長短経 / 三国権
〔議曰、自廣江表、無窺中原之心、下計也。桓譚《新論》曰、「世有圍碁之戲、或言是兵法之類也。及為之、工者遂基䟽張、置以㑹圍、因而伐之、成多得、道之勝。中者則務相絶遮要、以争便求利、故勝敗狐疑、須計數而定。下者則守邊隅、趨作罫、以自生於小地。」然亦不如察薛公之言、上計云、「取吴楚、并齊魯及燕趙者。」此廣道地之謂。中計云、「取吴楚、并韓魏、塞成臯、據敖倉。」此趨遮要爭利者也。下計云、「取吴小蔡、據長沙以臨越。」此守邊隅、趨作罫者也。罫、音為卦反。〕
新字:〔議曰、自広江表、無窺中原之心、下計也。桓譚《新論》曰、「世有囲碁之戯、或言是兵法之類也。及為之、工者遂基䟽張、置以会囲、因而伐之、成多得、道之勝。中者則務相絶遮要、以争便求利、故勝敗狐疑、須計数而定。下者則守辺隅、趨作罫、以自生於小地。」然亦不如察薛公之言、上計云、「取呉楚、并斉魯及燕趙者。」此広道地之謂。中計云、「取呉楚、并韓魏、塞成皋、拠敖倉。」此趨遮要争利者也。下計云、「取呉小蔡、拠長沙以臨越。」此守辺隅、趨作罫者也。罫、音為卦反。〕
書き下し
〔議に曰く、自ら江表を広め、中原を窺うの心無きは、下計なり。桓譚の新論に曰く「世に囲碁の戯れ有り。或いは言う、是れ兵法の類なり、と。之を為すに及び、工なる者は遂に基を疏く張り、置きて以て会囲し、因りて之を伐ち、多く得るを成す。道の勝ちなり。中なる者は則ち相絶ち要を遮りて、以て便を争い利を求むることを務む。故に勝敗狐疑し、計数を須ちて定む。下なる者は則ち辺隅を守り、趨りて罫を作し、以て自ら小地に生く」と。然れども亦た薛公の言を察するに如かず。上計に云う「呉・楚を取り、斉・魯及び燕・趙を并す」と。此れ道地を広むるの謂いなり。中計に云う「呉・楚を取り、韓・魏を并せ、成皋を塞ぎ、敖倉に拠る」と。此れ遮要に趨り利を争う者なり。下計に云う「呉・下蔡を取り、長沙に拠りて以て越に臨む」と。此れ辺隅を守り、罫を作すに趨る者なり。罫の音は為卦の反。〕
現代語訳
〔論じて言う。自ら江南を広げるだけで中原をうかがう心がないのが下計である。桓譚の『新論』に言う。「世に囲碁という遊びがあり、兵法の一種だと言う人もいる。実際に打ってみると、上手な者は石を広くまばらに張り、置いた石で囲み込み、そこから攻めて多くを得る。これは大局の勝ちである。中ほどの者は、相手を断ち切り要所を遮って、有利を争い利を求めることに努める。だから勝敗ははっきりせず、計算して決まる。下手な者は隅や辺を守り、急いで小さな地を作り、狭い場所で生きようとする」。しかしそれも薛公の言葉をよく見るに及ばない。上計の「呉・楚を取り、斉・魯と燕・趙を併せる」は、広く地を取るということだ。中計の「呉・楚を取り、韓・魏を併せ、成皋を塞ぎ、敖倉に拠る」は、要所を遮って利を争うことだ。下計の「呉と下蔡を取り、長沙に拠って越に臨む」は、隅を守って小さな地を作ることだ。罫の音は「カイ」。〕
解説
この章句が説くこと
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