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長短経 / 七雄略

後三年、復欲將白起伐趙、起不肯。王乃使應侯責之曰、「楚地方五千里、持㦸百萬、君前率數萬之衆入楚、拔鄢郢、焚其郊廟、楚人震恐、東徙而不敢西向。韓、魏相率興兵甚衆、君所將不能半、而破之伊闕、流血漂樐韓、魏已服、至今稱東藩。此君之功、天下莫不聞。今趙卒之死於長平者、已十七八、是以寡君願使君将、必欲滅之。君常以寡擊衆、取勝如神、况以强擊弱、以衆擊寡乎?」

新字:後三年、復欲将白起伐趙、起不肯。王乃使応侯責之曰、「楚地方五千里、持戟百万、君前率数万之衆入楚、抜鄢郢、焚其郊廟、楚人震恐、東徙而不敢西向。韓、魏相率興兵甚衆、君所将不能半、而破之伊闕、流血漂樐韓、魏已服、至今称東藩。此君之功、天下莫不聞。今趙卒之死於長平者、已十七八、是以寡君願使君将、必欲滅之。君常以寡撃衆、取勝如神、況以強撃弱、以衆撃寡乎?」

書き下し

後三年、復た白起を将として趙を伐たんと欲するも、起肯んぜず。王乃ち応侯をして之を責めしめて曰く「楚は地方五千里、戟を持つもの百万。君、前に数万の衆を率いて楚に入り、鄢郢を抜き、其の郊廟を焚く。楚人震恐し、東に徙りて敢えて西に向かわず。韓・魏相率いて兵を興すこと甚だ衆きも、君の将いる所は半ばにも能わず、而して之を伊闕に破り、流血、櫓を漂わす。韓・魏已に服し、今に至るまで東藩と称す。此れ君の功にして、天下聞かざるは莫し。今、趙卒の長平に死する者、已に十に七八。是を以て寡君、君をして将たらしめ、必ず之を滅ぼさんと欲す。君は常に寡を以て衆を撃ち、勝を取ること神の如し。況んや強を以て弱を撃ち、衆を以て寡を撃つをや」と。

現代語訳

三年後、秦王はまた白起を将軍にして趙を伐とうとしたが、白起は承知しなかった。王は応侯に白起を責めさせて言った。「楚は国土五千里、戟を持つ兵が百万いる。あなたは以前、数万の兵を率いて楚に入り、鄢と郢を落とし、その郊外の宗廟を焼いた。楚の人は震え上がり、東へ移って西を向こうとしなくなった。韓と魏が連れ立って大軍を起こしたときも、あなたの兵はその半分にも満たなかったのに、伊闕で破り、流れた血が大盾を浮かべるほどだった。韓と魏は屈服し、いまも東の藩臣と称している。これはあなたの功績で、天下に知らぬ者はない。いま趙の兵は長平で十のうち七、八が死んだ。だからわが君はあなたを将軍にして、必ず趙を滅ぼしたいのだ。あなたはいつも少数で多数を撃ち、神のように勝ってきた。まして強い側で弱い側を撃ち、多数で少数を撃つのなら、なおさらではないか」。

解説

三年前に白起を止めた范雎が、今度は白起を戦場へ押し出す役に回ります。言い分は、あなたは少ない兵で大軍に勝ってきた、今回は多い兵で弱った相手を撃つのだから楽なはずだ、というものです。数字だけを比べれば筋は通っています。しかし勝敗を決めたのは兵の数ではなく、そのときの相手の状態でした。過去の実績を持ち出して押す説得は、条件の違いを見落としがちです。白起はそこを見抜いていました。

この章句が説くこと

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