長短経 / 三国権
上曰、「是計將安出?」令尹對曰、「出下計。」上曰、「何為廢上、中計而出下計?」令尹曰、「布故酈山之徒也、自致萬乗之國、此皆為身不顧其後、為萬世慮者。故曰出下計。」上曰、「善。」果如䇿。〔乃封薛公千户〕
新字:上曰、「是計将安出?」令尹対曰、「出下計。」上曰、「何為廃上、中計而出下計?」令尹曰、「布故酈山之徒也、自致万乗之国、此皆為身不顧其後、為万世慮者。故曰出下計。」上曰、「善。」果如策。〔乃封薛公千戸〕
書き下し
上曰く「是の計、将に安くにか出でんとする」と。令尹対えて曰く「下計に出でん」と。上曰く「何為れぞ上・中の計を廃して下計に出づる」と。令尹曰く「布は故の驪山の徒なり。自ら万乗の国を致す。此れ皆身の為にして其の後を顧み、万世の為に慮らざる者なり。故に曰く、下計に出でん、と」と。上曰く「善し」と。果たして策の如し。〔乃ち薛公を千戸に封ず。〕
現代語訳
高帝が「英布はどの計を取るだろうか」と問うと、薛公は「下計を取るでしょう」と答えた。高帝が「なぜ上計・中計を捨てて下計を取るのか」と問うと、薛公は言った。「英布はもと驪山で労役に就いていた罪人で、自力で万乗の国を手に入れました。こういう者は皆、自分の身のためだけを考え、後のことや万世のためには考えません。だから下計を取ると申したのです」。高帝は「よし」と言った。果たして策のとおりになった。〔そこで薛公を千戸に封じた。〕
解説
薛公は、三つの策を並べた後、英布は下計を取ると断言します。根拠は英布の生い立ちでした。罪人から身一つで王にまで成り上がった人は、自分の身を守ることを最優先し、天下という大きな絵を描かない。相手の選択を読むとき、その人の能力ではなく、何を大事にして生きてきたかを見たのです。人は危機のとき、自分が一番慣れた勝ち方に戻ります。
この章句が説くこと
三国権薛公英布人物評価予測動機
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