長短経 / 釣情
由是觀之、夫人情必見於物。〔昔者晉公好色、驪姬乗色以壅之。呉王好廣地、太宰陳伐以壅之。桓公好味、易牙蒸子以壅之。沉冥無端、甚可畏也。故知人主之好惡、不可見於外。所好惡見於外、則臣妾乗其所好惡以行壅制焉。故曰、人君無意、見将為下餌。此之謂也。〕能知此者、可以納說於人主矣。
新字:由是観之、夫人情必見於物。〔昔者晋公好色、驪姫乗色以壅之。呉王好広地、太宰陳伐以壅之。桓公好味、易牙蒸子以壅之。沈冥無端、甚可畏也。故知人主之好悪、不可見於外。所好悪見於外、則臣妾乗其所好悪以行壅制焉。故曰、人君無意、見将為下餌。此之謂也。〕能知此者、可以納説於人主矣。
書き下し
是に由りて之を観れば、夫れ人情は必ず物に見る。〔昔者、晋公色を好み、驪姫色に乗じて以て之を壅ぐ。呉王地を広むるを好み、太宰は伐を陳べて以て之を壅ぐ。桓公味を好み、易牙は子を蒸して以て之を壅ぐ。沈冥端無く、甚だ畏るべきなり。故に知る、人主の好悪は、外に見るべからず。好悪する所外に見るれば、則ち臣妾其の好悪する所に乗じて以て壅制を行う。故に曰く、人君は意無し、見わるれば将に下の餌と為らんとす、と。此の謂いなり。〕能く此を知る者は、以て説を人主に納るべし。
現代語訳
これで見れば、人の心は必ず物事に表れる。〔昔、晋の献公は女色を好み、驪姫はその女色に乗じて献公の耳目を塞いだ。呉王夫差は領土を広げることを好み、太宰嚭は征伐を説いて耳目を塞いだ。斉の桓公は美食を好み、易牙は自分の子を蒸して献じて耳目を塞いだ。その深く暗いことは果てしなく、まことに恐ろしい。だから君主の好き嫌いは外に見せてはならない。好き嫌いが外に見えれば、臣下や側室はその好き嫌いに乗じて耳目を塞ぎ支配する。だから、君主は意向を持たないようにせよ、見えれば下の者の餌になる、と言うのである。〕これを知る者は、君主に説を受け入れさせることができる。
解説
釣情の篇の結びは、釣る側から釣られる側への警告に転じます。晋の献公は女色、呉王は領土拡張、桓公は美食という好みを見透かされ、臣下にその好みで操られた。易牙は主君の好みに合わせて我が子まで料理した。上に立つ者の好き嫌いが外に見えると、それが部下にとっての餌になる。部下の本心を釣ろうとする者は、自分の心もまた釣られていることを忘れてはならないのです。
この章句が説くこと
釣情韓非子易牙好悪側近操作
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