長短経 / 地形
是故、散地無戰〔士卒顧家、不可以戰。、〕輕地則無止〔入敵地淺、士意尚未堅、不可以遇敵、自當堅其心也。、〕争地則無攻〔三道攻、當先主地利也、先得其地者、不可攻也。、〕交地則無絶〔相及屬也。交地者、俱可進退、不以兵絶也。、〕衢地則合交〔佐諸侯也、當結交于諸侯。、〕重地則掠〔蓄粮食也。入深、士卒堅固、則可掠取財物。、〕汜地則行〔可不止也、〕圍地則謀〔擊其謀也。則當權謀竒譎、可以免難。、〕死地則戰〔殊死戰也。未戰先勵之曰、“無慮愚戅用軍不明、乃隨圍阨之地、益士大夫之憂也、皆將之罪也。今日之事、在此一舉。若不用力、身當膏野草、為蟲獸食、妻子無所求索、尅則身榮、賞禄在焉、可不勉哉。”〕
新字:是故、散地無戦〔士卒顧家、不可以戦。、〕軽地則無止〔入敵地浅、士意尚未堅、不可以遇敵、自当堅其心也。、〕争地則無攻〔三道攻、当先主地利也、先得其地者、不可攻也。、〕交地則無絶〔相及属也。交地者、倶可進退、不以兵絶也。、〕衢地則合交〔佐諸侯也、当結交于諸侯。、〕重地則掠〔蓄粮食也。入深、士卒堅固、則可掠取財物。、〕汜地則行〔可不止也、〕囲地則謀〔撃其謀也。則当権謀奇譎、可以免難。、〕死地則戦〔殊死戦也。未戦先励之曰、“無慮愚戅用軍不明、乃随囲阨之地、益士大夫之憂也、皆将之罪也。今日之事、在此一舉。若不用力、身当膏野草、為虫獣食、妻子無所求索、尅則身栄、賞禄在焉、可不勉哉。”〕
書き下し
是の故に、散地は戦うこと無かれ〔士卒家を顧み、以て戦うべからず〕。軽地は則ち止まること無かれ〔敵地に入ること浅く、士の意尚お未だ堅からず。以て敵に遇うべからず。自ら当に其の心を堅くすべし〕。争地は則ち攻むること無かれ〔三道に攻むるに、当に先ず地利を主とすべし。先に其の地を得たる者は、攻むべからず〕。交地は則ち絶つこと無かれ〔相及属するなり。交地は、俱に進退すべし。兵を以て絶たず〕。衢地は則ち交わりを合わせよ〔諸侯を佐くるなり。当に交わりを諸侯に結ぶべし〕。重地は則ち掠めよ〔糧食を蓄うるなり。入ること深ければ、士卒堅固なり。則ち財物を掠取すべし〕。汜地は則ち行け〔止まらざるべきなり〕。囲地は則ち謀れ〔其の謀を撃つなり。則ち当に権謀奇譎すべし。以て難を免るべし〕。死地は則ち戦え〔殊死して戦うなり。未だ戦わざるに先ず之を励まして曰く「愚戇にして軍を用うること明らかならず、乃ち囲阨の地に随い、士大夫の憂いを益すことを慮ること無かれ。皆将の罪なり。今日の事は、此の一挙に在り。若し力を用いずんば、身は当に野草に膏し、虫獣の食と為り、妻子は求索する所無かるべし。克たば則ち身栄え、賞禄焉に在り。勉めざるべけんや」と〕。
現代語訳
だから、散地では戦ってはならない〔兵が家を気にかけるので戦えない〕。軽地では止まってはならない〔敵地に入って浅く、兵の心はまだ固まっていないので、敵に遭遇してはならない。まず兵の心を固めるべきである〕。争地では攻めてはならない〔三方から攻めるには、まず地の利を主とする。先にその地を取った相手は攻めてはならない〕。交地では断ち切られてはならない〔互いにつながっているべきである。交地ではともに進退でき、兵で断ち切られないようにする〕。衢地では交わりを結べ〔諸侯を助ける。諸侯と交わりを結ぶべきである〕。重地では現地で取り立てよ〔食糧を蓄える。深く入れば兵の心は固まるので、財物を取り立ててよい〕。汜地では進み続けよ〔止まってはならない〕。囲地では謀れ〔相手の謀を撃つ。奇抜な策略を用いて難を逃れる〕。死地では戦え〔決死で戦う。戦う前にまず励まして言う。「将が愚かで軍の用い方がわからず、囲まれた地に入り込んで士大夫の憂いを増したことを気にするな。それは皆将の罪である。今日のことはこの一戦にかかっている。力を尽くさなければ、身は野の草の肥やしとなり、虫や獣の餌となり、妻子は探しようもなくなる。勝てば身は栄え、褒美と俸禄がある。励まずにいられようか」〕。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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孫子・九地篇これを亡地に投じて然る後に存し、これを死地に陥れて然る後に生く。
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『長短経』地形孫子曰く「三に曰く地利。地利なる者は、遠近・険易・広狭・死生なり。故に山林・険阻・沮沢の形を知らざる者は、軍を行ること能わず。郷導を用いざれば、地利を得ること能わず。故に兵を用うるに、散地有り、軽地有り、争地有り、交地有り、衢地有り、重地有り、汜地有り、囲地有り、死地有り〔九地の名なり〕。諸侯自ら其の地に戦うを、散地と為す〔其の境内の地に戦えば、士卒の意専らならず、自ら潰ゆるの心有るなり。故に経に曰く、散地は、吾将に其の志を一にせんとす、と〕。人の地に入りて深からざる者を、軽地と為す〔人の地に入りて未だ深からざれば、士卒の意尚お未だ専らならずして、軽く走るなり。故に経に曰く、軽地は、吾将に之をして属せしめんとす、と〕。
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孫子・九地篇兵の情は速きを主とす。人の及ばざるに乗じ、不虞の道に由り、その戒めざる所を攻むるなり。
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孫子・九地篇是の故に散地には則ち戦うこと無かれ、軽地には則ち止まること無かれ、争地には則ち攻むること無かれ、交地には則ち絶つこと無かれ、衢地には則ち交を合わせ、重地には則ち掠め、圮地には則ち行き、囲地には則ち謀り、死地には則ち戦う。
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孫子・九地篇孫子曰く、凡そ用兵の法は、散地有り、軽地有り、争地有り、交地有り、衢地有り、重地有り、圮地有り、囲地有り、死地有り。
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孫子・九地篇九地の変、屈伸の利、人情の理は、察せざるべからず。