑う。故に相信ぜずと曰うなり〕。謀疑えば則ち敵国奮う〔疑い多ければ則ち計乱る。乱るれば則ち敵国をして威を奮わしむ〕。此を以て征伐すれば、則ち乱を致すべし。
現代語訳
全軍の大勢、百万の軍の配置の軽重を決めるのは一人にかかっている。これを気機という。道が狭く険しく、名だたる山や大きな要害で、十人で守れば千人でも通れない。これを地機という。間者をうまく使い、敵の兵を分散させ、君臣を恨み合わせる。これを事機という。車が堅く舟が速く、兵も馬も訓練に慣れている。これを力機という。これがいわゆる四機である。将は楽観しても憂えてはならず、謀は深くても迷ってはならない。将が憂えれば内部が疑い合う〔将に憂いの色があれば、内も外も互いに疑う。だから信じ合わないという〕。謀に迷えば敵国が奮い立つ〔迷いが多ければ計が乱れ、乱れれば敵国に威を振るわせる〕。これで征伐すれば乱を招く。
解説

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
関連する章句
-
啓発録・振氣此気は生ある者にはみなある者にて、禽獣にさへこれありて、禽獣にても甚しく気の立たる時は、人を害し人を苦しむことありまして、人に於てをや。人の中にても士は一番此気強く有之故、世俗にこれを士気と唱へ、いかほど年若な者にても両刀を帯したる者に不礼を不致は、此士気に畏れ候事にて、其人の武芸や力量や位職のみに畏れ候にてはこれなし。
-
『呻吟語』外篇・品藻・士氣と傲氣士氣は無かる可からず、傲氣は有る可からず。士氣なる者は、人己の分に明らかにして、正を守りて詭隨せず。傲氣なる者は、上下の等に昧くして、高きを好みて位に素せず。自ら處する者は每に人に傲るを以て士氣と為し、人を觀る者は每に士氣を以て人に傲ると為す。悲しいかな。故に惟だ士氣有る者のみ能く己を謙りて人に下る。
-
司馬法・用眾親に書するを絶つ、是れを顧みるを絶つの慮と謂う。
-
孫子・作戦篇故に智将は敵に食するを務む。敵に食する一鍾は、吾が二十鍾に当たり、萁稈一石は、吾が二十石に当たる。
-
尉繚子・兵教下今戦国相攻め、大いに有徳を伐つ。伍よりして両、両よりして師、其の令を一にせず、率ね民心をして定まらざらしめ、徒らに驕侈を尚び、謀患辨訟し、吏其の事を究め、累ねて且に敗れんとす。日暮れ路遠く、還るに剉気有り、師老い将貪り、争掠して敗れ易し。凡そ将軽く、塁卑く、衆動けば、攻むべきなり。将重く、塁高く、衆懼るれば、囲むべきなり。凡そ囲むには必ず其の小利を開き、漸く夷弱ならしむれば、則ち節吝して食はざる者有り。衆夜撃つ者は、驚くなり。衆事を避くる者は、離るるなり。人の救を待ち、戦を期して蹙まるは、皆心失はれて気傷るるなり。気を傷れば軍を敗り、曲謀は国を敗る。
-
『講孟余話』萬章下 第七章此の章、官職ある者の君命に趨くと、庶人敢へて諸侯に見えざると、義自ら別なるを論ず。但し方今官職ある者の君命に趨かざるを患へず、庶人敢へて諸侯に見えざるの風、断えてなきこと、廉恥なきの世間、深く憂ふべし。古人も忠臣を求むるは孝子の門に於てす、事に臨み節に死するの士を求むるは、平時直言の士に於てすべしと云へば、士気を培養するは、兎角平素に在ることなり。平素廉恥なきの極、一旦変起こることあらば、万官奔竄、鳥栖を択ぶに至ること、鏡に掛けて見るが如し。是れ憂ふべしとする所以なり。是を憂へば他なし、千乗の国の士に事ふるの故事を修むるに若かず。是れ久遠の謀なり。