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長短経 / 三国権

曩令樊、酈、絳、灌據數十城而王、今雖以殘亡可也、令信、越之倫、列為徹侯而居、雖至今存可也。然則天下之大計亦可知巳。欲諸侯之皆忠附、則莫若令如長沙王、欲臣子之勿葅醢、則莫若令如樊、酈等、欲天下之治安、則莫若衆建諸侯而少其力。」以此觀之、令専城者、皆提封千里、有人民焉、非特百里之資也、官以才屬肺附、非特母親之䟽也、吳據江湖、蜀阻天險、非特山海之利也、跨州連郡、形束壤制、非特偶國之害也。若遭萬世之變、有七子之禍、則不可諱、有國者不可不察。〔魏明帝問黄權曰、「今三國鼎峙、何方為正?」對曰、「當以天文正之。徃年熒惑守心、而文帝崩、吴蜀二國主無事。由是觀之、魏正統矣。」〕

新字:曩令樊、酈、絳、灌拠数十城而王、今雖以残亡可也、令信、越之倫、列為徹侯而居、雖至今存可也。然則天下之大計亦可知巳。欲諸侯之皆忠附、則莫若令如長沙王、欲臣子之勿葅醢、則莫若令如樊、酈等、欲天下之治安、則莫若衆建諸侯而少其力。」以此観之、令専城者、皆提封千里、有人民焉、非特百里之資也、官以才属肺附、非特母親之䟽也、呉拠江湖、蜀阻天険、非特山海之利也、跨州連郡、形束壤制、非特偶国之害也。若遭万世之変、有七子之禍、則不可諱、有国者不可不察。〔魏明帝問黄権曰、「今三国鼎峙、何方為正?」対曰、「当以天文正之。往年熒惑守心、而文帝崩、呉蜀二国主無事。由是観之、魏正統矣。」〕

書き下し

曩に樊・酈・絳・灌をして数十城に拠りて王たらしめば、今は以て残亡すと雖も可なり。信・越の倫をして、列して徹侯と為りて居らしめば、今に至るまで存すと雖も可なり。然らば則ち天下の大計も亦た知るべきのみ。諸侯の皆忠附せんことを欲せば、則ち長沙王の如くならしむるに若くは莫く、臣子の葅醢せられざらんことを欲せば、則ち樊・酈等の如くならしむるに若くは莫く、天下の治安を欲せば、則ち衆く諸侯を建てて其の力を少なくするに若くは莫し」と。此を以て之を観れば、専城に令する者は、皆提封千里にして、人民有り、特に百里の資に非ざるなり。官は才を以て肺附に属し、特に母親の疏きに非ざるなり。呉は江湖に拠り、蜀は天険を阻む。特に山海の利に非ざるなり。州に跨り郡を連ね、形束壌制す。特に偶国の害に非ざるなり。若し万世の変に遭い、七子の禍有らば、則ち諱むべからず。有国者、察せざるべからず。〔魏の明帝、黄権に問いて曰く「今、三国鼎峙す。何れの方か正と為す」と。対えて曰く「当に天文を以て之を正すべし。往年、熒惑、心を守りて、文帝崩ず。呉・蜀二国の主は事無し。是に由りて之を観れば、魏正統なり」と。〕

現代語訳

もし昔、樊噲・酈商・周勃・灌嬰に数十の城を与えて王にしていたら、今ごろは滅んでいてもおかしくない。韓信や彭越のような者を列侯の位にとどめておいたら、今まで家が続いていてもおかしくない。そうであれば天下の大計もわかる。諸侯を皆忠実に従わせたいなら長沙王のようにするのがいちばんで、臣下を塩漬けの刑に遭わせたくないなら樊噲や酈商のようにするのがいちばんで、天下を治め安んじたいなら諸侯をたくさん立ててその力を小さくするのがいちばんだ」。これで見ると、いま一城を任されている者は皆千里の地と人民を持ち、百里の元手どころではない。官は才能によって皇帝の身内に属し、ただ母方の遠い親戚というものではない。呉は川と湖に拠り、蜀は天然の険しさに守られ、山や海の利どころではない。州にまたがり郡を連ね、地形で囲まれ土地で区切られていて、国都と並ぶ都の害どころではない。もし万世に一度の変事に遭い、晋の七王の乱のような禍が起これば、隠しようがない。国を持つ者はよく考えなければならない。〔魏の明帝は黄権に問うた。「いま三国が鼎立しているが、どこが正統か」。黄権は答えた。「天文で正すべきです。先年、火星が心宿にとどまって文帝が崩じましたが、呉と蜀の主には何事もありませんでした。これで見れば、魏が正統です」。〕

解説

賈誼の結論は、人を信じるより形を整えよというものでした。忠実でいてほしい相手には長沙王のように力を与えすぎず、功臣を罰したくなければ最初から王にしない。趙蕤はこの理屈を自分の時代に当てはめ、唐の地方長官が千里の地と民を持つ現状に警鐘を鳴らします。後に安史の乱が起きたことを思えば、この警告は的中していました。制度の危うさは、平時には見えず、変事が起きたときに一気に表れるのです。

この章句が説くこと

三国権趙蕤賈誼権限制度設計警鐘

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