孫子 / 始計篇
兵者,詭道也。
書き下し
兵とは詭道なり。
現代語訳
戦争とは詭計である。
解説
「兵とは詭道なり」——戦いとは、あざむき合いである。孫子の兵法全体を貫く、最も有名な原則の一つです。正々堂々の力比べではなく、相手の予測を外し、実像をつかませないことが戦いの本質だと言い切ります。これは卑怯さの勧めではなく、手の内を読まれた側が不利になるという冷厳な現実を突いた教えです。この後に続く具体的な詭道(できるのにできないふりをする、など)の総論にあたります。ビジネスでも、こちらの狙いや強み、弱みをすべて競合に読まれてしまえば、先回りされて主導権を奪われます。真の意図を不用意にさらさず、相手の予測を裏切る。情報と心理を制する者が優位に立つ——現代の競争にもそのまま通じる、孫子の核心的な洞察です。
この章句が説くこと
詭道戦略欺瞞
関連する章句
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孫子・始計篇能くしてこれを不能と示し、用いてこれを不用と示し、近くしてこれを遠しと示し、遠くしてこれを近しと示す。
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『春秋左氏伝』定公二年 呉、楚を豫章に破る二年夏、四月、辛酉、鞏氏の群子弟簡公を賊す。桐楚に叛く。吳子舒鳩氏をして楚人を誘はしめて曰く、「師を以って我に臨め、我桐を伐たん。我が為に之をして忌む無からしめよ」と。秋、楚の囊瓦吳師を豫章に伐つ。吳人舟を豫章に見(しめ)して、師を巢に潛む。冬、十月、吳楚の師に豫章に軍し、之を敗る。遂に巢を圍み、之に克ち、楚の公子繁を獲たり。邾の莊公夷射姑と酒を飲む。私(しし)に出づ。閽肉を乞ふ。之が杖を奪ひて以って之を敲く。
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孫子・始計篇利にしてこれを誘い、乱にしてこれを取り、実にしてこれに備え、強にしてこれを避け、怒にしてこれを撓し、卑にしてこれを驕らしめ、佚にしてこれを労し、親にしてこれを離す。
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孫子・行軍篇兵怒りて相迎え、久しくして合わず、又相去らざるは、必ず謹んでこれを察すべし。
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孫子・行軍篇敵近くして静かなる者は、其の険を恃むなり。遠くして戦いを挑む者は、人の進むを欲するなり。其の居る所の易なる者は、利あればなり。
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『長短経』料敵敵来たりて新たに到り、行陣未だ定まらざるは、撃つべきなり。陣定まると雖も、人馬未だ食わざるは、撃つべきなり。長道を渉りて、後行未だ息わざるは、撃つべきなり。坂を行き険を渉り、半ば隠れ半ば出づるは、撃つべきなり。水を渉りて半ば渡るは、撃つべきなり。険道狭路は、撃つべきなり。旌旗乱れ動くは、撃つべきなり。陣数々動移するは、撃つべきなり。人馬数々顧みるは、撃つべきなり。凡そ此を見る者は、之を撃ちて疑うこと勿かれ。然れども兵なる者は、詭道なり。能にして之に不能を示し、用いて之に用いざるを示す。故に匈奴弱きを示して、漢祖に平城の囲み有り。石勒鋒を蔵して、王浚に幽州の陥り有り。即ち其の效なり。慎まざるべけんや。
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