長短経 / 懼戒
故道在不可見、事在不可聞、勝在不可知。微哉!微哉!鷙鳥將擊、卑身翕翼、猛獸將搏、俛身俯伏、聖人將動、必有愚色。惟文惟徳、誰為之式?弗觀弗視、安知其極?今彼殷商、衆口相惑。吾觀其野、草茅勝穀、吾觀其羣、衆曲勝直、吾觀其吏、暴虐殘賊、敗法亂利而上不覺、此亡國之則也。」文王曰、「善。」
新字:故道在不可見、事在不可聞、勝在不可知。微哉!微哉!鷙鳥将撃、卑身翕翼、猛獣将搏、俛身俯伏、聖人将動、必有愚色。惟文惟徳、誰為之式?弗観弗視、安知其極?今彼殷商、衆口相惑。吾観其野、草茅勝穀、吾観其羣、衆曲勝直、吾観其吏、暴虐残賊、敗法乱利而上不覚、此亡国之則也。」文王曰、「善。」
書き下し
故に道は見るべからざるに在り、事は聞くべからざるに在り、勝ちは知るべからざるに在り。微なるかな、微なるかな。鷙鳥将に撃たんとすれば、身を卑くし翼を翕め、猛獣将に搏たんとすれば、身を俛して俯伏し、聖人将に動かんとすれば、必ず愚色有り。惟れ文惟れ徳、誰か之が式を為さん。観ず視ずんば、安んぞ其の極みを知らん。今、彼の殷商は、衆口相惑う。吾、其の野を観るに、草茅穀に勝ち、吾、其の群を観るに、衆曲直に勝ち、吾、其の吏を観るに、暴虐残賊にして、法を敗り利を乱して上覚らず。此れ亡国の則なり」と。文王曰く「善し」と。
現代語訳
だから道は見えないところにあり、事は聞こえないところにあり、勝ちは知られないところにある。微妙なことだ、微妙なことだ。猛禽が襲いかかろうとするときは身を低くして翼をたたみ、猛獣が飛びかかろうとするときは身をかがめて伏せ、聖人が動こうとするときは必ず愚かそうな顔をする。文と徳、誰がその手本となろうか。よく観察しなければ、どうしてその極みがわかろう。いま殷では多くの口が互いに惑わせ合っている。その野を見れば雑草が穀物より茂り、その人々を見れば曲がった者がまっすぐな者より多く、その役人を見れば乱暴で残虐で、法を壊し利を乱しているのに、上は気づかない。これが亡国の手本である」。文王は「よろしい」と言った。
解説
猛禽は襲う直前に身を低くし、猛獣は飛びかかる前に伏せる。聖人も動く前には愚かに見せる。太公望は、本当の準備は外から見えない形で進めよと言います。そして殷の滅亡の兆しを、野と人と役人の三つで示した。畑に雑草がはびこり、曲がった者がまっすぐな者を押しのけ、役人が法を壊しても上が気づかない。組織が崩れる兆しは、現場の荒れ方と、上がそれを知らないことに現れるのです。
この章句が説くこと
懼戒太公望潜伏兆候亡国観察
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