長短経 / 正論
〔荀悅曰、“世有三遊、徳之賊也。一曰遊俠、二曰遊説、三曰遊行。夫立氣勢、作威福、結私交、以立强于世者、謂之遊俠、餙辯辭、設詐謀、馳逐于天下、以要時世者、謂之遊説、色取人、合時好、連黨類、立虚譽、以為權利者、謂之遊行。此之三者、亂之所由生、傷道害徳、敗法惑世、先王之所慎也。
新字:〔荀悦曰、“世有三遊、徳之賊也。一曰遊侠、二曰遊説、三曰遊行。夫立気勢、作威福、結私交、以立強于世者、謂之遊侠、餙弁辞、設詐謀、馳逐于天下、以要時世者、謂之遊説、色取人、合時好、連党類、立虚誉、以為権利者、謂之遊行。此之三者、乱之所由生、傷道害徳、敗法惑世、先王之所慎也。
書き下し
〈荀悦曰く「世に三遊有り、徳の賊なり。一に曰く遊俠、二に曰く遊説、三に曰く遊行。夫れ気勢を立て、威福を作し、私交を結び、以て世に強を立つる者、之を遊俠と謂う。弁辞を飾り、詐謀を設け、天下に馳逐して、以て時世に要むる者、之を遊説と謂う。色もて人を取り、時好に合し、党類を連ね、虚誉を立て、以て権利を為す者、之を遊行と謂う。此の三者は、乱の由りて生ずる所、道を傷り徳を害し、法を敗り世を惑わす。先王の慎む所なり。
現代語訳
〈荀悦はこう言った。「世に三つの遊がある。徳を損なうものである。一に遊俠、二に遊説、三に遊行という。勢いを張り、威と恩を振るい、私的な交わりを結んで世に強さを示す者を遊俠という。言葉を飾り、偽りの計略を立て、天下を駆け回って時勢に取り入る者を遊説という。見た目で人を取り込み、その時の好みに合わせ、仲間を連ね、虚しい名声を立てて権力と利益を得る者を遊行という。この三つは乱れが生まれるもとであり、道を損ない徳を害し、法を壊し世を惑わす。先王が慎んだものである。
解説
荀悦は世を渡る三つの型を並べます。勢いで押す遊俠、言葉で取り入る遊説、見た目と人脈で権力を得る遊行。どれも本人にとっては有効な生存戦略で、だからこそ広がります。名指しされているのは能力ではなく、その能力が正規の職務から切り離されて自己目的化した状態です。組織の外側で通用しはじめた力は、組織の中を壊します。
この章句が説くこと
正論縦横家荀悦三遊遊侠遊説
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