長短経 / 地形
故曰、深草蓊穢者、所以遁逃也、深谷阻險者、所以止禦車騎也、隘塞山林者、所以少擊衆也〔衆少可以夜擊敵也、〕沛澤杳冥者、所以匿其形也。丈五之溝、漸車之水〔漸、浸也。音子亷反。、〕山林石徑、涇川丘阜〔涇川、常流之川。、〕草木所在、此步兵之地、車騎二不當一。丘陵漫衍相屬〔漫衍、猶聫延也、屬、續也、音之欲反。、〕平原廣野、此車騎之地、步兵十不當一。
新字:故曰、深草蓊穢者、所以遁逃也、深谷阻険者、所以止禦車騎也、隘塞山林者、所以少撃衆也〔衆少可以夜撃敵也、〕沛沢杳冥者、所以匿其形也。丈五之溝、漸車之水〔漸、浸也。音子廉反。、〕山林石径、涇川丘阜〔涇川、常流之川。、〕草木所在、此歩兵之地、車騎二不当一。丘陵漫衍相属〔漫衍、猶聫延也、属、続也、音之欲反。、〕平原広野、此車騎之地、歩兵十不当一。
書き下し
故に曰く、深草蓊穢なる者は、遁逃する所以なり。深谷阻険なる者は、車騎を止禦する所以なり。隘塞山林なる者は、少を以て衆を撃つ所以なり〔衆少は以て夜に敵を撃つべきなり〕。沛沢杳冥なる者は、其の形を匿す所以なり。丈五の溝、漸車の水〔漸は、浸なり。音は子廉の反〕、山林石径、涇川丘阜〔涇川は、常流の川なり〕、草木の在る所は、此れ歩兵の地にして、車騎は二も一に当たらず。丘陵漫衍して相属し〔漫衍は、猶お聯延のごときなり。属は、続なり。音は之欲の反〕、平原広野なるは、此れ車騎の地にして、歩兵は十も一に当たらず。
現代語訳
だから言う。深く生い茂った草むらは逃げ隠れるための場所である。深い谷や険しい地は、戦車や騎馬を食い止めるための場所である。狭い要害や山林は、少数で大軍を撃つための場所である〔少数でも夜に敵を撃てる〕。暗く深い沼地は、姿を隠すための場所である。幅一丈五尺の溝、車輪が浸かる水〔漸とは浸かること。音はセン〕、山林の石の小道、常に流れる川や丘〔涇川とはいつも流れている川〕、草木の茂る所は歩兵の地で、戦車や騎馬は二つでも歩兵一つに当たらない。丘陵がゆるやかに連なり〔漫衍とは連なり続くこと。属とは続くこと。音はショク〕、平原や広い野は戦車や騎馬の地で、歩兵は十人でも一騎に当たらない。
解説
この章句が説くこと
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『長短経』地形孫子曰く「三に曰く地利。地利なる者は、遠近・険易・広狭・死生なり。故に山林・険阻・沮沢の形を知らざる者は、軍を行ること能わず。郷導を用いざれば、地利を得ること能わず。故に兵を用うるに、散地有り、軽地有り、争地有り、交地有り、衢地有り、重地有り、汜地有り、囲地有り、死地有り〔九地の名なり〕。諸侯自ら其の地に戦うを、散地と為す〔其の境内の地に戦えば、士卒の意専らならず、自ら潰ゆるの心有るなり。故に経に曰く、散地は、吾将に其の志を一にせんとす、と〕。人の地に入りて深からざる者を、軽地と為す〔人の地に入りて未だ深からざれば、士卒の意尚お未だ専らならずして、軽く走るなり。故に経に曰く、軽地は、吾将に之をして属せしめんとす、と〕。
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『長短経』地形我得れば則ち利あり、彼得るも亦た利ある者を、争地と為す〔少を以て衆に勝ち、弱を以て強に勝つべし。山水の阨口、険固の利有りて、両敵の争う所を謂う。故に経に曰く、争地は、吾将に其の後に趣かんとす、と〕。我以て往くべく、彼以て来たるべきを、交地と為す〔道上相交錯し、平地に数道有りて、往来交通し、絶つべき無きなり。故に経に曰く、交地は、吾将に其の結を固めんとす、と〕。諸侯の地三属し〔我と敵と相対して、旁に他国有るなり〕、先に至りて天下の衆を得る者を、衢地と為す〔先に其の地に至らば、諸侯の衆を交結して助けと為すべきなり。故に経に曰く、衢地は、吾将に其の守りを謹まんとす、と〕。
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孫子・地形篇孫子曰く、凡そ地形には通なる者、掛なる者、支なる者、隘なる者、険なる者、遠なる者あり。我も以て往くべく、彼も以て来たるべきを、通と曰う。通形には、先ず高陽に居り、糧道を利にして、以て戦えば則ち利あり。
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