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長短経 / 忠疑

樓緩曰、“公父文伯仕於魯、病而死、女子為自殺於房中者二人。其母聞之、勿哭。其相室曰、“焉有子死而勿哭乎?”其母曰、“孔子、賢人也、逐於魯而是人弗隨之。今死婦人為自殺。若是者、必其於長者薄而於婦人厚。”故從母言之、是為賢母、從妻言之、是不免於妬妻也。故其言一也、言者異則人心變矣。

新字:楼緩曰、“公父文伯仕於魯、病而死、女子為自殺於房中者二人。其母聞之、勿哭。其相室曰、“焉有子死而勿哭乎?”其母曰、“孔子、賢人也、逐於魯而是人弗随之。今死婦人為自殺。若是者、必其於長者薄而於婦人厚。”故従母言之、是為賢母、従妻言之、是不免於妬妻也。故其言一也、言者異則人心変矣。

書き下し

楼緩曰く「公父文伯、魯に仕え、病みて死す。女子の為に房中に自殺する者二人。其の母之を聞くも、哭せず。其の相室曰く『焉んぞ子死して哭せざる者有らんや』と。其の母曰く『孔子は賢人なり。魯に逐わるるも、是の人は随わず。今死して婦人為に自殺す。是くの若き者は、必ず其の長者に於いて薄く、婦人に於いて厚し』と」と。故に母より之を言えば、是れ賢母為り。妻より之を言えば、是れ妬妻を免れず。故に其の言は一なり。言者異なれば則ち人心変ず。

現代語訳

楼緩は言った。「公父文伯が魯に仕えて病死すると、彼のために寝室で自害した女性が二人いた。母はそれを聞いても泣かなかった。家の世話役が『子が死んで泣かない人がいるでしょうか』と言うと、母は言った。『孔子は賢人で、魯から追われたとき、この子はついて行かなかった。いま死んで女たちが後を追って自害した。こういう者は、必ず目上の人には薄く、女には厚かったのだ』」。だから、母の口から出れば賢い母とされる。妻の口から同じことを言えば、嫉妬深い妻だとされるのを免れない。言葉は同じでも、言う人が違えば人の心の受け取り方が変わるのである。

解説

息子の死を泣かなかった母は、息子が賢人に冷たく女に甘かったと評しました。母が言えば、情に流されず人を正しく見る賢母と称えられる。同じ言葉を妻が言えば、夫の愛人に嫉妬しているだけだと見られる。言葉の中身がまったく同じでも、誰が言うかで聞き手の解釈は正反対になる。私たちは発言を評価しているつもりで、実は発言者の立場から動機を推測して評価していることが多いのです。

この章句が説くこと

忠疑楼緩公父文伯発言者解釈立場

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