長短経 / 適変
夫王道之治、先除人害、而足其衣食。〔論曰、「五畆之宅、樹之以桑、匹婦蠺之、年五十者、可以衣帛矣。百畆之田、數口之家、耕稼修理、可以無饑矣。雞豚狗彘之畜、不失其時、老者可以食肉矣。夫上無貪欲之求、下無奢淫之人、藉稅省少而徭役不繁、其仕者、食祿而已、不與人争利焉。是以産業均而貧富不能相懸也。」〕
新字:夫王道之治、先除人害、而足其衣食。〔論曰、「五畆之宅、樹之以桑、匹婦蠺之、年五十者、可以衣帛矣。百畆之田、数口之家、耕稼修理、可以無饑矣。鶏豚狗彘之畜、不失其時、老者可以食肉矣。夫上無貪欲之求、下無奢淫之人、藉税省少而徭役不繁、其仕者、食禄而已、不与人争利焉。是以産業均而貧富不能相懸也。」〕
書き下し
夫れ王道の治は、先ず人の害を除きて、其の衣食を足す。〈論じて曰く「五畝の宅に、之に樹うるに桑を以てし、匹婦之を蚕すれば、年五十の者は、以て帛を衣る可し。百畝の田、数口の家、耕稼修理すれば、以て饑うる無かる可し。雞豚狗彘の畜、其の時を失わざれば、老者は以て肉を食らう可し。夫れ上に貪欲の求め無く、下に奢淫の人無く、藉税は省少にして徭役は繁ならず、其の仕うる者は、禄を食むのみにて、人と利を争わず。是を以て産業均しくして貧富相い懸くる能わざるなり」と。〉
現代語訳
王道の政治は、まず民の害を除き、その衣食を足す。〈論じていう。「五畝の宅地に桑を植え、女たちが蚕を飼えば、五十歳の者は絹を着られる。百畝の田と数人の家族で、耕作をきちんとすれば、飢えることはない。鶏や豚や犬の飼育を時期を外さずにやれば、老人は肉を食べられる。上に貪欲な要求がなく、下に奢った者がおらず、税は少なく賦役は多くなく、官についた者は俸禄で暮らすだけで民と利を争わない。だから産業が均しく、貧富がかけ離れることがない」。〉
解説
王道の中身が具体的です。理念ではなく、五十歳で絹を着られる、老人が肉を食べられる、という生活の水準で語られます。そして仕上げは官の側の話でした。官についた者は俸禄で暮らすだけで、民と利を争わない。上が取らず、下が奢らず、税が軽い。貧富がかけ離れないのは分配を操作した結果ではなく、上が争いに参加しないことの結果だと読めます。
この章句が説くこと
適変王道衣食税貧富官
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