長短経 / 運命
今晉之興也、宗子無維城之助、而閼伯實沈之隟日搆師尹無具瞻之貴、而顛墜戮辱之祸日有。宣、景遭多難之時、務伐英雄、誅庶桀以便事。其傾覆屠鱠非主於誅殺也。風俗淫僻、亷恥並失。先時而昏、任情而動、皆不恥滛逸之過。不拘妬忌之惡、有逆于舅姑。有反易剛柔、有殺戮妾媵、有黷亂上下、其滛亂凶逆、非止于烝報也。由是觀之、晉家之徳、安勝于匈奴哉!今見戎狄亂華、便以為在命不在徳、是何言之過歟!〕
新字:今晋之興也、宗子無維城之助、而閼伯実沈之隟日搆師尹無具瞻之貴、而顛墜戮辱之祸日有。宣、景遭多難之時、務伐英雄、誅庶桀以便事。其傾覆屠鱠非主於誅殺也。風俗淫僻、廉恥並失。先時而昏、任情而動、皆不恥淫逸之過。不拘妬忌之悪、有逆于舅姑。有反易剛柔、有殺戮妾媵、有黷乱上下、其淫乱凶逆、非止于烝報也。由是観之、晋家之徳、安勝于匈奴哉!今見戎狄乱華、便以為在命不在徳、是何言之過歟!〕
書き下し
今、晋の興るや、宗子に維城の助け無く、而して閼伯・実沈の隙日に搆う。師尹に具瞻の貴無く、而して顛墜戮辱の禍日に有り。宣・景は多難の時に遭い、英雄を伐ち、庶桀を誅するに務めて以て事を便にす。其の傾覆屠膾は、誅殺を主とするに非ざるなり。風俗淫僻にして、廉恥並びに失う。時に先んじて昏し、情に任せて動く。皆淫逸の過ちを恥じず、妬忌の悪に拘わらず。舅姑に逆らう有り、剛柔を反易する有り、妾媵を殺戮する有り、上下を黷乱する有り。其の淫乱凶逆は、烝報に止まらざるなり。是に由りて之を観れば、晋家の徳、安んぞ匈奴に勝らんや。今、戎狄の華を乱すを見て、便ち以て命に在りて徳に在らずと為すは、是れ何ぞ言の過てるや。〕
現代語訳
いま晋が興ったとき、一族の王子たちに城を守り合う助けはなく、閼伯と実沈のように兄弟が争う隙が日々作られた。宰相たちには皆が仰ぎ見る尊さがなく、転落して殺され辱められる禍が日々あった。司馬懿や司馬師は多難の時に遭い、英雄を討ち、豪傑を誅することに努めて事を運んだ。国を傾け人を切り刻んだのは、誅殺を目的としたのではなかったが、結果はそうなった。風俗は淫らで偏り、廉恥はともに失われた。女性は時期より早く結婚し、感情のままに動き、淫らな過ちを恥じず、嫉妬の悪にもこだわらない。舅姑に逆らう者、夫婦の剛柔を逆さにする者、妾を殺す者、上下の秩序を汚す者がいた。その淫乱と凶悪さは、戎狄の親族婚どころではなかった。これで見れば、晋の家の徳がどうして匈奴に勝っていたと言えようか。いま戎狄が中華を乱すのを見て、運命のせいであって徳のせいではないと言うのは、なんと誤った言葉か。〕
解説
この章句が説くこと
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