長短経 / 覇図
漕通河洛、控引江淮。丁壮倦勞苦、老弱疲轉餉。髙熲賀若弼、先朝重臣、勲徳俱茂、薛道衡、英華冠世、經綸之才、咸被非辜、卒遭夷戮、賢哲之士退、謟佞之子昇又頻年討遼、征役不息、行者不返、國用空虚、白骨被於原野、肝膽塗於草澤。悠悠寃魂、有謂上帝、将假手於人矣。及在雁門、取辱戎虜、重圍既觧理須寧息、方更巡逰呉越、翺翔江。上頭會箕歛以供行樂。士卒無短褐、後宫厭羅綺、士卒無糟糠、犬馬賤粟肉、甲冑生蟣虱、戎馬不解鞍。拒諫餙非、無心反駕。遂使九縣瓜分、八紘幅裂。以天下之富、四海之貴、一旦棄之、猶曰無罪、臣竊為陛下羞之。」乃黙然、縊殺之。〕
新字:漕通河洛、控引江淮。丁壮倦労苦、老弱疲転餉。高熲賀若弼、先朝重臣、勲徳倶茂、薛道衡、英華冠世、経綸之才、咸被非辜、卒遭夷戮、賢哲之士退、謟佞之子昇又頻年討遼、征役不息、行者不返、国用空虚、白骨被於原野、肝胆塗於草沢。悠悠冤魂、有謂上帝、将仮手於人矣。及在雁門、取辱戎虜、重囲既觧理須寧息、方更巡遊呉越、翺翔江。上頭会箕歛以供行楽。士卒無短褐、後宮厭羅綺、士卒無糟糠、犬馬賤粟肉、甲冑生蟣虱、戎馬不解鞍。拒諫餙非、無心反駕。遂使九県瓜分、八紘幅裂。以天下之富、四海之貴、一旦棄之、猶曰無罪、臣窃為陛下羞之。」乃黙然、縊殺之。〕
書き下し
漕は河洛に通じ、江淮を控引す。丁壮は労苦に倦み、老弱は転餉に疲る。高熲・賀若弼は、先朝の重臣にして、勲徳倶に茂し。薛道衡は、英華、世に冠たり、経綸の才あり。咸な非辜を被り、卒に夷戮に遭う。賢哲の士は退き、諂佞の子は昇る。又た頻年に遼を討ち、征役息まず。行く者は返らず、国用空虚なり。白骨は原野に被い、肝胆は草沢に塗る。悠悠たる冤魂、上帝に謂う有り。将に手を人に假らんとす。雁門に在るに及び、辱を戎虜に取る。重囲既に解け、理として須らく寧息すべし。方に更に呉越に巡遊し、江上に翺翔す。頭会箕斂して以て行楽に供す。士卒に短褐無く、後宮は羅綺に厭く。士卒に糟糠無く、犬馬は粟肉を賤しむ。甲冑に蟣虱を生じ、戎馬は鞍を解かず。諫めを拒み非を飾り、駕を反す心無し。遂に九県をして瓜のごとく分かれ、八紘をして幅のごとく裂けしむ。天下の富、四海の貴を以て、一旦にして之を棄つ。猶お罪無しと曰う。臣、竊かに陛下の為に之を羞ず」と。乃ち黙然たり。之を縊り殺す。〉
現代語訳
運河は黄河と洛水に通じ、長江と淮水を引き寄せた。壮年の男は労苦に疲れ、老人と子どもは兵糧の運搬に疲れた。高熲と賀若弼は先帝の重臣で、功も徳も盛んだった。薛道衡は才華が世に並ぶ者なく、国を経営する才があった。みな罪のないまま処刑された。賢く聡明な者は退き、へつらう者が昇った。しかも毎年遼を討ち、徴発が止まなかった。行った者は帰らず、国庫は空になった。白骨が野を覆い、肝や胆が草むらに塗られた。多くの無念の魂が上帝に訴え、人の手を借りようとしている。雁門では異民族に辱められた。囲みが解けたのだから、当然休むべきだった。それなのにまた呉越を巡遊し、川の上を飛び回った。人頭割りで搾り取って遊楽に供した。兵には粗末な短衣さえなく、後宮は絹に飽きている。兵には糟糠さえなく、犬や馬は穀物や肉を粗末にする。甲冑にしらみが湧き、軍馬は鞍を解かない。諫めを拒み過ちを飾り、引き返す気がない。ついに九つの地域は瓜のように分かれ、天下は布のように裂けた。天下の富と四海の貴さを、一朝にして棄てた。それでも罪がないと言う。私はひそかに陛下のために恥じます」。煬帝は黙った。絞め殺した。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『長短経』覇図大唐、王世充、越王侗を洛陽に殺し、僭りて尊号を称す。隋氏滅ぶ。〈梁の時、沙門宝誌、書を為りて曰く「三を牽きて九に就く。索虜、殿を下りて走る。意は東南に遊ばんと欲するも、厄は彭城の口に在り」と。今茲三月、江東の童謡に曰く「江水何ぞ冷冷たる、楊柳何ぞ青青たる。人、今、正に楽しみを好むも、已に復た彭城を戍る」と。三を牽きて九に就くは、十二年なり。戍は輸を言うなり。呉人は北人を謂いて虜と為す。江都の西に彭城村有り、村に彭城水有り。上、其の水を引きて西閣の下に入る。果たして此に於て執えらる。初め、上、江都に在り、英雄競い起こると聞き、皆な曰く「此れ乃ち狂賊なり。終に成す所無からん」と。義師起こると聞くに及び、上、方に臥す。驚き起ちて曰く「此れ之を得たり。楊広は博覧多聞なるも、学の淵きを知らず。天子と為るに、安くんぞ聖を用いんや」と。心を撫して歎ずること久しく、復た臥して曰く「王者は死せず。天、自ら人を成すなり」と。〉
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『長短経』覇図桂陽、衆を負み、軽がるしく九鼎を問う。冠を裂き冕を毀ち、本を抜き源を塞ぐ。烈火は王城に焚け、飛矢は君屋に集まる。群后憂惶し、元戎に主無し。公、剣を挺き神を凝らせば、則ち奇謀は不世なり。旄を把りて指麾すれば、則ち懦夫も勇を成す。信宿の間に、宣陽底定す。此れ又た公の功なり。蒼梧、虐を肆にし、諸夏糜沸す。淫刑もて以て逞しくし、誰か則ち辜無からん。黔首相い悲しみ、朝に夕を謀らず。高祖の業、已に淪み、文明の軌、誰か嗣がん。公、遠く殷漢の義を稽え、近く魏晋の典に遵い、猥りに眇身を以て、入りて宗社を奉ず。七廟清謐し、九区政に反る。此れ又た公の功なり。
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『長短経』覇図袁・劉、貳を携え、此の乱階を成す。醜図潜かに構え、危機密かに発す。石頭に拠有し、志は応路を犯す。神謨内に運り、霜鋒外に挙がる。祅沴載ち澄み、国途悦穆たり。此れ又た公の功なり。沈攸、包蔵すること歳月にして滋々彰る。蜂目犲声、兵を阻みて安んじて忍ぶ。乃ち眷して西顧すれば、緬かに異域に同じ。而して経綸維れ始まり、九伐未だ申べず。長悪悛めず、遂に凶逆を逞しくす。公、鉞を仗きて関を出で、威を江甸に凝らす。正情は皎日と亮を同じくし、明略は秋雲と爽を競う。至義の感ずる所、人は其の心を百にす。積年の逋誅、一朝にして顕戮す。湘浦は安流し、章台は順軌たり。此れ又た公の功なり。公に天下を済うの勲有り。加うるに明哲を以てす。道は生霊を庇い、志は宇宙を匡す。力を戮し心を肆にし、王室に劬労す。険阻艱難、備さに之を嘗む。若し乃ち宗室を締構するの勲、造物資始の沢は、雲のごとく布き霧のごとく散じ、光は六合に被る。余一人を弼け、永く四海を清くす。遐方は関を款きて義を慕い、荒服は訳を重ねて来庭す。汪たるかな邈たるかな、得て之を名づくる無きなり」と。〉