長短経 / 三国権
蜀使馬良使吴。良謂亮曰、「今銜國命、協穆二家、幸為良介於孫將軍。」亮曰、「君試自為文。」良即草曰、「寡君遣掾馬良通聘繼好、以紹昆吾豕韋之勲其人吉士。荆楚之令、鮮於造次之華、而有克終之美。願降心存納、以慰將命。」權大待之也。〕
新字:蜀使馬良使呉。良謂亮曰、「今銜国命、協穆二家、幸為良介於孫将軍。」亮曰、「君試自為文。」良即草曰、「寡君遣掾馬良通聘継好、以紹昆吾豕韋之勲其人吉士。荆楚之令、鮮於造次之華、而有克終之美。願降心存納、以慰将命。」権大待之也。〕
書き下し
蜀、馬良をして呉に使いせしむ。良、亮に謂いて曰く「今、国命を銜み、二家を協穆す。幸わくは良の為に孫将軍に介せよ」と。亮曰く「君試みに自ら文を為れ」と。良即ち草して曰く「寡君、掾馬良を遣わして聘を通じ好を継ぎ、以て昆吾・豕韋の勲を紹がしむ。其の人は吉士にして、荊楚の令なり。造次の華に鮮くして、克く終うるの美有り。願わくは心を降して存納し、以て将命を慰めよ」と。権大いに之を待つなり。〕
現代語訳
蜀は馬良を呉に使者として送った。馬良は諸葛亮に言った。「いま国の命を受けて両家を和合させに行きます。どうか私のために孫将軍への紹介状を書いてください」。諸葛亮は言った。「あなたが試しに自分で書いてみなさい」。馬良はすぐに草稿を書いた。「わが君は属官の馬良を遣わして友好を通じ、昆吾や豕韋が王室を支えた功績を受け継がせようとしています。この人物は立派な士で、荊楚の優れた人材です。とっさの華やかさには乏しいが、最後までやり遂げる美点があります。どうかお心を寄せて受け入れ、使者の労をねぎらってください」。孫権は馬良を大いにもてなした。〕
解説
紹介状を頼んだ馬良に、諸葛亮は自分で書けと言います。馬良は自分を紹介する文を自分で書くことになり、とっさの華やかさはないが最後までやり遂げる、と記しました。自己紹介を自分で書くと、人は自分の長所と短所を正直に見つめざるをえません。控えめだが誠実な自己評価は、かえって相手の信頼を得ました。諸葛亮の一言は、部下に自分を語らせる育て方でもあったのでしょう。
この章句が説くこと
三国権馬良諸葛亮自己紹介誠実外交
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