長短経 / 正論
道家者、蓋出於史官、厯紀成敗、秉要執本、清虛以自守、卑弱以自持、此君人南面者之術也。合於堯之克讓、《易》之謙謙、此其所長也。及放者為之、則欲絶去禮樂、兼棄仁義、獨任清虚、何以為治?此道家之弊也。
新字:道家者、蓋出於史官、歴紀成敗、秉要執本、清虚以自守、卑弱以自持、此君人南面者之術也。合於堯之克譲、《易》之謙謙、此其所長也。及放者為之、則欲絶去礼楽、兼棄仁義、独任清虚、何以為治?此道家之弊也。
書き下し
道家なる者は、蓋し史官に出づ。成敗を歴紀し、要を秉り本を執り、清虚以て自ら守り、卑弱以て自ら持す。此れ人に君たる南面の者の術なり。堯の克く譲るに合し、易の謙謙に合す。此れ其の長ずる所なり。放なる者の之を為すに及びては、則ち礼楽を絶ち去り、兼ねて仁義を棄て、独り清虚に任ぜんと欲す。何を以て治を為さんや。此れ道家の弊なり。
現代語訳
道家は記録をつかさどる史官から出た。成功と失敗を年代順に記し、要を握り根本を執り、清らかで虚であることで自らを守り、低く弱くあることで自らを保つ。これが人君として南面する者の術である。堯がよく譲ったことに合い、易の謙の卦に合う。これがその長所である。放埒な者がこれをやると、礼楽を捨て去り仁義も棄てて、ひたすら清虚だけに頼ろうとする。それで何を治めようというのか。これが道家の弊害である。
解説
道家が史官から出たという説明が面白い。成功と失敗を何代も記録し続けた人たちだから、どちらにも肩入れしない見方が身についた、と読めます。清虚と卑弱は、達観ではなく記録者の職業的態度だったわけです。弊害は、その態度だけを取り出して中身を捨てること。記録から生まれた知恵を、記録なしに真似ると空っぽになります。
この章句が説くこと
正論道家史官清虚卑弱謙
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