長短経 / 覇図
〔呉王問伍胥曰、「伐楚如何?」對曰、「楚執政衆而乖、莫適任患。若為三師以肄之、一師至、彼必皆出、彼出即歸、彼歸即出、楚必道敝亟肄以疲之、多方以誤之。既疲、而後以三軍繼之、必大克。」闔閭從之。楚於是乎始病。越王勾踐問於大夫種曰、「伐呉何如?」對曰、「伐吴有七術、其畧云、尊天事鬼、以空其邪、遺之好美、以榮其志、遺之巧工、使起宫室、以盡其財、遺之諛臣、使之易伐、強其諌臣、使之自殺、堅甲利兵、以承其弊越王於是餙美女西施、獻之吴王。吴王悦之。子胥諫、不受。吴王誅子胥。越又為榮楯鏤以黄金、獻之吴王。吴王受之、而起姑蘓之臺、五年乃能成、百姓道死。越又蒸粟種遺吴王、吴王付人種之、不生、吴大飢。
新字:〔呉王問伍胥曰、「伐楚如何?」対曰、「楚執政衆而乖、莫適任患。若為三師以肄之、一師至、彼必皆出、彼出即帰、彼帰即出、楚必道敝亟肄以疲之、多方以誤之。既疲、而後以三軍継之、必大克。」闔閭従之。楚於是乎始病。越王勾践問於大夫種曰、「伐呉何如?」対曰、「伐呉有七術、其略云、尊天事鬼、以空其邪、遺之好美、以栄其志、遺之巧工、使起宮室、以尽其財、遺之諛臣、使之易伐、強其諌臣、使之自殺、堅甲利兵、以承其弊越王於是餙美女西施、献之呉王。呉王悦之。子胥諫、不受。呉王誅子胥。越又為栄楯鏤以黄金、献之呉王。呉王受之、而起姑蘓之台、五年乃能成、百姓道死。越又蒸粟種遺呉王、呉王付人種之、不生、呉大飢。
書き下し
〈呉王、伍胥に問いて曰く「楚を伐たば如何」と。対えて曰く「楚は執政衆くして乖き、適に患いに任ずる莫し。若し三師を為して以て之を肄わば、一師至れば、彼必ず皆な出づ。彼出づれば即ち帰り、彼帰れば即ち出づ。楚必ず道に敝れん。亟しば肄して以て之を疲れしめ、多方にして以て之を誤らしむ。既に疲れて、而る後に三軍を以て之に継がば、必ず大いに克たん」と。闔閭之に従う。楚是に於て始めて病む。越王勾践、大夫種に問いて曰く「呉を伐たば何如」と。対えて曰く「呉を伐つに七術有り。其の略に云う、天を尊び鬼に事えて、以て其の邪を空しくし、之に好美を遺りて、以て其の志を栄えしめ、之に巧工を遺り、宮室を起こさしめて、以て其の財を尽くし、之に諛臣を遺りて、之をして伐ち易からしめ、其の諫臣を強くして、之をして自殺せしめ、甲を堅くし兵を利くして、以て其の弊を承く」と。越王是に於て美女西施を飾り、之を呉王に献ず。呉王之を悦ぶ。子胥諫むるも、受けず。呉王、子胥を誅す。越、又た栄楯を為りて鏤むるに黄金を以てし、之を呉王に献ず。呉王之を受けて、姑蘇の台を起こす。五年にして乃ち能く成り、百姓道に死す。越、又た粟を蒸して種と為して呉王に遺る。呉王、人に付して之を種えしむるに、生ぜず。呉、大いに飢う。
現代語訳
〈呉王が伍子胥に尋ねた。「楚を伐つにはどうするか」。答えた。「楚は執政者が多くて食い違い、責任を引き受ける者がいません。三つの部隊を作って揺さぶれば、一隊が行けば相手は必ず総出で来ます。出れば引き返し、帰れば出る。楚は必ず道中で疲れます。何度も繰り返して疲れさせ、いろいろな手で誤らせる。疲れたところで三軍を続けて出せば、必ず大勝します」。闔閭はこれに従った。楚はこうして弱りはじめた。越王勾践が大夫の文種に尋ねた。「呉を伐つにはどうするか」。答えた。「呉を伐つには七つの術があります。大略はこうです。天を尊び鬼神に仕えさせてその財を空にし、美女を贈ってその志を緩ませ、巧みな工人を贈って宮殿を建てさせその財を使い果たさせ、へつらう臣を送り込んで伐ちやすくし、諫める臣を強く立たせて自殺に追い込ませ、こちらは鎧を堅くし武器を鋭くしてその疲弊を待つ」。越王はそこで美女の西施を装わせて呉王に献じた。呉王はこれを喜んだ。伍子胥が諫めたが聞き入れず、呉王は子胥を誅した。越はさらに飾りの盾を作って黄金で彫り、呉王に献じた。呉王はこれを受け取り、姑蘇の台を建てた。五年でようやく完成し、民は道端で死んだ。越はさらに蒸した粟を種として呉王に贈った。呉王が人に植えさせたが芽が出ず、呉は大飢饉になった。
解説
この章句が説くこと
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孫子・作戦篇故に智将は敵に食するを務む。敵に食する一鍾は、吾が二十鍾に当たり、萁稈一石は、吾が二十石に当たる。
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三略・上略夫れ軍を統べ勢を持する者は将なり。勝を制し敵を敗る者は衆なり。故に乱将は軍を保たしむべからず、乖衆は人を伐たしむべからず。城を攻むるも抜くべからず、邑を囲むも則ち廃れず。二者功無ければ、則ち士力疲憊す。士力疲憊すれば、則ち将は孤にして衆は悖る。以て守れば則ち固からず、以て戦えば則ち奔北す。是を老兵と謂う。兵老ゆれば、則ち将の威行われず。将に威無ければ、則ち士卒は刑を軽んず。士卒刑を軽んずれば、則ち軍は伍を失う。軍伍を失えば、則ち士卒は逃亡す。士卒逃亡すれば、則ち敵は利に乗ず。敵利に乗ずれば、則ち軍は必ず喪ぶ。
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司馬法・用眾凡そ戦いは、先んずれば則ち弊(つか)れ、後るれば則ち懾(おそ)れ、息(いこ)えば則ち怠り、息わざるも亦弊れ、息うこと久しきも亦其の懾に反る。
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『韓非子』初見秦第一然り而して兵甲頓れ、士民病み、蓄積索き、田疇荒れ、囷倉虚しく、四隣の諸侯服せず、霸王の名成らず。此れ異なる故無し、其の謀臣皆な其の忠を尽くさざればなり。
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