長短経 / 覇図
遷中領軍、蒼梧王深相猜忌〔帝晝卧裸袒。蒼梧王率數十騎直入領軍府、立帝於宫内、畫腹為射的、自引滿射之、左右玉夫固諫曰、「領軍腹大、是佳射堋、而一箭便死、後無復射、不如以骲箭射之。」一箭中臍、蒼梧投弓於地也。、〕常語左右楊玉夫、「伺織女度報我。」是夜七夕、玉夫懼、取千牛刀殺之〔玉夫與王敬則通謀、殺蒼梧。賫首送領軍府報帝、帝乃戎服、夜入殿中。明旦、召袁粲等計議。粲欲有言、帝鬢鬚盡張、眼光如電。敬則㧞刀跳躍、麾衆曰、「天下之事皆應決蕭公、敢有開一言者、染敬則刀。」乃自取白紗㡌加帝首、令即位。曰、「事須及熱。」帝正色曰、「卿都不自解也。」。〕帝乃迎立順帝。
新字:遷中領軍、蒼梧王深相猜忌〔帝昼臥裸袒。蒼梧王率数十騎直入領軍府、立帝於宮内、画腹為射的、自引満射之、左右玉夫固諫曰、「領軍腹大、是佳射堋、而一箭便死、後無復射、不如以骲箭射之。」一箭中臍、蒼梧投弓於地也。、〕常語左右楊玉夫、「伺織女度報我。」是夜七夕、玉夫懼、取千牛刀殺之〔玉夫与王敬則通謀、殺蒼梧。賫首送領軍府報帝、帝乃戎服、夜入殿中。明旦、召袁粲等計議。粲欲有言、帝鬢鬚尽張、眼光如電。敬則抜刀跳躍、麾衆曰、「天下之事皆応決蕭公、敢有開一言者、染敬則刀。」乃自取白紗㡌加帝首、令即位。曰、「事須及熱。」帝正色曰、「卿都不自解也。」。〕帝乃迎立順帝。
書き下し
中領軍に遷る。蒼梧王、深く相い猜忌す。〈帝、昼に臥して裸袒たり。蒼梧王、数十騎を率いて直ちに領軍府に入り、帝を宮内に立たしめ、腹に画きて射の的と為し、自ら満を引きて之を射んとす。左右の玉夫、固く諫めて曰く「領軍の腹は大なり。是れ佳き射堋なり。而るに一箭にして便ち死せば、後に復た射る無し。骲箭を以て之を射るに如かず」と。一箭、臍に中たる。蒼梧、弓を地に投ずるなり。〉常に左右の楊玉夫に語る「織女の度るを伺いて我に報ぜよ」と。是の夜七夕、玉夫懼れ、千牛刀を取りて之を殺す。〈玉夫、王敬則と通謀し、蒼梧を殺す。首を賫して領軍府に送り、帝に報ず。帝、乃ち戎服して、夜に殿中に入る。明旦、袁粲等を召して計議す。粲、言う有らんと欲す。帝の鬢鬚尽く張り、眼光は電の如し。敬則、刀を抜きて跳躍し、衆を麾いて曰く「天下の事、皆な応に蕭公に決すべし。敢えて一言を開く者有らば、敬則の刀に染まらん」と。乃ち自ら白紗帽を取りて帝の首に加え、即位せしめんとして曰く「事は熱きに及ぶを須つ」と。帝、正色して曰く「卿、都て自ら解せざるなり」と。〉帝、乃ち順帝を迎え立つ。
現代語訳
中領軍に遷った。蒼梧王は深く猜疑した。〈蕭道成が昼に裸で横になっていた。蒼梧王は数十騎を率いてまっすぐ領軍府に入り、蕭道成を屋内に立たせ、腹に的を描いて、自ら弓を引き絞って射ようとした。側近の楊玉夫が強く諫めた。「領軍の腹は大きい。よい的です。しかし一矢で死んでしまえば、もう射られません。鏃のない矢で射るに越したことはありません」。一矢が臍に当たった。蒼梧王は弓を地に投げ捨てた。〉蒼梧王はいつも側近の楊玉夫に「織女が天の川を渡るのを見張って報告せよ」と言っていた。この夜は七夕で、楊玉夫は恐れ、千牛刀を取って殺した。〈楊玉夫は王敬則と通謀して蒼梧王を殺した。首を持って領軍府へ送り、蕭道成に報告した。蕭道成は軍装して夜に宮殿へ入った。翌朝、袁粲らを呼んで協議した。袁粲が何か言おうとした。蕭道成の鬢と髭は逆立ち、目の光は稲妻のようだった。王敬則は刀を抜いて跳び上がり、人々を制して言った。「天下のことはみな蕭公が決めるべきだ。あえて一言でも口を開く者があれば、敬則の刀に染まる」。そして自ら白い紗の帽子を取って蕭道成の頭にかぶせ、即位させようとして言った。「事は熱いうちにやるべきだ」。蕭道成は顔色を正して言った。「あなたはまるで分かっていない」。〉蕭道成は順帝を迎えて立てた。
解説
この章句が説くこと
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『長短経』覇図太子義符を立つ。〈是を滎陽王と為す。即位して昏乱す。司空徐羨之、政を輔け、廃して滎陽王と為す。〉廃し、宜都王義隆を立つ。〈是を文帝と為す。帝は高祖の第二子なり。太子劭の殺す所と為る。初め、劭及び弟濬、並びに礼度に乖くこと多く、上の知るを懼る。乃ち巫蠱咒咀を為す。帝、之を聞きて大いに怒り、将に劭を廃して濬を殺し、更に立つる所を議せんとす。疑いを持して未だ定まらず。事を以て濬の母潘淑妃に語る。以て劭に告ぐ。劭、悖凶にして、乃ち帝を合殿に弑す。劭、即位するなり。〉弑して武陵王駿を立つ。〈是を孝武皇帝と為す。文帝の第三子なり。劭、帝を弑す。駿、義兵を起こし、京に至りて劭を誅す。〉崩じ、太子子業を立つ。〈是を前廃帝と為す。帝、凶悖にして、左右の寿寂之、之を殺す。〉崩じ、湘東王彧を立つ。〈是を明帝と為す。文帝の第十八子なり。孝武の諸子、江州刺史晋安王勛、尋陽王子房等、並びに兵を挙げて反す。皆な征して之を平らぐ。〉崩じ、太子昱を立つ。〈是を後廃帝と為す。位に在りて凶悖なり。常に楊玉夫を殺さんと欲す。玉夫懼る。是の夜七夕、玉夫をして織女の渡るを伺いて已に報ぜしむ。王敬則、先に玉夫と通謀す。玉夫、帝の眠り熟するを候ちて、遂に之を斬り、首を送りて斉王蕭道成に与うるなり。〉崩じ、順帝準を立つ。〈是を順皇帝と為す。明帝の第三子なり。〉位を斉の蕭道成に遜る。凡そ八代、六十年。
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