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長短経 / 時宜

七國時、秦王謂陳軫曰、「韓、魏相攻、朞年不解。或曰救之便、或曰勿救之便、寡人不能决、請為寡人决之。」軫曰、「昔卞莊子方制虎、管䜿子止之、曰、『兩虎方食牛、牛甘必爭、爭必鬭鬭則大者傷、小者死。從傷而刺之、一舉必有兩虎之名。』今韓、魏相攻、朞年不解、必是大國傷、小國亡。從傷而伐之、一舉必有兩實。此卞莊刺虎之類也。」恵王曰、「善。」果如其言。

新字:七国時、秦王謂陳軫曰、「韓、魏相攻、朞年不解。或曰救之便、或曰勿救之便、寡人不能決、請為寡人決之。」軫曰、「昔卞荘子方制虎、管䜿子止之、曰、『両虎方食牛、牛甘必争、争必闘闘則大者傷、小者死。従傷而刺之、一舉必有両虎之名。』今韓、魏相攻、朞年不解、必是大国傷、小国亡。従傷而伐之、一舉必有両実。此卞荘刺虎之類也。」恵王曰、「善。」果如其言。

書き下し

七国の時、秦王、陳軫に謂いて曰く「韓・魏相攻めて、期年解けず。或るひとは之を救うを便と曰い、或るひとは救う勿きを便と曰う。寡人決すること能わず。請う、寡人の為に之を決せよ」と。軫曰く「昔、卞荘子方に虎を刺さんとす。管豎子之を止めて曰く『両虎方に牛を食わんとす。牛甘ければ必ず争い、争えば必ず闘う。闘えば則ち大なる者は傷つき、小なる者は死す。傷つくに従いて之を刺さば、一挙にして必ず両虎の名有らん』と。今、韓・魏相攻めて、期年解けず。必ず是れ大国は傷つき、小国は亡びん。傷つくに従いて之を伐たば、一挙にして必ず両実有らん。此れ卞荘の虎を刺すの類なり」と。恵王曰く「善し」と。果たして其の言の如し。

現代語訳

戦国七雄の時代、秦王は陳軫に言った。「韓と魏が攻め合って一年たっても決着がつかない。救うのがよいと言う者もいれば、救わないのがよいと言う者もいる。私には決められない。私のために決めてくれ」。陳軫は言った。「昔、卞荘子が虎を刺そうとしたとき、宿屋の小僧が止めて言いました。『二頭の虎が牛を食べようとしています。牛がうまければ必ず取り合い、取り合えば必ず戦います。戦えば大きいほうは傷つき、小さいほうは死にます。傷ついたほうを刺せば、一度で二頭の虎を仕留めた名が得られます』。いま韓と魏が攻め合って一年たっても決着がつかない。必ず大国は傷つき、小国は滅びます。傷ついたところを伐てば、一度で二つの実利が得られます。これが卞荘子が虎を刺した話の類です」。恵王は「よい」と言った。果たしてその言葉どおりになった。

解説

韓と魏の争いに介入すべきか迷う秦王に、陳軫は二頭の虎の話をしました。虎同士が牛を奪い合えば、大きい虎は傷つき小さい虎は死ぬ。傷ついた虎だけを刺せば二頭分の成果が得られる。すぐに動かず、争いが両者を消耗させるのを待つ。介入するかしないかの二択ではなく、いつ介入するかという時間の選択を示したのです。これも時宜の一例として、この後に対照的な例が語られます。

この章句が説くこと

時宜陳軫漁夫の利待機介入の時期

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