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長短経 / 覇図

曹公軍官渡、紹時悉衆而南、田豐説紹曰、「曹公善用兵、變化無方、衆雖少、未可輕也。不如以久持之。将軍據山河之固、擁四州之衆、外結英雄、内修農戰。然後簡其精鋭、分為竒兵、乗虚迭出、以擾河南、救右則撃其左、救左則擊其右、使敵疲於奔命、人不得安業、我不勞而彼已困、不及三年、可坐而克也。今釋廟算之䇿、而決成敗於一戰、若不如志悔無及也。」

新字:曹公軍官渡、紹時悉衆而南、田豊説紹曰、「曹公善用兵、変化無方、衆雖少、未可軽也。不如以久持之。将軍拠山河之固、擁四州之衆、外結英雄、内修農戦。然後簡其精鋭、分為奇兵、乗虚迭出、以擾河南、救右則撃其左、救左則撃其右、使敵疲於奔命、人不得安業、我不労而彼已困、不及三年、可坐而克也。今釈廟算之策、而決成敗於一戦、若不如志悔無及也。」

書き下し

曹公、官渡に軍す。紹、時に衆を悉くして南す。田豊、紹に説きて曰く「曹公は善く兵を用い、変化方無し。衆は少なしと雖も、未だ軽んず可からず。久しきを以て之を持するに如かず。将軍は山河の固きに拠り、四州の衆を擁す。外は英雄を結び、内は農戦を修む。然る後に其の精鋭を簡び、分かちて奇兵と為し、虚に乗じて迭々出で、以て河南を擾し、右を救わば則ち其の左を撃ち、左を救わば則ち其の右を撃つ。敵をして奔命に疲れしめ、人、業に安んずるを得ざらしむ。我労せずして彼已に困す。三年に及ばずして、坐して克つ可きなり。今、廟算の策を釈てて、成敗を一戦に決す。若し志の如くならずんば、悔ゆとも及ぶ無きなり」と。

現代語訳

曹操は官渡に陣した。袁紹は全軍を挙げて南下した。田豊が袁紹に説いた。「曹操は用兵が巧みで、変化に決まった形がない。兵は少なくても軽く見てはいけません。長期戦で持ちこたえるに越したことはない。将軍は山河の堅さに拠り、四州の兵を擁している。外では英雄と結び、内では農業と軍備を整える。そのうえで精鋭を選んで奇襲部隊とし、隙に乗じて代わる代わる出て河南を騒がせ、右を救えば左を撃ち、左を救えば右を撃つ。敵を命令に追われて疲れさせ、民が生業に落ち着けないようにする。我々は苦労せずに相手は困り果てる。三年もたたずに座ったまま勝てます。いま朝廷で立てた策を捨てて、勝敗を一戦で決しようとする。思いどおりにならなければ、悔いても及びません」。

解説

沮授と同じ持久策を、田豊が別の言葉で説きます。右を救えば左、左を救えば右。相手を走り回らせて疲れさせる。三年かからず勝てる、という見積もりまで出しました。優勢な側が時間を使えば、差は自然に開きます。それを捨てて一戦に賭けるのは、賭けの必要がない人が賭けに出ることです。田豊はこの諫言で投獄されます。正しいことを言った人が罰される組織では、次から誰も言わなくなります。

この章句が説くこと

覇図田豊袁紹持久奔命一戦

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