長短経 / 正論
凡三遊之作、主於季世、周秦之末尤甚焉。上不明、下無正、制度不立、綱紀弛廢、以毁譽為榮辱、不核其真、以愛憎為利害、不論其實、言論者、計厚薄而吐辭、選舉者、度親踈而下筆。然則利不可以義求、害不可以道避。是以君子犯禮、小人犯法、餙華廢實、競取時利、薄骨肉之恩、篤僚友之厚、㤀修身之道、而求衆人之譽、苞苴盈於門庭、聘問交於道路、于是流俗成而正道壊矣。
新字:凡三遊之作、主於季世、周秦之末尤甚焉。上不明、下無正、制度不立、綱紀弛廃、以毀誉為栄辱、不核其真、以愛憎為利害、不論其実、言論者、計厚薄而吐辞、選舉者、度親疎而下筆。然則利不可以義求、害不可以道避。是以君子犯礼、小人犯法、餙華廃実、競取時利、薄骨肉之恩、篤僚友之厚、㤀修身之道、而求衆人之誉、苞苴盈於門庭、聘問交於道路、于是流俗成而正道壊矣。
書き下し
凡そ三遊の作るは、季世に主とす。周秦の末、尤も甚だし。上明らかならず、下正しき無し。制度立たず、綱紀弛廃す。毀誉を以て栄辱と為し、其の真を核せず。愛憎を以て利害と為し、其の実を論ぜず。言論する者は、厚薄を計りて辞を吐き、選挙する者は、親疎を度りて筆を下す。然らば則ち利は義を以て求む可からず、害は道を以て避く可からず。是を以て君子は礼を犯し、小人は法を犯し、華を飾り実を廃し、競いて時利を取り、骨肉の恩を薄くし、僚友の厚きを篤くし、身を修むるの道を忘れて、衆人の誉れを求む。苞苴は門庭に盈ち、聘問は道路に交わる。是に於て流俗成りて正道壊る。
現代語訳
三つの遊が起こるのは、おおむね末世である。周と秦の末はとりわけひどかった。上が明らかでなく、下に正しさがない。制度は立たず、綱紀はゆるみ廃れる。そしりと誉れを栄辱の基準にして、その真偽を確かめない。愛憎を利害の基準にして、その実際を論じない。議論する者は相手との厚薄を計って言葉を出し、人を推挙する者は親疎を測って筆を下ろす。そうなると利益は義によっては求められず、害は道によっては避けられない。だから君子は礼を犯し、小人は法を犯し、見せかけを飾って実を捨て、競って目先の利を取り、肉親の情を薄くして同僚との交わりを厚くし、身を修める道を忘れて多くの人の評判を求める。贈り物が門先にあふれ、挨拶回りが道で行き交う。こうして流行の風俗が出来上がり、正道が壊れる。
解説
この章句が説くこと
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『長短経』正論〈荀悦曰く「世に三遊有り、徳の賊なり。一に曰く遊俠、二に曰く遊説、三に曰く遊行。夫れ気勢を立て、威福を作し、私交を結び、以て世に強を立つる者、之を遊俠と謂う。弁辞を飾り、詐謀を設け、天下に馳逐して、以て時世に要むる者、之を遊説と謂う。色もて人を取り、時好に合し、党類を連ね、虚誉を立て、以て権利を為す者、之を遊行と謂う。此の三者は、乱の由りて生ずる所、道を傷り徳を害し、法を敗り世を惑わす。先王の慎む所なり。
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『長短経』正論周衰えて、礼廃れ楽壊れ、大小相い踰ゆ。管仲の家、遂に三帰を備う。法に循い正を守る者は、世に侮られ、奢溢僭差なる者は、之を顕栄と謂う。子夏の門人の高弟自りするも、猶お云う「出でては紛華盛麗を見て悦び、入りては夫子の道を聞きて楽しむ。二者、心に戦い、未だ決する能わず」と。而るに況んや中庸以下の、失教に漸漬し、成俗に被服せるをや。孔子は必ず名を衛に正さんとせしも、居る所合わず。豈に哀しからずや」と。
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