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長短経 / 懼戒

楚共王薨、子靈王即位。羣公子因羣喪職之族、殺靈王、而立子干立未定、弟棄疾又殺子干而自立。〔棄疾、平王也。五人皆共王子也。〕初、子干之入也、韓宣子問于叔向曰、「子干其濟乎?」對曰、「難。」宣子曰、「同惡相求、如市賈焉、何難?」對曰、「無與同好、誰與同惡?取國有五難、有寵而無人、一也〔寵須賢人而固也。、〕有人而無主、二也〔雖有賢人、當須内主為應也。、〕有主而無謀、三也〔謀、䇿謀也。、〕有謀而無民、四也〔民、衆也。、〕有民而無徳、五也〔四者既備、當以徳成也。〕

新字:楚共王薨、子霊王即位。羣公子因羣喪職之族、殺霊王、而立子干立未定、弟棄疾又殺子干而自立。〔棄疾、平王也。五人皆共王子也。〕初、子干之入也、韓宣子問于叔向曰、「子干其済乎?」対曰、「難。」宣子曰、「同悪相求、如市賈焉、何難?」対曰、「無与同好、誰与同悪?取国有五難、有寵而無人、一也〔寵須賢人而固也。、〕有人而無主、二也〔雖有賢人、当須内主為応也。、〕有主而無謀、三也〔謀、策謀也。、〕有謀而無民、四也〔民、衆也。、〕有民而無徳、五也〔四者既備、当以徳成也。〕

書き下し

楚の共王薨じ、子の霊王位に即く。群公子、群喪職の族に因りて、霊王を殺して子干を立つ。立ちて未だ定まらざるに、弟の棄疾又た子干を殺して自立す。〔棄疾は平王なり。五人は皆共王の子なり。〕初め、子干の入るや、韓宣子、叔向に問いて曰く「子干其れ済らんか」と。対えて曰く「難し」と。宣子曰く「悪を同じくして相求むること、市賈の如し。何ぞ難からん」と。対えて曰く「与に好を同じくする無くんば、誰か与に悪を同じくせん。国を取るに五難有り。寵有りて人無き、一なり〔寵は賢人を須ちて固し〕。人有りて主無き、二なり〔賢人有りと雖も、当に内主の応と為るを須つべし〕。主有りて謀無き、三なり〔謀は策謀なり〕。謀有りて民無き、四なり〔民は衆なり〕。民有りて徳無き、五なり〔四者既に備わらば、当に徳を以て成すべし〕。

現代語訳

楚の共王が亡くなり、子の霊王が即位した。公子たちは職を失った一族たちを頼んで霊王を殺し、子干を立てた。まだ位が定まらないうちに、弟の棄疾がまた子干を殺して自ら立った。〔棄疾は平王である。五人は皆共王の子である。〕はじめ子干が楚に入ったとき、晋の韓宣子が叔向に「子干は成功するだろうか」と問うた。叔向は「難しいでしょう」と答えた。宣子は「憎む相手が同じ者同士が求め合うのは、市場の商売のようなものだ。何が難しいのか」と言った。叔向は答えた。「好むものを共にする者がいなければ、誰が憎むものを共にしましょう。国を取るには五つの難しさがあります。寵愛されていても支える人がいないのが一つ目〔寵愛は賢人がいて初めて固くなる〕。人がいても国内に呼応する主がいないのが二つ目〔賢人がいても国内で応じる有力者が要る〕。国内の主がいても謀がないのが三つ目〔謀とは策謀である〕。謀があっても民がついていないのが四つ目〔民とは衆である〕。民がいても徳がないのが五つ目です〔四つがそろっても、徳で仕上げなければならない〕。

解説

韓宣子は、霊王を憎む者同士が集まれば子干は国を取れると考えました。叔向は、共通の敵だけでは足りないと答えます。好むものを共にする仲間がいなければ、憎しみの同盟はすぐ崩れる。そして国を取る五つの条件を順に挙げた。寵愛、人材、国内の後ろ盾、策謀、民の支持、そして徳。一つ欠けるごとに難しさが増す。反対運動で集まった勢力が、勝った後にまとまれない理由がここにあります。

この章句が説くこと

懼戒叔向子干五難条件同盟

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