長短経 / 天時
〔凡軍上氣如山堤上林木、不可與戰、在我軍大勝。或如火光、亦大勝。或敵上白氣粉拂如樓、縁以赤氣者、兵勁不可擊、在吾軍必大勝。或敵上氣黄白厚潤而重者、勿與戰。或有雲廣如三匹帛、前後大軍行好。遥望軍上雲如鬬鷄赤白相隨、在氣中得天助、不可擊。兩軍相當、上有氣如蛇、舉頭向敵者、戰必勝。凡軍營上有五色氣、上與天連、此應天之軍、不可擊。有赤黄氣干天、亦不可攻。或有雲如日月、而赤氣繞之、如日暈狀、有光者、所見之地大勝、不可攻。敵上氣如暈狀、其軍不可攻。此皆勝氣也。〕
新字:〔凡軍上気如山堤上林木、不可与戦、在我軍大勝。或如火光、亦大勝。或敵上白気粉払如楼、縁以赤気者、兵勁不可撃、在吾軍必大勝。或敵上気黄白厚潤而重者、勿与戦。或有雲広如三匹帛、前後大軍行好。遥望軍上雲如闘鶏赤白相随、在気中得天助、不可撃。両軍相当、上有気如蛇、舉頭向敵者、戦必勝。凡軍営上有五色気、上与天連、此応天之軍、不可撃。有赤黄気干天、亦不可攻。或有雲如日月、而赤気繞之、如日暈状、有光者、所見之地大勝、不可攻。敵上気如暈状、其軍不可攻。此皆勝気也。〕
書き下し
〔凡そ軍上の気の山堤上の林木の如きは、与に戦うべからず。我が軍に在れば大いに勝つ。或いは火光の如きも、亦た大いに勝つ。或いは敵上の白気粉拂として楼の如く、縁るに赤気を以てする者は、兵勁くして撃つべからず。吾が軍に在れば必ず大いに勝つ。或いは敵上の気黄白にして厚潤にして重き者は、与に戦うこと勿かれ。或いは雲の広さ三匹の帛の如き有れば、前後の大軍の行き好し。遥かに軍上の雲の闘鶏の如く赤白相随うを望めば、気中に在りて天の助けを得、撃つべからず。両軍相当たるに、上に気の蛇の如く、頭を挙げて敵に向かう者有れば、戦えば必ず勝つ。凡そ軍営の上に五色の気有りて、上天と連なれば、此れ天に応ずるの軍、撃つべからず。赤黄の気の天を干す有らば、亦た攻むべからず。或いは雲の日月の如くにして、赤気之を繞り、日暈の状の如く、光有る者有らば、見る所の地は大いに勝つ。攻むべからず。敵上の気の暈の状の如きは、其の軍攻むべからず。此れ皆勝気なり。〕
現代語訳
〔軍の上の気が山の堤の上の林のようなら、戦ってはならない。それが自軍にあれば大勝する。火の光のようなのも大勝である。敵の上に白い気が粉を払ったように楼閣の形をし、赤い気で縁取られていれば、兵が強くて撃てない。自軍にあれば必ず大勝する。敵の上の気が黄白色で厚く潤って重ければ、戦ってはならない。雲が三匹の絹ほどの広さなら、前後の大軍の進み具合がよい。遠く軍の上の雲が闘鶏のように赤と白が連なっていれば、気の中に天の助けを得ていて撃てない。両軍が対峙するとき、上に蛇のような気が頭を上げて敵に向かっていれば、戦えば必ず勝つ。軍営の上に五色の気があって天とつながっていれば、天に応じた軍で撃てない。赤黄色の気が天を突いていれば、これも攻めてはならない。雲が日や月のようで赤い気が取り巻き、日のかさのように光っていれば、それが見える地は大勝し、攻めてはならない。敵の上の気がかさのような形なら、その軍は攻めてはならない。これらは皆、勝ちの気である。〕
解説

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『長短経』天時若し細雨軍を沐せば、機に臨みて必ず捷有り。迴風相触るれば、道還りて功無し。雲の群羊に類するは、必ず走るの道なり。気の驚鹿の如きは、必ず敗るるの勢いなり。黒雲塁より出で、赤気軍に臨み、六窮に風起こり、三刑に霧起こるは、此れ皆師の出づるを見て其の入るを見ざるなり。烟の若くして烟に非ざるは、此れ慶雲なり。星の若くして星に非ざるは、此れ帰邪なり。霧の若くして霧に非ざるは、此れ泣軍なり。雷の若くして雷に非ざるは、此れ天鼓なり。慶雲開けば、徳有り。帰邪あれば、降人有り。泣軍あれば、多く将を殺す。天鼓あれば、多く軍を敗る。是に知る、風雲の占い、歳月の候、其の来たること久し。故に古は初めて将を立て、始めて門を出でて首めて牙を建つるの時、必ず風雲の気を観る。
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『長短経』天時若し逆風来たり応じ、気旁勃し、牙杠折れ、陰にして日を見ず、旌幡激揚すれば、敗候なり。〔若し雲気敵の所より来たりて、終日止まざれば、軍出づべからず。出づれば則ち利あらず。若し風気俱に来たらば、此れ敗候と為し、急撃するに在るなり。凡そ敵上の気色の馬肝の如く、死灰の如く、或いは偃蓋に類するは、皆敗徴なり。或いは黒気の環山の如く、軍に随いて上る者は、軍必ず敗る。或いは軍上の気昏発して、夜に連なりて人を照らせば、則ち軍事散乱す。或いは軍上の気半ばにして、一たび絶ゆれば一たび敗れ、再び絶ゆれば再び敗る。東に在りて白気を発する者は、災深し。或いは軍上の気五色雑乱し、東西南北定まらざる者は、其の軍敗れんと欲す。或いは軍上に赤気炎炎として天より降る有らば、将死し衆乱る。或いは軍上に黒気の牛馬の形なる有りて、気霧の中より下りて漸く軍に入らば、名づけて天狗下りて血を食うと曰う。敗軍なり。或いは雲気の道を蓋い、濛蔽して昼冥き有らば、炊ぎを釈きて熟するに暇あらず、急ぎ去れ。此れ皆敗候なり。〕
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『長短経』囲師〔凡そ降人の気は、人の十十五五の如く、皆手を叉え頭を低る。又た云う、相向かいて或いは気の上は黄に下は白なる有らば、名づけて善気と曰う。臨む所の軍は、和を求めて退かんと欲す。凡そ城中に白気の旗の如き有らば、抜くべからず。或いは黄雲の城に臨む有らば、大喜慶有り。或いは青色の牛頭の如くして人に触るる有らば、城屠るべからず。或いは城中の気東方に出でて、其の色黄なるは、此れ天鉞なり。伐つべからず。伐つ者は死す。或いは城上の気火烟の如きは、主人出でて戦わんと欲す。其の気極まり無き者は、攻むべからず。或いは気の杵形の如くして、城中より外に向かう有らば、内兵突出せんと欲す。主人勝つ。攻むべからず。或いは城上に雲の分かれて両彗の状を為す者有らば、攻むるも得べからず。或いは濛気の城を繞りて入らざる者有らば、外兵入るを得ず。凡そ城を攻むるに諸気の城中より出でて吾が軍の上に入る者有らば、敵の気なり。凡そ城を攻め邑を囲むに、旬を過ぎて雷雨ならざる者は、城に輔有り。疾く之を去り、攻むること勿かれ。此れ皆勝気なり。
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『長短経』天時〔諸々武事を立て、四方を征伐し、兵を興し衆を動かさんと謀るには、大風雷雨、陰にして日を見ざるを忌む。辰午酉亥は、自刑の日なり。夫れ牙旗なる者は、将軍の精なり。凡そ牙旗を竪つるには、必ず制日を以てす。制日なる者は、上下を剋するを謂うなり。初めて牙門を立つるに、之を禡して曰く「両儀に正有り、四海に王有り。宝命は天に在り、世徳弥々光る。蕞爾たる凶狡、敢えて乱常を謀る。天子我に命じ、鉞を秉りて専ら征せしむ。爰に其の旅を整え、茲の不庭を討つ。夫れ天道は順を助け、神祇は傾を害す。凶醜をして時に殲きしめ、海隅聿に清からしめよ。兵は刃に血ぬらず、凱して上京に帰らん。神気輝きを増し、永く厥の成るを観ん。寔に正直の頼み、凡そ乃ち神の霊。急急なること律令の如くせよ」と。凡そ気の初めて出づるは甑上の気の如く、勃勃として上昇す。気積もりて霧と為り、霧は陰と為り、陰気結びて虹蜺暈珥の属と為る。凡そ気積もらず結ばず、一方に散漫すれば、災を為すこと能わず。必ず殺気に和雑し、森森然として疾く起こりて、乃ち可なり。占いを論ずるに、常に平旦・下晡・日の出没の時を以て之を候う。期内に風雨有らば、災成らざるなり。〕若し風旁勃せず、旌旗暈暈として、順風に揚挙し、或いは敵に向かうこと終日なれば、軍行きて功有り。勝候なり。
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史記 天官書江・淮の間は、気皆白し。徒の気は白し。土功の気は黄なり。車の気は乍ち高く乍ち下り、往往にして聚まる。騎の気は卑くして布く。卒の気は摶まる。前卑くして後高き者は、疾し。前方にして後高き者は、兌し。後兌くして卑き者は、卻く。其の気平らかなる者は其の行徐なり。前高くして後卑き者は、止まらずして反る。気相遇ふ者は、卑きは高きに勝ち、兌きは方なるに勝つ。気来たること卑くして車の通を循る者は、三四日を過ぎず、之を去ること五六里にして見ゆ。気来たること高さ七八尺なる者は、五六日を過ぎず、之を去ること十余里にして見ゆ。気来たること高さ丈余二丈なる者は、三四十日を過ぎず、之を去ること五六十里にして見ゆ。稍雲精白なる者は、其の将悍く、其の士怯なり。其の大根にして前絶遠なる者は、当に戦ふべし。青白にして、其の前低き者は、戦ひ勝つ。其の前赤くして仰ぐ者は、戦ひ勝たず。陣雲は立垣の如し。杼雲は杼に類す。軸雲は摶まりて両端兌し。杓雲は前に居りて天に互り、其の半ばは天に半ばす。其の蛪なる者は闕旗に類す故なり。鈎雲は句曲す。諸々此の雲見はるれば、五色を以て合はせ占ふ。而して沢くして摶密に、其の見はるること人を動かせば、乃ち占有り。兵必ず起こり、其の直る所に合闘す。王朔の候ふ所は、日の旁らに決す。日の旁らの雲気は、人主の象なり。皆其の形の如くにして以て占ふ。故に北夷の気は群畜穹閭の如く、南夷の気は舟船幡旗に類す。大水の処、敗軍の場、破国の虚、下に積銭有るもの、金宝の上には、皆気有り、察せざるべからず。海の旁らの蜄気は楼台に象る。広野の気は宮闕を成すが然り。雲気は各々其の山川人民の聚積する所に象る。故に息秏を候ふ者は、国邑に入りて、封疆田疇の正治、城郭室屋門戸の潤沢を視、次いで車服畜産の精華に至る。実ちて息む者は、吉なり。虚しくして秏る者は、凶なり。煙の若くして煙に非ず、雲の若くして雲に非ず、鬱鬱紛紛、蕭索輪囷たる、是を卿雲と謂ふ。卿雲は、喜気なり。
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『長短経』囲師凡そ城を攻め邑を囲むに、赤気城上に在り、黄気四面より之を繞れば、城中に大将の死する有りて、城降る。或いは城上に赤気の飛鳥の如き有らば、急に之を攻めば、破るべし。或いは気の出入する者有らば、人逃げんと欲す。或いは気の灰の如き有りて、気出でて其の軍上を覆う者は、士多く病みて、城屠らる。或いは城上に雲気無ければ、士卒散ず。或いは城営の上に赤気の衆人の頭の如き有らば、下に多く死喪流血あり。城を攻むるに白気の城を繞りて入る者有らば、急に攻めば得べし。若し屈虹の城外より城に入る者有らば、三日の内に城屠らる。此れ皆敗気なり。〕此れ囲師の道なり。